安田達彦さんによる茜色のコーヒーカップ
茜色は、茜の根から採れる人類最古の顔料のひとつです1)。夕焼け空は、茜空と形容されます。
岡山県笠岡市出身の日本画家・小野竹喬は、「茜色の画家」と呼ばれ、その代表作のひとつが、初夏の夕暮れを描いた「樹間の茜」です。
倉敷の街は秋が深まると、茜色に染まってきます。
画像は備前焼作家、安田達彦さん作のコーヒーカップです。カップの内側の景色が、茜色でなんとも美しい情景です。
倉敷美観地区の備前焼ギャラリー・倉敷一陽窯の主人、木村道大さんによれば、安田達彦さんの窯は、灰がたっぷり降るような構造になっているので、温かいやわらかな色調の器ができるのだとか。安田さんご本人も、やさしい温厚なお人柄の人だそうです。
1)神浦高志・編,橋本実千代・監修:世界でいちばん素敵な色の教室, 三才ブックス, 2019. P18・19
2)波多野公介・編集:アサヒグラフ別冊・美術特集・小野竹喬. 朝日新聞社, 3刷, 1979年. 67番