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無防備な時間に身を委ねる:京都 正伝寺
こんにちは
京都に行った際、訪ねた場所の一つ「正伝寺」
ここはイギリスのロックミュージシャン、故デヴィット・ボウイ(享年69)が焼酎の撮影で訪れた際に、涙するほど静寂な枯山水庭園、として知られている禅宗の寺院でもあります。
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ということで、
今回は京都 正伝寺のお話をしていこうと思います。
日々の合間にのぞいてもらえたら嬉しいです。
それではどうぞ
|正伝寺というところ
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まずは正伝寺という寺院のことから知っていこうと思います。
下記に正伝寺のサイトから引用しましたが、長い歴史の中で紆余曲折し現在の西賀茂の地に至ったとされています。
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ここから少し登る
正伝寺(臨済宗南禅寺派 吉祥山正伝護国禅寺)
当山は臨済宗南禅寺派に属し吉祥山正伝護国禅寺という。創立者は東巌慧安禅師である。
文応元年(1260)に中国の栄より来朝した、兀菴普寧禅師に師事すること多年、遂にその蘊奥を極められたという。
文永十年(1273)に聖護院の静成法印が東巌禅師に帰依し、亀山天皇の勅許を蒙り京都烏丸今出川付近に祭殿一宇を建立したのに始まる。
後、弘安五年(1282)賀茂の祠官森経久が西賀茂の地に荘園を寄附され、現在の地に再建したのである。
元亨三年(1323)後醍醐天皇より勅願寺の綸旨を賜り、堂塔伽藍は完備し洛北の名刹として偉観を誇った。
しかるに応仁の兵火にあい堂宇は悉く烏有に帰し、一山の衆徒は四方に離散し再び荒廃する有様となった。
その後豊臣秀吉が天下を統一すると、天正十三年(1585)寺領及山林の朱印状を附し再興をはからんとしたが果さず、徳川家康に至って寺領及境内地の朱印状が与えられ再興されることになった。
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正伝寺の見どころと言われているのが、
・「獅子の児渡し」を表現した枯山水庭園
白砂敷きで石ではなくサツキなどを刈り込み、正面左から3・5・7で配置され、さらに後方に窺える比叡山も含めた借景(周囲の風景を取込む手法)の庭として知られています。
・広縁に残る歴史の跡「血天井」
広縁の天井に目を向けてると、まだらな跡がついた天井板が使用されています。これについて、伏見城落城の際に自刃した徳川家康の家臣である鳥居元忠らの血痕が残った廊下の板を用いたものとされています。
・方丈の襖絵(重要文化財)
正伝寺にある襖絵は、中国杭州西湖(現在の浙江省杭州市)の景色が描かれています。
これは狩野派の狩野山楽が伏見城本丸御殿の修理に際して、徳川家康の発注により描かれた貴重な襖絵として伝わっています。
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方丈の中は写真が取れなかったので襖絵はないのですが、こうして見ていくと建築から庭園まで一つ一つに歴史の跡が多く刻まれていることを知ることが出来ます。
さて、正伝寺の概要を綴らせていただきました。
ここからはボク自身が正伝寺を体験してみてのお話をしていきますね。
|静けさゆえに強調される
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ボクは京都に来ると必ずどこかの枯山水庭園のある寺院を訪ねます。
もちろんデザインの学びという理由もありますが、何よりもシンプルに心地良いからです。
その中でも、正伝寺は特に好きな庭園の一つ。
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見どころでも挙げましたが、方丈の廊下(縁側)に腰を降ろすと、視界が広がり奥に見える比叡山まで一気に視線が抜けていきます。
庭園の手法である借景なのですが、周囲の木々の高さ、角度がよく考えられていて比叡山に向かって焦点が合うようになっています。
これは遠近法(パースベクティブ)とも言われる手法で、視界に入る風景に奥行と広がりを作り出します。
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木々の傾斜が線のように奥行き作り出している
近いところで言えば、ホールの舞台、なのかなと思います。
舞台の装飾や造りも客席から、どう奥行や遠近感を作り出すか、が考えられています。
ですので、ボクは正伝寺の庭園を見ていると舞台的な空間デザインを感じます。
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その上で、手前に見える枯山水庭園は展示品のように固定されています。
しかし、その周囲は変化に富んでいます。
訪ねた日は、雨・曇り・晴れ間が数十分毎に変わり、雨がモノに当たる音、風が吹けば木々が揺れ、雲は流れ、隙間からは光が差し込み、どこからともなく聞こえる鳥の声、それは静寂ゆえに見聞きが可能なのだと思います。
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そして、自分自身もその中の一部になるかのように身を委ねていることに気づきます。
スマホもカメラも一旦忘れ、手離した状態で居座ってみるとこんなにも素敵な風景(セカイ)があるのだと正伝寺に行くと教わります。
だいぶ現代機器に依存していたんだと思います。
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同じ比叡山を借景(遠近法も)する庭園として、圓通寺も有名です。
どちらも本当に素敵なところですので興味がある方は訪ねてみてはいかがでしょうか。
ということで、
今回はこの辺りで失礼します。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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