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倉敷の3人の陶芸作家、三宅玄祐さん、岡島光則さん、濱田伸一さんの作品にみる創造過程の個性
倉敷でアート的な作陶する3人の作家の作品です。
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いずれも、内的な美しさと実存感が設えられたアート作品ですが、3人は創造スタイルが、それぞれ異なっています。
左の花器は、倉敷市加須山に工房を構えていた、天才肌の陶芸家、故・三宅玄祐(みやけ・げんすけ)さんの作品です。
三宅さんは、発想が次々とご自身の内側から湧き出してくるタイプで、クセの強いユニークな作風で知られ、「使いにくさもおもしろさ」と述べられています。ですが、作品には、どこか孤独や哀しさが感じられ、奥深さが秘められています。
筆者は、ご本人に会ったことはないのですが、生前を知る、アートスペース路ゞオーナーの石原路子さんによれば、確かに偏屈な一面はあったが、恥ずかしがり屋で、素朴な人だったとのことでした。
右側の紫色の皿は、倉敷市大島にアトリエを構える岡島光則さんの作品です。筆者は、今まで岡島さんの作品をたびたび紹介してきました。
岡島さんもアートを極める人ですが、その接近方法が、緻密です。造形と発色を少しずつ変えながら、多くの組み合わせを試して作陶し、その結果から、創作の方向性を微調整されて行きます。いわば、仮説・実験・検証を繰り返す「理系の表現研究者」と言うべき存在です。ですから作品は、幅広く系統的で、つながりも明瞭です。
岡島さんは、とても真面目で謙虚な方で、個展の際には、筆者の拙いコメントをいつも真摯に受け止めて下さり、恐れ多くて身が縮みます。
中央のピッチャーは、倉敷市船穂町に鶏尾窯を構える、濱田伸一さんの作品です。濱田さんの作品も筆者はたびたび紹介してきました。
濱田さんは苦労人なのですが、その苦労をユーモア精神で跳ね返し、創作に打ち込まれています。さらには、地元を愛し、地元の土にこだわって作陶されています。
濱田さんは、小さなアイデアをいくつも作品に詰め込まれていて、時に厳粛な、時に苦悩に満ちた、時に若々しく清涼感に満ちた、時に、かわいらしい、振れ幅の大きい作品作りをされます。ごくまれに、破綻するのもアート的と言え、濱田さんのおちゃめさが垣間見えて、嬉しくなります。
濱田さんの創作スタイルは、三宅さんと岡島さんの中間に位置すると言えましょう。
筆者は今まで、3人のアーティストを個別に紹介してきましたが、こうして3人を同時に比較することで、それぞれの創造性のユニークさが際だってきて、益々作品が味わい深くなりました。
個性的な3人を内包する芸術文化都市倉敷の懐の深さに、改めて感じ入りました。