エンジニアが無理なく発信を続けられる環境を目指して。Tech Blog 編集長と振り返る、2年間のあゆみ
2024年で、立ち上げから6年目となる「Kurashicom Tech Blog」。「北欧、暮らしの道具店」を支えるクラシコムのエンジニアを中心に、さまざまな発信を行うブログです。直近2年間は、運用体制を整えながら、月に2本程度の記事をお届けしてきました。この記事では、Tech Blogで継続的に発信を続けた結果、どんな変化が起きたか、2年間のあゆみと共に振り返ります。
話を聞いたのは、Tech Blogの編集長でエンジニアの冨田、テクノロジーグループマネージャーの村田、人事企画室の金(きむ)の3名です。
継続的な発信のために、編集長体制をスタート
2018年にスタートしたTech Blog。
▼記念すべき1本目の記事
現在は月2本のペースで更新を続けていますが、2020年、更新が滞ってしまう時期もありました。
金「当時は、人事主導でTech Blogを運用していましたが、年2回の定期採用(複数職種をまとめて募集する採用期間)がはじまるとエンジニア採用にかけられるリソースが減ってしまい、noteの更新も停滞がちになりました。この状況をどうにか改善しようと、2021年、人事から編集長をお願いしたのです。」
村田「冨田さんは、アンテナが広く幅広い領域の技術を把握していたので、編集長として、ていねいに仲間をフォローできるのではないかという期待がありました。記事を書くのも早かったので、そのノウハウをみんなに共有して欲しい気持ちもありましたね。」
冨田「書くのが早いのは、締め切りが怖くて、焦りがあるからなんです(笑)。実は、前職でもブログの編集を任されたことがあるのですが、ひとりで取材をして、撮影して、記事に書いて......とても大変な仕事でした。それに比べたら、頼れる仲間がまわりにいるので、心強かったです。」
▼2021年2月、代表・青木がシステム開発への熱い思いを投稿
2021年、ついに編集長体制での運用がスタートしました。代表・青木の記事以降は、アイキャッチ画像も統一。クラシコムらしさを伝えるデザインに、生まれ変わりました。
編集長が、記事の企画から公開までをサポート
この体制になるまで、Tech Blogの更新は、エンジニアの当番制で、テーマは基本的に自由。継続的な更新をするために、まずは土台を整えることになりました。
冨田「個人的に、記事を書き始めるまでが、いちばん大変だと感じていたので、テーマの方向性を決めたり、公開スケジュールの管理を中心に改善しました。」
村田「それぞれの業務を見ながら執筆の担当順を相談してくれるので、記事を書く心理的負担がずいぶん減りました。執筆でつまづいても、すぐに相談できるので、記事を公開するまでのハードルがぐっと下がったような気がします。」
金「編集長をお願いする以前は、テーマや執筆担当、レビュー担当などで、悩む場面がたくさんありました。編集長をお願いしてからは、誰に何をお願いするか、どんな記事がテーマにふさわしいか、一緒に相談しながら進められるようになり、記事を公開するまでのフローが、スムーズになったように感じます。」
テーマを選ぶ時、大切にしていること
体制を整えたところで、記事の方向性はどのように考えてきたのでしょう。詳しく聞いてみました。
冨田「最新技術に関しては、大手IT企業のTech Blogがよくピックアップしているので、ちょっとずらした目線で考えるようにしました。『こういう壁にぶつかった時、こんな情報があったら嬉しいかな?』と他社のエンジニアのニーズを想像しながら、テーマを選ぶことが多いです。」
▼日頃の業務を、いちエンジニア目線で発信してみる
普段の業務の中にある小さな工夫や、課題解決までの道のりなど。こうした身近なテーマを選ぶ以外にも、採用の視点も、気にかけているポイントなのだそう。
冨田「クラシコムに興味を持ってくれた方に向けて、チームの様子やエンジニア一人ひとりの働き方がわかるような記事も増やしていきました。」
金「エンジニアのスカウトメールでは、Tech Blogの記事を参考として送るので、選択肢が増えて、とても助かっています。
例えば【SIer育ちの元カスタマーがクラシコムに転職した話】は、事業会社でない企業で働いている方に、クラシコムでの仕事のイメージを膨らませていただけたら、という思いで送ったり。
記事を選ぶ時、編集長が『この人に送るなら、この記事がいいかも』とソムリエのようにアドバイスをくれることもあるんですよ。」
▼開発チーム一人ひとりの仕事を伝える記事が、少しずつ増えていきました
業務の合間に、こつこつアイデアを貯める
忙しい日常業務の合間に、アイデアを考えるのは大変なのでは......? 負荷を減らすための、ちょっとした工夫についても、掘り下げてみます。
村田「小さなことではありますが、Slackで『ブログどう?』という絵文字をつくって負荷を軽減しています。」
▼コメントにスタンプをつけると、チャンネルに自動的に流れるしくみ
業務に集中していると、うっかり次のテーマになりそうなコメントも見過ごしてしまうことがありますが、これならみんなが気軽にスタンプを押すだけで、アイデアをストックできそうです。
2年間で、印象に残っている記事は?
