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現代建築に流れる伝統的な空間:京都国立博物館 平成知新館

こんにちは

京都に訪れたとき、主に伝統的な地域や建築を巡ろうとします。

ただ歴史が流れていると考えた時、伝統的な地域おいて現代に建築を手掛けるとしたらどんな歴史的な背景と向き合って解釈をしているのだろうか、そのような思いが浮かびました。

その視点から京都近代美術館と共に訪ねたのが京都国立博物館「平成知新館」(谷口吉生設計)です。

ということで、谷口建築「京都国立博物館 平成知新館」のお話を綴っていきます。

日々のすき間にのぞいてもらえたら嬉しいです。


|京都国立博物館 平成知新館とは

それではまず、平成知新館とはどのようなところなのかを知っていこうと思います。

京都国立博物館「平成知新館」は故 谷口吉生氏が手掛けた建築
ボクが尊敬する建築家の1人である谷口氏が京都という歴史深い場所で、どのような空間を構成したのかを学びたいと思った建築でもあります。

明治古都館

京都国立博物館は1897年、帝国京都博物館として開館。開館当時の姿をとどめる明治古都館(旧・帝国京都博物館本館)は、赤坂離宮なども設計した宮廷建築家・片山東熊の設計で、重要文化財に指定されている(現在、免震改修他の基本計画を進めるため、展示を休止中)。2014年に開館した平成知新館は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館などを手がけた谷口吉生の設計で、館蔵品・寄託品を含め約1万4千件の収蔵品の中から、陶磁・考古・絵画・彫刻・書跡・染織・金工・漆工など様々な分野にわたる美術品・文化財を展示。作品保護のため随時展示替が行われるほか、年数回特別展覧会も開催される。

美術手帖サイトより引用
平成知新館 ファサード

陶磁・考古・絵画・彫刻・書跡・染織・金工・漆工などの美術品・文化財はどれも歴史という長い時間の中で国内外の文化から多く影響受けながら日本の伝統品として確立してきた品々だと思います。

水盤の庭
谷口吉生建築の定番

明るさが抑えられた暗い展示室に浮かぶように展示された美術品・文化財はどれも美しさを感じますし、学びもあります。
そして展示室を出ると光差す建築空間との明暗の対比も平成知新館を楽しむ一つだと思います。


|うつわの空間

京都国立博物館平成知新館について少し知ったところで、ボクが体験したお話をしていこうと思います。

ここ平成知新館は故谷口吉生氏が手掛けた建築です。
その特徴は以前の記事でも綴らせていただきましたが、自然を受け入れる器のような建築、というのがボクの解釈

もう少し言うと、谷口建築には水や光、影など自然の現象が建物内に様々な形で取り込まれます。

水、光、影、風
自然の現象が建築内に取り込まれていく

水庭を眺める、日差しが反射する、格子にが当たったが床や壁に映り込む、トップライトからも光が注がれる、など各階のホールや休憩スペースにはこうした自然を感じる心地の良い空間がつくられています。

3階からグランドロビーを見る
階によって見え方が異なる

また平成知新館は1階から3階までの大きな吹き抜け空間となっていて、全ての空間と繋がりが保たれていますし、自然を取込んだ現象は各階ごとで見え方が異なっていて、そこも面白さの一つだと思います。

ホール内
ブリッジのような通路や階段が行き来していている

さらに建物正面グランドロビーの格子半透明のガラスがある種大きな障子のようで、中に居ると柔らかな光と直射の光がグラデーション的に彩られ、そこから見える水辺と組み合わさると、縁側的なものを感じられます。

光と影

まるで伝統的な庭園を眺めるような、ただただその場に居座りたくなるような落ち着きが表現されているのではないか、そんな風に思ってしまいます。

水盤の庭を眺める
縁側的なものをイメージする

大きな建物に自然が生む美しさが取り込まれつつ、外と中の境界線が曖昧なところ、それらの要素が現代建築でありながらどこか伝統的な空間を感じてしまう所以なのかもしれません。

障子のようなガラス

ぜひ、京都国立博物館の平成知新館を訪ねたら展示鑑賞を楽しむと同時に、建築空間も目を向けていただけたらと思います。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ベンチもミニマルなデザイン

各地にある谷口建築をこれからも巡っていきたいと思います。

ではまた


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倉嶋 洋介
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