荒野に立つ「のん」
NHK BSで再放送中の「あまちゃん」はいよいよ佳境に。映画が公開され、天野春子と鈴鹿ひろ美も太巻も、心の中にしまっていたわだかまりが解消されていきます。そしてついに2011年3月11日午後2時46分…
『あまちゃん』で見出され注目された稀有の才能は、数年の封印を経て、「好きをつらぬく」力で開花していきます。
2016年の『この世界の片隅に』で声優として復活し、2019年のYouTubeの『おちをつけなんせ』では、監督、脚本、主演、編集、アートを自ら担当して、周りの人たちから学びながら作り上げていきます。
その過程はYouTubeの『のんたれ』でドキュメンタリー公開されていて、映画がどのように作られていくのか、とても興味深いのです。『おちをつけなんせ』は私の好きな岩手県遠野を舞台に、アーティスティックな私の好きなスタイルの映画です。『あまちゃん』で共演したGMT5の蔵下穂波さんが共演しています。
2020年には『星屑の町』で銀幕に戻り、見事な美声を披露しています。同じ年の『私をくいとめて』はほんのりした映画でした。お一人さまのラブストーリー。こういうのんさんも素敵です。『あまちゃん』の橋本愛さんが共演しています。(Amazonプライムで見れます)
2022年には『おちをつけなんせ』に続いて監督、脚本、主演、編集、アートを担当した『Ribbon』が劇場公開されました。コロナ禍で葛藤する美術大学の学生の心の動きを描いた青春映画でした。『おちをつけなんせ』で学んだことが本作には大いに繁栄されていたのではないでしょうか。こちらでは『あまちゃん』で共演したGMT5の山下リオさんが共演しています。
そして、2022年「好きをつらぬく」がテーマである、さかなクン原作の『さかなのこ』に主演。私は最初はさかなクンの役をのんさんがやる姿が想像できず、劇場には行かなかったのですが、YouTubeでのレビュー動画での評判があまりに良いので、オンラインビデオレンタルで見て感動しました。これは良い映画です。のんさんは日本アカデミー賞優秀主演女優賞を獲得するのです。
テレビドラマにはなかなか復帰できないのんさんをかげながら応援してきました。そののんさんは今年30歳。あれから10年が経ちました。
NHK関西の「かんさい熱視線」でインタビュードキュメンタリーが放映されていました。NHK Plusで見ました。推しの私が知らない話がけっこうありました。子供の頃の写真も初めて見ました。可愛らしいです。中学の時からギターを始めていたのですね。
インタビューではのんになった時の気持ちも話していました。
「屈強に立ち上がってきた」
「自分が好きなことしかやっていない。やりたいと思ったことしかやっていない」
「(やりたいことは)めちゃくちゃできています」
「シンプルな好き、シンプルなやりたいが私のつよみ」
のんさんは芯が強い人です。ただ見た目が弱そうに見えるから、なめられてしまうと言っていました。
NHKの番組は終わってしまいましたが、内容のまとめができていました。
それまでは自分のポジティブなところ、屈強なところを見せてきたけれど、10年経って、弱いところ、脆いところも見せていいと思うようになったといいます。その気持ちをバンドのギターのひぐちけいさんのお姉さんのヒグチアイさんに吐露して作ってもらった曲が「荒野に立つ」です。
ヒグチアイさんの書いた歌詞の中にのんさんの葛藤が埋め込まれています。素敵な歌です。そして伊豆大島の裏砂漠で撮ったのんさん自らディレクションしたMVが美しく、情熱的です。
芸能界はどろどろしていますが、のんさんには迎合することなく、好きをつらぬいて、俳優・アーティストとしてますます活躍して欲しい。のんさんは影響力のある人です。その影響力は多くの人に勇気や元気を与えてくれます。私は「推し」続けます。