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YouTubeチャンネル登録者数は43万人超!「北欧、暮らしの道具店」の心地よさとハウツーを両立させる動画制作の裏側

2021年6月6日現在、「北欧、暮らしの道具店」のYouTubeチャンネルの登録者数は43万4,000人。当店はECサイトとしてお買い物ができるほか、コラムや特集などの「読み物」を毎日更新し、動画コンテンツに本格的に挑戦し始めたのは2018年のことでした。

今では「動画をきっかけに『北欧、暮らしの道具店』を知りました」という声をいただくこともありますが、YouTubeでの配信当初は、視聴回数が思うように伸びない状況にも直面。

より多くの人に見てもらえるようになった要因を、当店の動画担当者はどのように考えているのでしょうか。3年間の運営からわかってきたYouTubeで見てもらえる動画制作のポイントについて、企画から撮影・編集・視聴に至るまでの動線設計を行う映像ディレクターとして制作に携わっている田中にインタビューしました。

「北欧、暮らしの道具店」の動画制作の体制

──まず、動画チームの体制と更新頻度や本数について、教えてください。

田中
現在、動画チームは4名です。更新頻度と本数は週2本で、時おり3本になることもあります。

「北欧、暮らしの道具店」のYouTubeチャンネルでは、「モーニングルーティン わたしの朝習慣(※1)」や「わたしの好きな時間(※2)」など、当店のお客さまだけでなく、YouTube上でも受け入れてもらいやすいコンテンツを毎週金曜日に配信。

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実は、当店のYouTubeチャンネルには「もうひとつの北欧、暮らしの道具店」というサブチャンネルもあり、こちらで当店のコアなファンに向けたインターネットラジオ「チャポンと行こう!(※3)」を配信しています。

役割を分けることで、チャンネル登録者数の離脱を防いでいます。

※1モーニングルーティン わたしの朝習慣:さまざまな人の朝時間を紹介する動画番組
※2わたしの好きな時間:私たちの暮らしのなかに詰まっている、「好きな時間」をvlog形式でお届けする番組
※3チャポンと行こう!:店長佐藤と“よしべ”こと青木が隔週でお届けするインターネットラジオ

──平均再生回数はどのくらいになりますか?

田中
番組にもよりますが、大体1カ月で15〜40万再生が平均的な数字ですね。人気なものだと、伸び続けて100万を超えることもあります。

ノウハウ寄りとエモーショナル寄り。異なる要素を両立させる

──動画を見てもらうために、「北欧、暮らしの道具店」のチャンネルではどのようなことを大切にしているのでしょう?

田中
一緒に同じ時間を過ごして嫌じゃない動画であることです。
例えば、本を読むときは自分のスピードで所用時間をコントロールできますが、動画は見る分の時間を奪ってしまいますよね。
当店のお客さまは、30代、40代の女性が中心。始めた当初を振り返ると、私も含めてYouTube自体が自分の場所じゃないなぁという感覚がありました。盛り上がってはいるし、気になってはいるけど、見たいコンテンツがない……。きっとそういう人が多かったんじゃないかなと思います。

なので、この世界観がいいなぁと浸ってもらいながら、自分の暮らしに取り入れられそうと思ってもらえる学びを何か一つでもご紹介できるように工夫しています。

ベランダピクニック

──なんだか心地いいなと感じるエモーショナルなものと、ノウハウ寄りなもの。異なる要素ですが、両立できるものでしょうか?

田中
当店の読みものは世界観が統一されていて、かつ読みながら「これを真似してみたい」と学びを得ることもあると思います。実は、動画も読みものもその部分は共通していて、読みもので培ってきたノウハウがあるからこそ、動画にも落とし込めているんです。

見てくれるお客さまも「この時間の使い方を取り入れてみよう」とノウハウ寄りに見る人もいれば、「こういう映像いいなぁ」と世界観を楽しんでくれている人もいる印象です。

自分たちの「心地よさ」から導き出した初速と視聴者維持率を上げる工夫

──動画の成果を見るときに、何を指標としていますか?

田中
視聴回数と視聴者維持率ですね。

YouTubeは初速が大事といわれていて、公開から6時間以内や24時間以内の視聴回数を振り返っています。公開から24時間で伸びないとその後は伸びにくいので、まずは初速を測定して、早めに分析をすることをチーム内で心がけています。

アナリティクスの画面でいろんな指標が見られるので、それぞれ数値の相関を分析していた時期もありましたが、ある程度絞った指標をまずは伸ばしていくことを目標に据えることでチームで取り組むべき課題共有もスムーズになりました。

──初速を伸ばすために工夫していることはありますか?

田中
人選とサムネイルを重視しています。当店の場合だと、憧れのある年上の女性が出演する回は数字が伸びます。あとは、年齢関係なくこれまでほかで見たことがない人だと、違いが出るので見てもらいやすいですね。

サムネイルは、人の場合は出演者の年代によって変えています。年上の女性は笑顔の写真の方が反応がよく、同世代くらいだとインテリアが見えるほうがいいといった違いがあります。インテリアの中でもキッチンは特にヒキが強くて、さらにタイトルに人気のワードを入れると、YouTubeのアルゴリズムで取り上げてもらいやすくなるので狙っています。

田中
サムネイルだけを見て動画を見るかどうかを決める人も多く、ほかの動画に埋もれずにクリックしてもらえるように、サムネイルにのせる文字とぱっと目をひく写真のバランスも意識しています。

──ちなみに、どうしてキッチンが映っているサムネイルが人気なのでしょうか。

田中
たぶん、キッチンは毎日使う場所だし、一面だけきれいに整えるのが難しい。だからこそ、その人らしさがにじみでて、「見たい」って思ってもらえるんじゃないかと思っています。

──そこが差別化になるんですね。「見つづけてもらう」ためにはどういったことをしていますか?

