【イベントレポート】福井弥平商店と考える「クラフト酒」の未来
こんにちは。KURAND公式note編集部です。
KURANDでは、商品を製造してくださるさまざまなパートナー酒蔵とともに、新しいビジョンの浸透や深堀りをする場を「ビジョンドウィズ」と称し、毎月ディスカッションを交わしています。
第14回の「ビジョンドウィズ」にお越しいただいたのは、クラフト酒のオンライン酒屋「クランド」で販売する日本酒「幻の酒米を復活させた僕の物語を知ったら、君は何を想うだろうか。」や、果実酒「まぁるいれもんのお酒」などを造っていただいている福井弥平商店さん(滋賀県高島市)です。
今回は福井弥平商店より、代表取締役社長の福井さんにお越しいただきました。KURAND(クランド)との商品開発についてや「クラフト酒」についての考えを伺いましたので、その一部始終をご紹介します。
常に飲み手目線で考える
福井弥平商店さんは、琵琶湖と比良山を擁する滋賀県高島市で、260年以上に渡り酒造りを続けている酒蔵です。9代目当主である福井さんは、実は跡取り息子ではなくお酒好きが転じてご縁があり酒蔵へ入り、その後9代目として後を継いだといいます。
「酒蔵に入り、お酒を造る立場になることができるというのは特権だと思っています」と福井さん。「日本では新しく日本酒の酒造免許は取れないので、どんなにお酒好きでも簡単に造り手になることができないというのが現状です。そんな中で自分が造りたいお酒を造ることができる今の環境はとてもありがたいです」と話してくれました。
だからこそ、酒蔵生まれではなく、お酒が大好きな1人の飲み手として、常に考えているといいます。福井さんは「お客さまと対面でお話しするときは、いつも難しい造りの話をしすぎないように気を付けています」といいます。「難しい話ってあまり飲み手から求められていないんじゃないかなと思うんです。造り手の立場として、もちろん専門的な知識はつける必要がありますが、それが先行してしまってはいけないなと思っています」と、福井さんの生い立ちだからこそ飲み手の立場に立って考えていると教えてくれました。
「KURANDはライトにお酒を楽しむ方もお客さまに多いからこそ、ちゃんと知識も持ちつつ、誰もがわかるような言葉や方法で伝えようとしているなと感じていて、そこはとても共感できるポイントです」と、KURANDとの考え方の近さについても話してくれました。
「クラフト酒」をあえて定義しない
KURANDはECサイト「クランド」で販売する多種多様なお酒を表すために、「クラフト酒(しゅ)」という言葉をオリジナルで作りました。さまざまなパートナー酒蔵にもご意見を伺いながら、その認知の拡大に挑んでいます。福井さんにも「クラフト酒」をどのように捉えているか尋ねてみました。
「クラフト酒」という言葉について、「あえてしばらくはっきりさせないことに意味があるように感じる」と福井さん。「例えば”手づくり”や”小規模”など、そういった既存の言葉に閉じ込めてしまうのは、とてももったいないと思う」と、クラフト酒の定義の考え方について話します。
「焼酎の定義って知ってますか?酒税法では焼酎の定義ってとても曖昧なんです。〇〇は焼酎ではない、〇〇したものは焼酎ではないといった形で、明確にこれが焼酎と言い切っていないんです」と福井さん。「クラフト酒がなにか?ではなく、なにがクラフト酒ではないのか?という視点で、考えてみるのも面白いかもしれないですね」とクラフト酒の未来について話してくれました。
また「クラフト」という言葉について「料理ってとてもクラフトだなと思います」と福井さん。「美味しいものはいくらでも作れても、プロであればあるほど、言われるがままに作るのではなく、やらないこと、使わないことをはっきりしていて、それはすごくクラフトだなと思います」と「クラフト」についても考えを教えてくれました。
KURANDでは、個性豊かな新しいお酒を、酒蔵さんと一緒に日々開発しています。今後もこだわりを持った造り手と一緒に、多くの方の手に美味しいクラフト酒を届けていきたいと思わせてくれるお話でした。KURANDはこれからも常に新たなお酒との出会いを求めて、思わず見に来てしまうようなお店を目指していきます。
ディスカッションの後は、恒例の懇親会。福井弥平商店さん、ありがとうございました!