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心のデトックス|「幸せ」は「普通であること」それは何もない日常

昨晩、ふと息子に問いかけました。

「息子くんは、どんなときに『幸せ~』って思うの?」

息子は繊細で、とても怖がり。
不安が強く、学校に行けたり、行けなかったりするタイプ。
なので、少しでも息子の「幸せ」について知りたかったんです。

息子は即答しました。

「普通のときだよ」

■幸せは日常である

私はちょっと拍子抜けして、
「普通?」
とオウム返ししてしまいました。

「うん、普通。何も起きないこと」

「何も起きないこと?」

何も起きないこと……
なんと、味気ない……と、私は思ってしまいました。

「普通って、どういうこと? 朝ごはんは何を食べるの?」
「普通のご飯だよ」

「うどんとか?」
「そうそう」

「そして学校に行って、帰ってきて、お家で過ごす?」
「そうそう」

いろいろ聞いてみるも、本当に、何も特別な言葉が出てきません……

「じゃあさ、普通じゃない、すっごく楽しいことが起こったときはどう思うの? クリスマスとか」

「そういうときは『うれしい』って思うよ」

……うれしい!!

この答えは、私にとってちょっと衝撃でした。

特別なときは「うれしい」……

私は「うれしい」と「幸せ」を同一感情としてみていました。
「素敵なプレゼント、うれしい! 幸せ~」
「子どもたちうれしそうだなぁ、幸せ~」

うれしい、たのしい、幸せ。
このへんがセットになっていないと、幸せだと思っていなかったんです。

息子の中では、「幸せ」と「うれしい」は、別の感情としてあって、
・特別なときは「うれしい」
・変わらない日常は「幸せ」
にカテゴライズされている、ということ。

「普通に起きて、ごはんを食べて、心乱されない、変わりない日常を過ごす」
これが息子にとっての「幸せ」なのです。

幸せは日常の中にある、のではなく『幸せは日常』


■同時に気づく、普通の難しさ

息子は言語化があまり強くなく、あまり感情を言葉にしません。こちらから問いかけても、わからないとか、普通とか、そんなことを言ってやり過ごそうとします。

でも、おそらくかなりいろいろなところに、神経を張り巡らせているタイプ。人一倍繊細で、空気を読み、先回りして行動しています。それこそ、言葉にならないくらいに。
いわゆる繊細さん、HSP体質ですね。きっと私が思う以上に、いろいろなことに気づいて、疲れているのだと思います。

だからこそ、彼にとって「日常は疲れる」ことも多いのでしょう。

誰かがちょっと不機嫌だ。
誰かが怒っている。
誰かが不安そうな顔をしている。

そういうことに、すごい神経を削ってしまうのだと思います。

彼は、『心配の範囲』がものすごく広いのです。
(以前、嫌いな人いる? と息子に聞かれて、息子君はいるの? と聞き返したら、「プーチン大統領……」「僕たち、本当に大丈夫だよね」と答えたこともありました。9歳の小さな体で、プーチンのことまで心配しているんです)

うちでは、あまりニュースを見ません。
不安が増してしまうことがあるので。
でも家の外で、何を見ているかまではコントロールできません。

「日常を、心乱されず、普通に過ごす」

これが、彼にとってはとても大切で、同時に難しいことなのかもしれません。そして、社会で無理せず過ごすために、息子が学ぶべき部分でもあるのだと思います。


■私って、刺激好きなのかな?

さらにそれと同時に、
「私って、刺激が好きなほうなのかな?」
と自分自身に対する気づきも……

私、どちらかというと刺激が苦手で、ホラーとかバイオレンス映画は絶対見ませんし、お化け屋敷も入りません。高いところも苦手。ジェットコースターは好きだけれど、バンジーはやりたいとも思わない……寒暖差が苦手なので、大自然に放り出されるより、人の手が行き届いた美しい建築物のほうが好きなタイプ。アウトドアではなくインドア派。

どちらかというと、引きこもりがちな人間だと思って生きてきました。

でも、ずっと家にこもりつづけるのはしんどい。

美しいものを見たい、触れたい、本物を知りたい。そういう欲求は強くあります。美術館に行ったり、いい生地に触れたり……本当に気に入ったものは手に入れたいので、そういうものを見つけに行きたいという欲求は強いのかもしれません。

もちろん、それはどんな人にもあることで、特別な欲求ではないと思いますが……

「きれいな景色を見に行こうよ」
「楽しい映画を観に行こうよ」
「本物の機関車に乗りに行こうよ」

「きっとこうしたら楽しんでくれるはず」
これが、息子には「強い刺激」になるかもしれないこと。毎回、連休のときはいろいろお出かけ案を提示しますが、息子はかなり慎重。気に入ってくれればちゃんと楽しんでくれますが、基本は「家にいたい」といいます。

そんなのつまらない、もっと楽しくて幸せな体験を積み重ねてほしい。

そう思っていたけれど……
彼にとっては、家で心穏やかに過ごす時間を確保することが「幸せ」そのもの。これを忘れちゃいけないんだなぁというのを改めて感じました。

ここがずれると、彼にとって家は落ち着かない場所になってしまうから。

ゆっくりすごそう、そんなことを考える連休最終日の朝でした。

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倉田エリ|出版コンシェルジュ
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