定年後1ヶ月の日記から
私の50歳からの定年後の準備シリーズです。定年後の日々を記録しようとブログに書くことにして続けてきました。今読み返すと最初の頃は心が揺れ動いていたなぁと思います。最初の1ヶ月をまとめてみました。
【定年後日記1日目】
7時半に起きる。定年壮行会の幹事から写真が届いた。「今日は初日にふさわしい、秋晴れですね!」
妻は仕事なので、私は自宅で家事をする。ゴミを出し、洗濯物を干し、朝食の食器を洗って、あっという間に10時半。
パソコンを開いて創業の書類をチェックした。会社設立までの間、国民健康保険ではなく、前職の健康保険の任意継続を利用することにしたので、その手続きの準備をする。
昼食後区役所へ。健康保険任意継続申請のために所得証明書と住民票を取得する。
それから銀座に出て、シニアの起業支援をしてくれる銀座セカンドライフに依頼していた会社定款など登記の書類を確認し捺印。
同時に依頼していた社印を受け取る。社印、代表者印、銀行印の3つ。代表者印は会社の実印。設立登記の申請と同時に法務局に印鑑を届け出る必要がある。日本はまだまだ印鑑が重要。ハンコを手にすると創業の実感がわいた。
【定年後日記2日目】
午前中は知人に紹介してもらったコンサルティング会社に出向き、社長、副社長と面談。まずは自分の経歴、過去の経験から事業会社視点でのコンサルタントへ期待することをメンバーにプレゼンする事からスタート。次に営業に同行して新規クライアントを見つける。クライアントを獲得してプロジェクトができたら、そのプロジェクトに参加する。
すぐにプロジェクトに加われるのかと思っていたが甘かった。自分は何を提供できるのか? 価値が出せるのか? 話をしながら悩む。
夜7時から紀尾井町で開催される「地域に求められる情報発信力」のセミナーに申し込んでいたが、時間が空いた。泉岳寺にあるコワーキングスペースにドロップイン。1日2,000円でフリーWi-Fiで快適。
しかし時間が経つのが遅い。話かける人がいないので退屈だ。パソコン相手じゃ疲れる。本当は事業計画書を完成させるつもりだったのだが、頭を使う仕事に入りきれず、パソコンのファイルの整理など作業仕事をしてしまう。
4時間で集中力切れたので、泉岳寺から紀尾井町まで歩いてみた。
【定年後日記4日目】
持病の定期検査。健康保険任意継続を申請中のため保険証がなく、自費で払う。検査と診察で10,000円越え、薬は15,000円。健康保険のありがたさを実感する。
サービス業の価格設定は難しい。医療費は診療報酬が点数で定義されているので良いと思う。コンサルティングは、いくらが妥当なのか? ネットで探してみたり、起業相談で聞いてみたり、前の会社でお願いをしたコンサルティングの費用を考えてみたりしたけど、自分の価値が把握できていないので、どうにも決められない。
午後からは、応募していた新しい仕事の面接を受けた。面接はけっこう緊張する。自分が採用面接をしていたときも相手の人はこんな気持ちだったのだろう。言葉を探しながら話をした。果たして結果はどうなるか?
【定年後日記6日目】
平日の昼間に床屋さんに行く。空いていて良い。
午後からは若いベンチャーの仲間とのミーティング。私が退職したら一緒に仕事をしたいと言ってくれていた。今日は彼らのビジネスに私がどう役に立つのか一緒にブレストしてくれた。どうなるかはまだまだ見えていないが嬉しい限りだ。
ミーティングが終わって4時半には帰宅。混んでない電車で座って帰れるのは快適だ。
【定年後日記7日目】
今日は10時から前職の後任者と打ち合わせ。受付でゲストバッチをもらうのはなんとも言えない気分。マネジメントのアドバイスをした。こういう形で継続的なコンサルティング契約できると良いなぁと実感した。
スポットで社員研修の仕事をもらえることになった。さっそく作った社印と代表者印を初めて朱肉に入れ契約書に捺印する。新会社最初の契約だ。うれしい。
事務所が無いので、空き時間はカフェになってしまう。10月からは銀座セカンドライフが運営しているレンタルオフィスを借りる。ここの利点は横浜、川崎、銀座、新宿など系列のオフィスも自由に使えること。さらに登記の住所にも使える。郵便の受付もしてもらえる。
【定年後日記10日目】
フリーだと土曜日、日曜日とか関係なくて良い。やりたい時にやる。やりたくない時はやらない。仕事したら家事する。家事したら仕事する。
WordPress をあらためて勉強した。Udemy というEラーニングのプラットフォームがある。誰でも先生になって自分の講座をネット上に公開できる。日本ではベネッセが事業パートナーになっている。そこで見つけた WordPress の講座を受講する。オンラインマニュアルを読むのは苦手。その点動画は気楽で良いし、わかりやすい。
新しい会社のサイトがとりあえず形になった。WordPress は面白い。楽しい。
【定年後日記17日目】
午前中は家で仕事。午後は横浜のレンタルオフィスに行き打ち合わせ。