田中
視聴者を飽きさせないために、企画の段階で時間配分をしっかり組み立てています。

これは過去の経験からなのですが、静かな引きの画でゆるやかに時間が流れる動画は、好きな人は好きな一方、見ない人は見ないんです。そのため、離脱しやすい。

それよりも、たとえば「モーニングルーティン」のように時間で区切られた構成の方が、場面が切り替わってメリハリがあり、離脱しづらいということがわかっています。

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田中
また、8分以上の動画だとミッドロール広告(動画の再生途中で流れる広告)を入れられるのですが、10分近くの動画を見るのは日々の暮らしの中では意外と大変です。特に、家事や子育ての合間には難しい。

「暮らしの中で見るのにちょうどいい尺」を自分たちの生活リズムから考え、必ずしも8分以上にする必要はないと決めました。その結果として、多くの人に見てもらえるようになったのだと思っています。

同じ切り口だからこその「安心感」がチャンネル登録につながる

──「北欧、暮らしの道具店」の動画コンテンツは、「モーニングルーティン」のようにシリーズ化しているものがあります。正直、同じ企画をつづけるのって「飽きられないのか」と疑問があるのですが、その点は担当者としてどのように考えていますか?

田中
つくる側だと「飽きられていないかな」と不安になることもあるのですが、同じ切り口の動画が複数あることは、「このテーマは好きだし、ここにくればそれが見れる」と安心感を得られます。それがチャンネル登録につながっていると感じています。

──たしかに。視聴者側からすると、1つのチャンネルであれもこれもとテーマが混在していると、いったいどういうチャンネルなの?自分に合っているものなの?と不安になりますね。

田中
それと、同じ動作でも動画は記事より情報量が多いので、別のものとして見せられる強みがあります。

モーニングルーティンでいえば、朝の時間に特別なことをしている人は多くなくて、でも、出演者が違って、それぞれの家で行うからこそ、お茶の淹れ方1つにとっても見え方が変わるし、背景に映るモノやインテリアも違う。
動作が同じでも、見え方が変わることで飽きずに楽しんでもらえるのはありますね。

SNSや読みものを活用し、YouTubeへ複数経路から流入させる

──動画コンテンツにはオリジナルドラマで「ひとりごとエプロン」もあります。回によっては視聴回数が150万回近くになりますが、こうしたつくりこんだ世界観もYouTubeではヒキがあるのでしょうか?

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田中
これはどちらかというと、当店のチャンネルの強みが発揮された結果だと思いますね。SNSや当店の記事からYouTubeに流入させることができ、それがあったので「この動画は人気だ」と判断されてホットな動画として扱ってもらえ、チャンネル未登録者層にも届けることができました。

──そうなると、まずは北欧、暮らしの道具店のお客さまに「いい」と思ってもらう必要がありますね。

田中
「ひとりごとエプロン」は、主人公のキャラクターの個性が強く、住んでいる団地も普通の暮らしから考えるとインテリアをつくりこんだ世界観に仕上げています。そうした要素が魅力と捉えられたのかと。SNSで、ドラマの1シーンを絵に描いて投稿してくれるお客さまもいましたね。

また、料理×音楽の切り口の掛け合わせも受け入れやすかったのだと捉えています。登場するレシピはどれも手軽なもので、真似してみたいと感じてもらえたのではないでしょうか。

タイアップ動画でも視聴者維持率をキープできるワケ

──こうした動画コンテンツのノウハウは、企業さまとのタイアップ動画でもあるBRAND MOVIEにどのように生かしていますか?

田中
お客さまの立場になったときに、やっぱりその動画を「見たい」と思えるかが大切です。動画を見るときの最初のフックって「商品」じゃないんですよね。

商品を出すことが必ずしもNGというわけではないのですが、見たいと思えるテーマがあって、その要素の1つに商品がある。それらをうまく組み合わせられることが違和感なく受け入れられるポイントだと思っています。

とはいえ、商品を出さなすぎると情報として伝わらないので、どうなじませるかは毎回腕の見せ所です。

最近の事例でいうと、キュレル ローションと「わたしの好きな時間」の番組タイアップ動画は、番組の世界観の中に商品が自然と溶け込んでいて、かつクライアント社内での反響も良く、商品の購入にもつながっていました。

※キュレル ローションとのお取り組みの成果については、以下記事をご覧ください。

──通常の動画コンテンツとタイアップ動画で視聴者維持率に違いはありますか?

田中
ほとんどないですね。タイアップの視聴者維持率も高いといえますし、一つの番組として見ていただいている印象があります。

──最後に、今後の展望について聞かせてください。

田中
チャンネルの幅を広げるために、今年中に新番組をお届けする予定です。

当店のチャンネルは今、登録していないリピーターの方にいかに登録していただけるか、を課題として取り組んでいます。新着の動画を出すと、5万人くらいリピーターがきてくれていて、リピーター率はとても高い。ただ、リピーターにはチャンネル未登録の人がいて、YouTubeでおすすめされて見てくれている、ということなんです。

そのため、当店らしい、日々の暮らしはもちろん、料理やインテリアなど「こういうのが見たかった」と思えるものを開発していて。ほかにも、ドラマも新しく出したいですし、これからも楽しみにしていただけたらうれしいです。
                             (おわり)

書き手:南澤悠佳

「北欧、暮らしの道具店」と企業様のお取り組みについてのご案内はこちら

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