2年間で、印象に残っている記事についても聞いてみました。
冨田「今までで一番反響の大きかった、ABテストの裏側を公開した記事でしょうか。記事をコンスタントに更新しても、なかなか読まれないこともある中、これは多くの方に届いたので、驚きました。」
▼1400以上の「スキ」をいただいた、デザイナー白木の記事
日々の仕事の積み重ねを淡々と伝えた記事ですが、職種を超えて、同じように仕事に向き合っている方たちに広く届いた結果なのかもしれません。
金「カスタマーサポートの石井さんが書いた記事も印象的でした。柔軟に誰でも書きやすい環境を整えてきたからこそ、公開できた記事だと思います。」
▼エンジニア木村の「倉庫管理システムのリプレース」の記事を、カスタマーサポート側の視点で書いた記事
Tech Blogはエンジニアだけが書く場所でなく、人事や広報、さらにはカスタマーサポートまで。一緒に仕事をする仲間の、それぞれ異なる視点からエンジニアに向けて情報発信をするところが、クラシコムらしさにも繋がっているような気がします。
続けることで、チームの「心地よさ」が伝わっていく
2年間、編集長体制で記事をコンスタントに発信し続けた結果、これまでにないポジティブな変化も感じるようになりました。
村田「最近驚いたのが、面談の中で『Tech Blogで読みました』と、記事に関するフィードバックがあったこと。クラシコムの開発組織は、チェックリストを網羅するような仕事の進め方ではなく、状況に応じて本質的にやるべきことを、きちんと判断している。伝えたかった伝えたかったチームの雰囲気が、Tech Blogを通じて、しっかりと読者に伝わっていることを実感しました。」
金「同じく、最近は採用で『Tech Blogを読んで、あのエンジニアと話してみたかった』と言ってくださる方が増えてきました。エンジニアともっと話してみたい、と興味を深めてもらえるようになったのは、これまでの積み重ねによる変化だと思います。」
村田「以前よりもカジュアルに記事を公開できるようになったことで、イベント登壇のおしらせや事後のレポート、感想など、社内外に自分たちの活動を共有しやすくなったのもポジティブな変化かもしれません。」
▼イベント登壇後の感想を綴った記事
Tech Blogで、等身大の自分たちを知ってもらえたら
エンジニアと採用広報のブリッジとして、少しずつ機能しはじめたTech Blog。2023年、テクノロジーグループが2つのチームに分かれたので、今後はそれぞれのチームリーダーが編集長を兼ねる体制での運用になります。最後に、これからの展望を聞いてみました。
金「編集長のお陰でTech Blogにとどまらず、エンジニア採用広報全体の相談ができ、設計もしやすくなりました。これからもコツコツと発信を積み重ねて、クラシコムのエンジニアの存在を広く知ってもらいたいと思っています。そしてクラシコムの開発やエンジニア組織に興味を持ってくださった方に、ぜひ入社していただけたら嬉しいです。」
村田「ひとつでも記事に触れてもらえれば、私たちのカルチャーを感じてもらえる。だからこれからも地道にコツコツと、記事を増やしていくしかないし、続けたらその分だけ、伝わるはず。2年間の積み重ねを信じて、これからも発信を続けていきたいです。」
冨田「2年間のデータを分析すると、過去の記事でもじわじわと見られていることに気がつきました。自分たちの記事が、他のエンジニアの役に立っているかもしれないと思うと、率直に嬉しい気持ちになります。
クラシコムの開発の内側を、真っ直ぐに伝える気持ちで書いているので、まずは等身大の自分たちを知ってもらいたい。結果としてチームに興味を持っていただいたり、自分にフィットする働き方かどうかの判断基準にしてもらえたら、ますます嬉しいです。」
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