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イワン・クラムスコイ・作「忘れえぬ女(ひと)」からの発想

ロシア・ウクライナ戦争が始まり2年が経過しました。展覧会の図録を見返していて、開戦前だったころを振り返りました。

岡山県立美術館で2019年4月27日ー6月16日に開催された、国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティックロシア~ロシアのモナリザ岡山初公開 あなたの視線が離れない~です。

この展覧会の目玉になっていたのが、クラムスコイが1883年に描いた「忘れえぬ女(ひと)」でした。

イワン・ニコラエヴィチ・クラムスコイ・作 忘れえぬ女(ひと) 1883年 1)
キール クレストハレ シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州立文化財団・寄託

19世紀のロシア美術における代表作です。作品は今回を含めて8度来日し、日本で親しまれてきました。
馬車上の婦人の毅然としたふるまいが魂を感じさせます。

それでは、筆者の地元である倉敷市本町の石原路子・ワールドを覗いてみましょう。

石原路子・ワールドは、こちら。

石原路子・作「シャルル」(帽子制作:柏原久隆) 筆者蔵

石原路子・ワールドでも、魂を感じさせるような眼差しを投げかける存在と出会いました。

筆者は、哲学者ウィットゲンシュタインが述べた、「魂に対する態度」2)を思い起こしました。

テディベアは、一人の作家が全行程を手縫いで制作します。装飾性を抑えて制作され、細部まで丁寧に整えられることで、おごそかな精神性が発露されます。そのような創造物の前では、我々はウィトゲンシュタインの言う「魂に対する態度」をとらざるを得ないのです。

追伸
その心技を次世代に伝えるべく、石原さんは2023年11月より倉敷テディベア学校を開設し、プロの作家を養成しています。

文献
1)ガリーナ・チュラク, 亀山郁夫・他執筆, 宮澤政男・他編:国立トレチャコフ美術館 ロマンティック・ロシア. アートインプレッション, 2018, P84-87

2)中村 昇・著:ウィットゲンシュタイン、最初の一歩. 亜紀書房, 2021, P115-121

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