岡本よりたかさんから学ぶ本当の意味での自給
2021年8月24日から10日間にわたってオンラインで配信していました『食べものを育てて備えるオンラインサミット』
インタビュー形式で農や食に関わる人たちのお話を聞くというものですが、参加しているメンツがどれも凄い人たちばかりでした。
その中でも岡本よりたかさんのお話がおもしろかったのでシェアしたいと思います。
その前にまずは岡本よりたかさんについて少し触れておきたいと思います。
岡本よりたかさんとは
引用:KOKOCARA
岡本よりたかさんは肩書きは無肥料栽培家、環境活動家です。
また、たねのがっこうを主宰し無肥料栽培の指導にあたる他、シードバンクを設けて種の保存もされています。
また、彼の著書である『無肥料栽培を実現する本』は分かりやすく体系的に無肥料栽培について説明しているので、農業について勉強したい人が最初に買うべき一冊を挙げるとすれば、僕はこの本をおすすめします。
とにかく無肥料(もちろん無農薬も)栽培に関してはまずこの方から学ぶ事が一番良いかと思います。すばらしい著書を他にもいくつも出されているので是非読んでみてください。
食料を手に入れる方法を身に付ける必要がある
では本題に入ります。
僕が岡本さんのお話を面白いと思ったのは自給の必要性についてのお話でした。
岡本さんがおっしゃっていたのは、僕たちは食料を手に入れる方法を身に付けておく必要があるという事。
その理由は2つあります。
1つ目は、現在の世界的なパンデミックにより輸出入が止まる可能性が高いから。
当たり前すぎて気に留めないですが、人が生きていくために必要なものは水と空気と食料。今は僕たちの見えないところで流通・商社・農業の人たちが頑張ってくれていますが、その人たちが動けなくなった時、僕たちは食料が手に届かなくなる。
だから自分の食べ物を作る事ができるように技術を身に付けておく事が必要だと岡本さんはおっしゃっていました。
2つ目の理由は、食べ物の不安によってライフスタイルが制限されるから
岡本さんはこれを”人間が抱えている不安”という言葉で説明されていました。
東京や大阪などの都会に住んでいると食料を自給することはかなり難しいです。
そうすると、仮に今の仕事が嫌だと思っていたとしても仕事を辞めることが出来ないんです。なぜなら仕事を辞めてしまうと食べて行くことができないから。
次の仕事を探せばいいと思うかも知れませんが、このパンデミックの状況下ではなかなか仕事も見つからないかも知れません。
でも、食べ物を自分で作ることが出来れば仮に仕事を辞めたとしても影響は少ないでしょう。
仮に自給する力がついていれば都会を離れるという決断が出来るという事です。
なぜ無農薬・無肥料栽培なのか?
なぜ無肥料・無農薬栽培なのか?
結論から言うと本当の意味での自給をする為です。
日本国内で使われている農薬・肥料は日本国内で自給できていないのはご存知でしょうか?農業に必要な栄養素である窒素、リン酸、カリはどれひとつとっても日本では自給されていないんです。
【窒素】
窒素は空気中にあるのでアンモニアという形で固定しているそう。
窒素をアンモニアにするには水素が必要なんですが、その水素分は現状天然ガスから抽出しているそうです。その天然ガスはほとんどを輸入に頼っているそうです。
【リン酸・カリウム】リンもリン鉱石から取っていますが、ほぼ100%が輸入だそうです。またカリウムもカリ鉱石から採取しますがこれも100%が輸入に頼っているという事です。
またこの他に石灰もほとんどが輸入。
つまり慣行農業で使われている肥料は全て輸入に頼っているという事になります。
では、有機肥料などはどうでしょうか?
有機肥料に使われるのは鶏や牛の糞などです。その鶏や牛が食べている飼料はほとんど輸入に頼っている。
また、肥料の他に現代は農薬に頼りながら生産している場合が多いですが、その農薬も石油が原料になっており当然国内では製造できないので輸入に頼っています。
現代のほとんどの農業は農薬と肥料がないと野菜や穀物をつくれないような状況になっていて、そしてそのほとんどが輸入に頼らざるを得ない。
岡本さんはこれら農薬と肥料を使わない『本当の自給』を実践されているという事でした。
僕はそれを聞いて視界が大きく開けたような気がしました。
確かに僕たちは『野菜そのものの自給』を考えていましたが、その前にそもそも『肥料の自給』『農薬の自給』をしないと本当の意味での自給ができないんだという事(農薬を使うのがいい事がどうかは置いといて)に気付かされました。
まとめ
パンデミックなど、世界がいつ・どのように変わっていくなど誰にも想像が付きません。その中で岡本さんのおっしゃる『食料を手に入れる力を身に付けておく』という事はこれからの時代は本当に大切だと感じました。
その中で農業においても自給率の低い日本では何かあった時にとても脆弱で、食べていく事すら難しい。だから無農薬・無肥料栽培の知識を身に付け『本当の意味での自給』を目指すべきだという事。
まずは出来る事からやっていき、少しでも自給率を高めて備えたいと思います。
皆さんもまずは出来る事からはじめませんか?
サムネイル写真引用元:KOKOKARA