少しずついろいろな話が入るようになってきた。まだまだ収入のめどは立っていないが焦らずに一つ一つに対応していこう。人材の育成・教育、カスタマージャーニーのワークショップ、この辺りの需要が高そうだ。
タイトルに惹かれて「稼ぐコンサルタントの起業術/富田英太」という本を読んだ。それによると、コンサルタントの営業活動のひとつは自主開催セミナーだそうだ。
私もセミナーを開催することにした。定年になる前に試験的に2回ほど開催していた。しばらく間が空いてしまったが、ここで再開しようと思う。
【定年後日記20日目】
自宅で仕事を始めるも、思ったほど進まず自分の力不足に呆然とする。集中力が切れて、部屋の片付けを始めてしまい、気がつくといつの間にかもうお昼。一人で仕事をするのは大変なことだと改めて実感した。
サラリーマンは楽だった。会社に行けば仕事は降ってくる。それをこなせば毎月きちんきちんと給料がもらえる。もちろん、組織で動くために制約は多いが。
【定年後日記21日目】
アドテックに行く。今年はカンフェランスのチケットが買わなかったのでビジターで参加。初日のキーノートは興味深かった。
会場で先輩に会った。独立したと話すと、USP(ユニーク・セリング・プロポジション)は何? と聞かれた。「ファンをつくるマーケティング戦略の立案と、経験を活かしたマーケティング人材の育成です」と答えたら、「人材育成の講師なんていくらでもいるから差別化できないと無理だよ、時代は進化しているから古い経験は役に立たないよ」とガツンと言われて少しへこんだ。
【定年後日記22日目】
アドテック2日目、午前中はキーノートを聴き、その後会場で最初のクライアントと打ち合わせた。昨日は先行きに不安になったのだが、今日は明るい話が入ったので元気になった。いちいち一喜一憂していないで、ゆったり構えるべきだと思う。
午後は横浜に戻って法務局へ行き、必要な登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、印鑑証明書を取得した。会社法人番号が決まった。いよいよ開業だ。
【定年後日記24日目】
登記簿謄本を持って銀行口座の開設、法人設立届出書の提出。
まず三井住友銀行へ。個人口座があるので、ハードル高いと言われている都銀にチャレンジ。ハンコも持っていったけど、今日は申請書を書いて終わり。審査の結果はケータイに連絡しますと。最大2週間かかるそうだ。なんか拍子抜け。
税務署に法人設立届出書、給与支払事務所等の開設届出書(役員報酬でも必要)、青色申告承認申請書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出。こうした申請書のフォーマットはネットにExcelがあるので、家で記入してプリントして提出した。
次に県税事務所へ。県への届出もすぐ終了。
続いて年金事務所へ。社会保険の申請について相談。
最後は市財政局に法人設立届出書を提出。
これで会社設立の手続きは終了。
【定年後日記25日目】
台風は関東を縦断。交通機関は案の定ガタガタだ。しかしながら、フリーランスの私は行くべき会社も無く、家で悠然としている。
今後3期にわたる予算を作った。それを入れて事業計画書が完成した。しかし予算どおりにいくのかまったく実感がない。
台風一過で晴れ渡った午後、レンタルオフィスへ出かける。ここを登記の住所にしている。郵便の受取サービスがある。国税庁から法人番号指定通知書が届いていた。そして会計事務所からのDMが何通も。登記するとDM来ますよと言われていた。
夕方は丸の内の東京スタートアップハブで、大学時代の友人二人に会った。ここは東京都が運営している起業支援の施設。コワーキングスペース、書籍コーナー、セミナースペースがある。コンシェルジュが起業相談を受けてくれる。自治体のこうしたスタートアップ支援は増えているようだ。
友人の一人は就職せず若くして起業して苦労した人。もうひとりはサラリーマン。私同様にもうすぐ定年。定年後を悩んでいる。
会社を作る前は手続きなどが気になって起業の本をいろいろ読みあさったが、会社を作るのは意外と簡単。肝心なのは会社を運営することだ。
【定年後日記30日目】
定年後30日目。いろいろな人にお会いしたり、メッセージをもらったり、少しずつ仕事のめどもついてきて、気持ちも落ち着いてきた。
この日記もコツコツ毎日書いてきたが、よく続きますねと言われた。一年以上続けようよとも言われた。先輩からは毎日発信することが重要だよと言われた。発信し続けることで情報や仕事が入るようになる。そのためには「毎日発信する魅力的な情報を日々拾い続けることが大切」と。その通りだ。
会社のタガが外れたので、意識的にインプットしないと、ダラダラ怠けてしまう。さまざまなイベントやセミナーの情報は簡単に入手できる。いろいろ出かけてインプットできた。そしてこの日記でアウトプットできた。やることがあるのが生き甲斐。