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農業・農村のなりわいが持つ生活に与える「めぐみ」について

こんにちは、自然大好きアドバイザーのE&H(エコ&ヘルス)です。

今回は、農のなりわいとその「めぐみ」について紹介したいと思います。
私も親譲りの水田で、実際に40歳ごろから土日の休日農業、60才以降は
フリーでの米作りをしてきました。しかし私も高齢(今年78歳)になった
ことと「もみすり作業」を親戚の機械でやってもらっていたのですがその親
戚も高齢で今年以降できないと宣言されました。そこで米の栽培の継続につ
いてどうしたものか考えました。

米作りは、1月に種を購入して5月に苗代苗床をつくり、種を蒔いて苗を育
て、5月には田んぼに施肥をしてトラクターで耕して6月には田植えをしま
す。夏場は水の管理をし、稲穂が実った10月には稲刈りをします。その後、稲を竿にかけて天日干しで乾燥させ、脱穀・もみすりをして玄米になります。多くの工程があり経費も多くかかるので、妻と話し合いをし、二人が食べるだけの少ない量なので、栽培を止めて、買った方が楽だという結論になりました。

近所の農家の状況です。兼業農家(会社勤めを退職して年金をもらいながら
農業)が多く、今使っている機械が壊れるとその先どうするか迷っている人
が多いです。米作りの機械一式を購入した場合1000万円を超す費用が必
要という状況。自分の米作りができる体力がいつまで続くかわからないのに
そんな大金を使って農業機械を購入できない、農業できるか体力の寿命と機
械の寿命を比較すると。体の方が先にダメになる。こんな状況であり継続の
危機に直面しています。

ふだんは、あまり気にせず生活していると思いますが、田んぼでの米作りの
なりわいには、多くの「めぐみ」があります。その認識を新たにしてもらえ
ればありがたいと思います。その「めぐみ」とは、1)生き物や植物をはぐ
くむ(食の確保、生物の多様性)、2)土地空間を保全する(風景を見る者
に癒しや感動を与える、緑の空間で都会の住民に癒しを与える)、3)大気
を調節する 田畑の蒸発で気温を下げ暑さを和らげる 汚染ガスを吸収・吸
着させ大気をきれいにする 4)文化を継承する、歴史や生活文化と共に地
域独自の知恵や技術を作り出す、人間性の回復、人を教育する体験の場を与
えるなど、5)土壌侵食を防止する、田んぼに雨水を貯めて、一気に川に流
さず水量を平準化する 6)河川の流況を安定させる、川の流れを安定させ
地下水となるはたらき 7)雨水を植物が保水し地下に浸透させ、土砂くず
れを防ぐ、8)水をきれいにする。植物や微生物などの働きで水質を浄化す
る、などの機能がありそれらを含めて、 農水省は、「多面的機能」と位置
付けています。

これらの「めぐみ」については、都会の住民も受けていますので、農村の住
民と行動を共にする事は難しいと思いますが、その意識と感謝の念は必要で
はないかと思っています。

それらの「めぐみ」を持続可能にする目的で農水省から農振農用地の管理に
対して「多目的機能交付金」が交付されています。平成27年に法律化され、受け皿組織を作って活動すれば、法律が変わらない限り継続できる事になっています。私たちの地域もこの交付金をいただいて「草刈り、川の土砂上げ、休耕田に景観植物を植栽しコスモス祭りの実施など」今年で12年間、活動しています。課題は、活動メンバーが高齢化して若い人の後継者がいなくて継続が難しい状況になっています。

日本の農業の実情を見てみますと農家の平均年齢は、68才、従事者の65
%は65才以上で近い将来、農業従事できない年齢に到達する。食料安全保
障の観点から見ると、現在の食糧自給率は、38%(カロリーベース)まで
低下しており輸入に依存している現状でありリスクの大きい状況にあります。世界の政治的不安定により戦争が各地で起こっていますが、何かのきっかけで日本の食糧輸入が止まれば、食糧危機は免れないと思います。

我が国の若者の農業参入の障壁は、農家の収入は低く重労働です。また天候
などで収量・収入が左右されやすく不確実性を持っています。日本もかつて
は、自給自足の時代があったけれども、現在の多様な食文化は、多くの輸入
食品に依存し、今さら昔の食生活に戻れない状況になっています。

私たちができる事は、地産地消、家庭菜園や市民農園で作物を育てる、農業
ボランティアに参加する、フードロスを削減するなどではないかと思います。今、現在、新鮮な美味しい農作物を提供してくれている農業従事者には、感謝の念を持つことが大切ではないかと思っています。
農業法人を立ち上げて、今後の営農をお任せする方法など、いろいろ知恵を
絞っていますがなかなか良い手段は見つかっていません。

<参考資料> (詳しくは下記アドレスを検索ください)
[農業・農村の有する多面的機能]
https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/index.html
[フードロスゼロブログ]
https://losszero.jp/blogs/column/col_268

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