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いいもの欲しい症候群。ミニマリストが知らないうちに贅沢病にかかってしまう罠。
ある時、普段からお世話になっている人生の大先輩にこう言われた。
君、安いモノで満足できるようにならないといけないよ。
これを聞いた時、私は衝撃を受けた。私はどっちかと言うと何もかも良くしたいタイプだ。暮らしも自分なりの心地よさを追い求めたいし、何でもこだわりたい。
モノはあんまり買わないけど、買うとしたらコレだ!っていうのを見つけるまでは我慢する。無駄遣いとか、無駄なモノは嫌いだ。自分の生活にしてもそうだし、仕事にしても、趣味にしても、なんでも良くしたいっていう欲がある。
そんな私は知らないうちにミニマリスト系贅沢病にかかっていた。
「足るを知る」とはアイテム数で決まるのではない
ずっとミニマルやシンプル生活を送っている私は持ち物の数が少ない。シーズンの服は圧縮パックに入るぐらいだし、服で押し入れがパンパンなんてことない。
「フランス人は10着しか服を持たない」なんて本が昔流行ったけど、それに近いものがある。夏7-9着、春秋6-7着、冬7-8着。日本は四季があるからフランスみたいに10着で全部行くことは出来ないけど、1シーズンでいえば10着以内に収まっている。
料理道具も、土鍋や包丁、まな板、雪平鍋とかベーシックなモノだけで毎日料理をして生活している。
そんな私は贅沢なんてほとんどしていないと思っていた。そう、アイテム数だけ見れば世間の暮らしより圧倒的に少ないからすごく質素に暮らしていると思っていた。
でも、実際はむしろ贅沢をしている。なぜなら、一つづつのアイテムが高いからだ。私含めて、ミニマリストとかシンプル生活が好きな人はモノを無駄にすることが嫌いだ。
すると、長く使える=いいモノを買おうとする。いいモノっていうのは大体お値段が普通より高い。例えば、素材にこだわっている、職人の手作り、技術がすごい。そういったモノを生活に取り入れると確かに生活が豊かになるのは間違いがない。
ただ、全ての生活用品に高みを求めていないだろうか?例えば、包丁に2万円、爪切りに1万3千円、まな板に1万5千円、土鍋に2万円、マットレスに5万円。一つ一つは大したことないように見えていても、全部合計すると知らないうちにすごく贅沢になっている。
良いものを買うのは使い続けるという意味で環境にも良いし、お財布にも優しい。でも、それが生活すべてに適応されているなら、それは贅沢病にかかっている証拠だ。
私はこの罠にひっかかっていた。それに気づいたのは先輩の言葉だった。ある時、冬用の掛布団を買おうとしていたとき、自分でも無意識に良いモノを探していた。大体2万、3万円の物を探していた。
そんな時に布団の話で大先輩に高すぎず良い布団ないですかねーって聞いたのがきっかけだった。そして、冒頭の言葉を言われたのだった。「安いモノで満足しないといけないよ」。
それで初めて、私にとって掛布団なんかそれほど大切じゃないことに気づいたのだった。別に安いニトリでも十分だし、電気毛布だけは必須だけどそれさえ付けてしまえばあんまり布団って重要じゃない。
自分の価値観で重要と思っていないモノにまで無意識に高いお金を払ってグレードの良いものを買おうとしていたのだ。つまり、モノの買い方にメリハリを付けれていなかった。
そういうのは凄く沢山ある。私にとってマウスは仕事道具で大切だから1万円出しても平気だ。でも、アイフォンのAirPods にそこまで価値を感じていない。昔の紐付きでも何も問題ないし、アンカーとかの3000円のものでも十分だ。
なのに、自分が持ち物が少ないという理由だけで、価値観に合わないモノにまで大金を払っていた。そう、私は「足るを知る」を実践していたつもりが、クオリティー面での「足るを知る」を実践できていなかったのだ。
モノの数を減らすのと同じぐらい、自分の満足するクオリティー以上のモノを買わないってのも注意しないといけない。今あるモノで満足するってのも大切なのかもしれない。
改善病にかからない
何でもかんでも良くしようとしすぎないってのも、またミニマルな生き方なのかもしれない。新しいモノ、新しい情報、便利なサービス、何でもかんでも良いモノっていうのは毎年出てくる。
でも、こんなに世の中に何かを良くする情報とか便利なモノとか出ているのに、実際の私たちはどれぐらい幸せになっているのだろうか。今、便利に毎日ネットフリックスで映画を観れる。昔はツタヤにわざわざDVDを借りに行ってた時期もあった。この二つの時期を比べて、生活は改善されているけど、幸せ度はどれぐらい変わったのだろうか。
私の実感としては、変化度0だ。確実に世の中は便利でよくなっているし、最新の研究で健康になる方法も分かってきている。なのに実感としてはさほど変わらない。
だから、何でも改善、何でもいいモノを取り入れようとするのは程々にしておくのがいいのかもしれない。今あるモノ、状況に満足するということも大切なことの一つ。
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