「月報こんとん」2023年7月号
栫伸太郎「牛乳の余白」
生命力に慣れてしまった
吊革の揺れに合わせて森になる
スピーチバルーンを、鉄塔で、埋め尽くす
稜線の続きになって横たわる
とんかつのギザギザのとこマークする
コッペパンの空洞だけをコピーする
はちみつがサマルカンドを帯びてくる
二言目にはトリニダード・トバゴ
画面いっぱいのバスクリンだけ
豆腐から発掘される夏になる
今田健太郎「ラッコ水車」
めちゃくちゃなラッコになんて言えばいい
それからというものまわらない水車
雨はまだやんでいるとは思わない
ひき肉のことはぼくらは忘れよう
5ドーナツ4ドーナツと2ドーナツ
川と書くためにお金はあるんだよ
これひょっとしてえびのとこ影絵なん
愛してるうちに言いたいこと5000
はさみからいつまではなれられるかな
はたらけど髑髏のほうはないがしろ
暮田真名「ほころ日」
変な月 でもつかまえるしかないよ
あいつには今年の顔をやめさせる
確変に入ってからじゃ遅いのよ
スパンコールおよびイワシの大量死
逃走中の手相を見てよ
バスボムの泡が証拠になるだろう
ぶどうのヘタを独裁してね
ひとりだけ復権したのばれちゃうよ
語感ではなくて時間の問題だ
他界した人もあとから来るといい
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