2013年「デザインあ展」回顧録 (文:こたにな々)
2018年3月から、5年振りに開催される事が発表された「デザインあ展」。その5年前の2013年に東京で開催された過去の「デザインあ展」を嬉々として振り返りたいと思います!
-------2013.2.8〜6.2 東京 21_21 DESIGN SIGHT
展覧会ディレクター : 佐藤 卓/中村勇吾/小山田圭吾**
この展覧会はNHK Eテレの教育番組「デザインあ」の世界にそのまま入り込めるような、見て・聴いて・触って、体験出来る事を大切にした実験的な展覧会になっていました。アートやデザインが好きな大人達はもちろん、番組を見た事があるであろう子ども達がけっこう多く訪れていて、とても楽しそうだったのが印象的でした。それくらい自由な空気の流れる空間だったんです。
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◆まず会場に入ると、受付すぐに番組ロゴの「デザインあ」の立体があり、”あ”と一緒に写真が撮れるという、早くもすぐに心を掴まれました。
(写真引用:http://www.tokyoartbeat.com/さんより)
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◆そのまま地下1階へ続く階段を降りると、建物内の中庭にまた”あ”の立体が!本物の植物で出来ており、会期中に育ち咲いた花もあるようでした。
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◆歩いていくと、四角く白いひとつの部屋があり、入るとそこは壁全てに中村勇吾の映像が投影され、四方八方から5.1chのコーネリアス(小山田圭吾)の音と声が流れる、私にとって天国のような部屋でした!
『デザインかぞえうた』音楽:小山田圭吾(コーネリアス)映像:中村勇吾(「COUNT FIVE OR SIX」にも似た数字のカウントと低音サウンドがキレキレなカッコいい1曲。これをNHKで子どもの時聴いて育てるって凄まじいです。)
◆囲まれる4面の壁に全て同じ映像が映っているわけではなく、音とリンクするように映像が移動し切り替わっていくので、目や体を動かしながら本当にコーネリアスの音楽と中村勇吾の映像の中に自分が入っているような感覚でした。
『カラーマジック』歌:Salyu×Salyu 音楽:小山田圭吾(コーネリアス)映像:中村勇吾
◆中央に丸い机があり、消化器や地球儀や椅子、ボールなどの日用品が置いてあり、Salyuの伸びやかな色を指定する歌声と共にその色の日用品にスポットライトが当たりながら、会場の色が次々に「レッド」や「ブルー」「イエロー」の光に塗り替えられていきました。(動画見てみてください!)
『デザインあのテーマ』 歌:ショコラ 音楽:小山田圭吾(コーネリアス)映像:中村勇吾( ”あ”が映像でも音でも炸裂していました。単音を組み合わせて作るTHEコーネリアスといったサウンドで楽しかったです。この曲でゆいつ小山田さんの声が聴こえました。小山田圭吾の素のような「あ」の声に包まれる5.1ch部屋最高でした。)
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◆展覧会の話ではなくコーネリアスの音楽の話になってしまいますが、実はこの時期私は新しく出すコーネリアスの音楽にもうあまりワクワクを感じなくなっていました。手癖やよく使うサンプリングの音で、もうパターン化してしまった(確立というのかもしれませんが..)と感じていたからでした。
しかし、この5.1chの部屋で感じ取ったのは「今まで、聴き取れる所まで音の数を聴き取っていなかった」私の慣れの怠惰であって、子どもにはもしかしたら5.1chでなくとも聴き取れているのかもしれない、発見出来ているのかもしれない、と子どもみたいに必死に細かい動きを目と耳で追いながら鳥肌を立てて思いました。
◆他にもう1曲、嶺川貴子の歌う『まるとしかく』もありました。それはもうずっと居たい空間でした。(少なくとも住みたかったです私は。)
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◆何度も振り返りながらその部屋をあとにし、メインの空間で総合ディレクターであり・グラフィックデザイナーである佐藤卓の展示を見ました。
「フランダースの犬」や「銀河鉄道の夜」などといった有名な物語のタイトルが上下のパーツで積み木として分かれており、好きに組み合わせて新しい本のタイトルを作るコーナーや、
(写真引用:http://www.tokyoartbeat.com/さんより)
佐藤卓が実際にパッケージデザインした仕事である「明治おいしい牛乳」の一文字づつ分割してある積み木を触って積み上げてパッケージを完成させるコーナーや、積み木でお寿司が作れるコーナーもあった気がします。(この辺に子どもは集中していました)
◆同じく佐藤卓がパッケージデザインした、ロッテのペンギン柄のキシリトールガム(横長ガム)がレイヤーとして何分割もされた光でその場に投影されて(実際はその場に無いんですが)光としてパッケージを完成させていたるコーナーがあったり。(分かりづらくてすみません)
◆湯呑みや日清カップヌードルのパッケージデザインが、これまたレイヤーとして実際に分割して”見せて”ある展示や。
全体的に、分割して物の出来方を見せているものが多かったです。その中でまた物を新しく自由に作り出させる発想を学ぶ場として”触る”コーナーがありました。
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◆あとは、タブレット端末で自分で書いた絵(デッサン)がリアルタイムに今回の展覧会の特設サイトにアップされたり、"あ"を自分なりに表現して塗り絵応募・貼ってもらえるコーナーがあったりと。
終わる頃には大人も皆、子どもの顔をしていて。
私自身も良い展示だったな、とホクホクして帰りました。
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(写真引用:http://www.2121designsight.jp/designsight/index.html より)
◆ちなみに、21_21 DESIGN SIGHTの建物は安藤忠雄建築で、外観は点と線で結び折ったような折り紙のようなシャープなデザインになっていて。中はコンクリート打ちっぱなしの地上1階と、天井が高く広い地下1階の空間で。その雰囲気もまた子どものワクワクをかき立てる刺激や、展覧会・番組のコンセプトに合った自由な発想の中で気付いていくのにぴったりな空間だったと思いました。(佐藤卓さんは21_21 DESIGN SIGHTのディレクターの一人でもあります)
また、あの展覧会が新しい形で観られるなんて本当に嬉しいです。
長くなりましたが、あの展覧会から5年。
「デザインあ展」が復活です。
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2018年「デザインあ展」
富山県美術館
期間:2018年3月21日(水・祝)〜5月20日(日)
日本科学未来館
期間:2018年7月19日(木)〜10月18日(木)
総合ディレクター:佐藤卓
映像ディレクター:中村勇吾 / 音楽ディレクター:小山田圭吾
出展作家:岡崎智弘/クワクボリョウタと山口レイコによるアートユニット・フェクトロン(Perfektron)/近森基/久納鏡子/筧康明/小原藍によるアートユニット・プラプラックス(plaplax)
※2017年現在発表されている情報になります。https://www.fashionsnap.com/news/2017-12-05/design-a-2018/
ぜひ行きたいと思います。
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●あとがき●
いつも通り書き切りましたが、ひとつ展覧会でツッコミを入れたかったのが、展覧会についての言葉をディレクターである佐藤卓さん中村勇吾さん小山田さんとが書いていたのですが、皆さんが長文で書く中、小山田さんが簡潔な2行のみで「短ッ!!!」とらしくて笑いました。
あと個人的には4年前のiphoneの画質ってこんな荒かったのかと驚愕しました。以上です!(お読みくださってありがとうございました)
文・写真:こたにな々(ライター) 兵庫県出身・東京都在住
https://twitter.com/HiPlease7
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◆HP:https://kotaninana.wixsite.com/kurashino-no-nana
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