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災い転じて麹が旨いという話。〜麹定食作ってみました。

今日の「時々、コラム。」は、くらしアトリエの代表を務める私のズボラさが、思わぬ良い結果につながった話、について。

過去のコラムや記事などで、「代表=雑でズボラ」という構図はさんざん綴ってきているのですが、今回もそのエピソードが出来事の根源にあります。
それは、今年の2月のことでした。

毎年、冬に自らの手で味噌づくりを行ってきた私は、「今年もやるかぁ…」という低めのテンションで大豆と塩を注文しました。「味噌づくり」という行為自体は好きなのですが、やるぞ!と決めるまでがけっこう億劫なのです。

大豆と塩が揃えば、あとは「麹」です。過去には、「ながせファーム」さんに分けていただいたり、ネットで購入したり、はたまたスーパーで手に入れたりと、特に決まった麹があるわけではなかったのですが、過去に一度購入させていただいて上手に味噌ができたのが奥出雲町にある「森田醤油」さんの麹だったので、今年も注文することに。

張り切って1㎏の麹を購入したのですが、その頃は仕事も慌ただしくしていてなかなか味噌づくりに気持ちが向かわず……なんだかんだと先延ばしにして冷凍庫に入れている間に、気が付いたら7月になっていたのです。

さすがにヤバい…というより、これ以上冷凍庫のスペースを占有させるわけにはいかない、なぜならアイスを入れる場所がないから、という理由(どんな理由?)から、ようやく重い腰を上げた私。もはや味噌を作る気持ちはゼロでしたが、麴を使って何か作らねば…という思いでレシピを検索しました。

自分で思いつくのは塩麹と麹漬けくらいでしたが、どちらも過去に作ったことがあり、そんなに心が踊らず(作りましたが)、何かないかな…と探していた時に出会ったのが「玉ねぎ麹」と「トマト麹」だったのです。

なんでも、玉ねぎ麹やトマト麹を使えば、コンソメがいらないと思えるほど料理にコクと旨味が加えられる、とのこと。スープ、肉料理、卵料理など、とにかく万能に使えて日持ちもする、と書かれていたのです。

俄然、興味が沸きました。幸い、自分の畑で育てた玉ねぎがふんだんにありましたし、トマトも松江市西長江町の「大井川さんのトマト」が出回っている時期でした。

さらに、麹を発酵させるための機械(=ヨーグルトメーカー)も自宅にあったので、これはもう「作れ」ということだ!運命!と思い(思い込むとすぐ調子に乗る性格)、久々に心が踊ったのをよく覚えています。

玉ねぎ麹は、玉ねぎをすりおろして塩と麹を混ぜて発酵させるだけ。
トマト麹も同じく、すごく簡単な工程で作ることができます。

前述したとおりズボラな私は、この万能調味料に飛びついたわけですが、この麹の調味料が、本当に、すごーく良いのです!毎日の料理に、本当に重宝しています。

私自身は、「発酵」というワードにそんなにロマンを抱いてはいません。あくまでも「化学反応の結果」として、料理がおいしくなる、という点を評価しています。
麹には「プロテアーゼ」というタンパク質分解酵素が含まれており、食材のタンパク質が分解され、アミノ酸に変換されます。これが食材をやわらかくしたり、旨み成分を増加させたりするのです。

玉ねぎやトマトも「おだし」のような旨味を持つ食材として知られているので、これらが組み合わせられたことにより、よりお料理がおいしくなる、ということなのですね。

玉ねぎ麹を使い始めてから、本当に事実として、コンソメを使うことがなくなりました。スープやカレーなどにも入れますし、生姜焼きに入れたら豚肉がやわらかく、おいしくなりました。

卵焼きやオムレツなどにもぴったりですし、お醤油を使うのに比べて料理がきれいに仕上がります。

トマト麹は、水でのばし、塩麹で仕込んだ鶏ハムにたれとしてかけるのが抜群においしい!何と言っても魅力はかわいいピンク色のソースができること。そのほか、こちらもスープや卵料理などによく合います。塩味が強いのでかなり薄めたほうが良いのですが、それでもしっかりと旨味と、ほのかなトマトの酸味が残ります。トマトと麹の相互作用で、料理がかわいく、おいしくなるのは、めちゃくちゃ嬉しい!気分が上がります。

このコラムを書くにあたり、10月に開催されるうつわイベントの撮影も兼ねて「麹定食」を作ってみようか、ということになりました。

あれにもこれにも麴を入れて…できあがったのが、こちら。おいしそうでしょ?

メインの生麩と白ナスの田楽には、おいしいお味噌(もちろん麹入り)を。
肉じゃがは玉ねぎ麹とお酒で味付け。

クレソンとえのきのおひたし、混ぜごはん、具だくさんの粕汁にも玉ねぎ麹や塩麹が入っています。

色がきれいに仕上がるところ、淡い旨味が広がるところがいいなあ、と自画自賛。

おいしいお昼ごはんが出来上がりました。

この夏は、ほかにもぬか漬けのぬか床に麹を混ぜたり、シンプルに塩麹として下味をつけるのに重宝したりと、私の麹ライフがかなり高まった季節でした。

ちなみに、ぬか漬けを作るに至ったエピソードを綴ったコラムはこちらです。


今回の麹あれこれ、それもこれも全部、私が「ズボラ」だったからこそ成し得たことで、自分の雑な性格にちょっと感謝したい気持ちです。

日頃私の雑な性格に呆れているであろうスタッフにも、「こういうことがあるからねえ、ズボラもたまにはいいことあるんよ」とドヤ顔で説明しているところ。


今回は森田醤油さんの米麹を使わせていただきましたが、探せば地元の麹は他にもいろいろあります。生のもの、乾燥したもの、冷凍したもの…形態もいろいろ。

10月に開催されるくらしアトリエ主催の「うつわイベント」では、松江市美保関町産の麹をご紹介できる予定。

こちらはまだ試したことがないのですが、何か違いがあるのでしょうか。きっとそれぞれの特徴も個性も、あるんでしょうね。

地元のお米で作られた麹で、自分の手で調味料を作ってみる―。
涼しくなってからの台所の仕事のひとつとして、試してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、参考にした玉ねぎ麹のレシピはこちら(使用しているヨーグルトメーカーのサイトです)。

トマト麹のレシピはこちらです。


YouTubeの「見るコラム」はこちらからご覧いただけます。さくっと見られるので、ぜひどうぞ。


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