ボランティア組織から学ぶティール組織 『西條剛央 チームの力』
本書は「クジラではなく、小魚の群れになろう」をキャッチフレーズにした「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げた西條さんによる、組織論チーム論について書かれた本です。
構造構成主義という、物事の本質からなる原理を把握する学問をベースに、様々な原理と哲学をもってチームビルディングを行ったことを、原理の観点と実践の観点の両方から書かれています。
本書で登場する「ふんばろう」の組織は、自律的に動くチームになったと書かれている。タテ組織で統率をとるのではなく、個々が判断して助け合いながら成果をだしていくチームだ。
その根底にあるのは、報酬で人を働かせることができないという制約から生まれている。嫌なら動かないという前提のもと、どうやって成果を出してもらうのか。
そこに、構造構成主義の原理を用いている。一人ひとりがなるべく細分化した役割でリーダーになってもらい、より関与することで自分ごとにしていくプロセスや、感情と論理から考えた肯定の原理をベースにしたコミュニケーション方法の周知であったり、理念や価値観にビジョンを言語化していくことでチームの一体化を図ることなどである。
こうした取り組みは、実にティール組織でやっていることに似ている。
本書中でも取り上げられているが、ドラッカーの言うナレッジワーカーは、必ずしも報酬のためだけに働かないし、外発的動機づけだけでは良い品質も高い生産性も出すことはできない。そこには、内発的動機づけとなる個人の興味関心と重ねることが重要なのだ。
さらに組織が大きくなっても、派閥やセクショナリズムを持たせないために、複数のチームに所属させるというやり方も非常にティール組織らしい。
逆に考えれば、ティール組織のようにチームをつくっていきたいのであれば、報酬というものがなくても一体となり、貢献できるチームを作ろうとすればよいのかもしれない。
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