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【旅log】美食はどこまでも〜ネパール〜
みなさん、こんにちは。海月です🪼
社会不適合者の私は、現実逃避のためにお金と時間の許す限り旅に出たいと思っています。精神的亡命です。
ネパール1人旅の感想をいくつかの記事に分けて投稿していきたいと思います。
尼料理の実力
旅最大の楽しみと言っても過言では無いのが「食事」。
日本にもネパール料理レストランは沢山あり、私もランチ時には頻繁に利用します。(ベタですがオススメは「ハニーチーズ ナン + カレー」)
海外旅行先では、現地で最高の「普通ごはん」に出会うことが何よりも嬉しいです。そして、現代的な土地から離れた方が、新鮮で美味しくて安いものに高確率で出会える印象があります。
そういう意味でもネパールへは期待大✨
出国前にネットやYouTube等で一通り調べましたが、どうやらネパールは結構な『飯ウマ国』らしい…♡
張り切って入国した後、初めての腹ごしらえは滞在先のホテルのレストランでした。
小さなホテルに昼時を過ぎた午後3時というタイミングで、お客さんは私1人。白い歯が印象的で優しそうなお兄さんが「ナマステ」と丁寧に両手を合わせて、清潔な店内へ迎え入れてくれました。
早速マトンビリヤニ(羊肉の炊き込みご飯)を注文すると、芸術作品がご登場。「見たらわかる、美味いヤツや〜。」
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お米にはしっかりと芯が感じられるし、焼きたてのパパドはパリパリとしてご飯によく合います。
輪切り野菜たちも新鮮で、羊肉も茹で卵もケチケチせずに豪快に入っていますし、トッピングされたカシューナッツとレーズンは、噛めば栄養価の高い事が分かる気がする位しっかりと素材の味があります。
日本人の舌からすれば、慣れない具材で攻めのコンビネーションをかまされた状態の様ですが、これらが絶妙に調和して上品に優しく仕上がっているのです!
油っこさやスパイスのキツさは一切ありません。
「美味しい〜♡」
余りの美味しさに目の前のご馳走に感動しながらも、ヨマリ・ダルバート・ジュージューダウ 等々、他のネパール料理にも期待に胸が膨らんで来ます。
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これは黒糖の餡が入っていて美味しかった
よっしゃ、ネパール食べ尽くすぞ〜と思っていた折、突然目の前のテレビの電源が付きました。
きっとお兄さんが気を利かせてくれたんだろうと思い観てみると、どうやら野生動物のドキュメンタリーらしき番組が放送中のようです。
余談ですが、ネパールは沖縄と同じ程度の緯度にありますが、
南部 → 熱帯気候
北部 → ヒマラヤ高山気候
首都カトマンズ → 雨季と乾季のある亜熱帯性気候
といった感じで、3種類の気候帯に属する地理的にも興味深い国です。
それに伴って生態系も面白い!
熱帯雨林のゾウやトラから、雪山のレッサーパンダやヤクまで、決して大きいとは言えない同じ国土に多種多様な動植物が生息しています。
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話はレストランに戻り、動物好きな私は興味津々に番組を観始めると、夜のジャングルを背景に子ザルの兄弟が映し出されました。
とても仲が良さそうで、毛繕いをし合ったり戯れたりしています。
お互いが大切な存在であることが大きな瞳の温もりからも読み取れます。
癒されるなぁ…。旅の緊張から心が緩み、自分と妹弟の子供時代について思い返そうとした瞬間、枝々が激しく揺れたかと思うと突然猫科らしき猛獣が画面に飛び込んできました。
一瞬で子ザルを捕え、冷めぬ興奮状態の中ギラギラの眼で周囲を牽制しています。
カメラは誤魔化すことなく、ジャガーの口の中で目を見開いたままの子ザルをハッキリと映し出しました。先程と変わらぬ澄んだ瞳の様子から恐怖を感じる瞬間も無い本当に一瞬の出来事だったと分かります。
側では、たった今片割れを失ったばかりの兄弟が悲しそうに肩を落としていました。ただ、次に自分に降りかかるかもしれない災難への警戒は解かず、どこか落ち着いたままの野生の強さが感じられました。
不意のリアルな捕食シーンに唖然とする私を待ってもくれず、場面が変わって次は1匹のヤギ。
大蛇に一瞬で捕まるとジリジリと絞められて、絶望に鳴く声も次第に弱くなり、そのまま丸呑みにされました。
次は、水鳥の親子がワニとフクロウに挟まれている絶対絶命のシーン。
一羽の雛鳥が闇の空へと攫われて行く傍らで、更にもう一羽がワニの餌食となりました。
様々な動物の食事シーンを肴に至高のビリヤニを食べ続けるヒト。
画面に映し出されるのは漏れなく肉食獣の過激なハンティングシーン。
「なんや、ネパールの生態系なんか全然関係ないやん。」
世界中のお肉愛好家がご登場する番組に、少し遅れてある疑問が湧いてきました。何故、今これを観せる?
宗教教育か?外国人観光客は血気盛んだと思われた上でのサービスか?それとも、あそこで爽やかに微笑んでいるウェイターの趣味か?
決して良い気分でも無いけれど、捕食シーンも私の箸も止まりません。
ビリヤニは依然としてハッキリと美味しいのです。
下手な店だったら食欲も味覚もとっくに麻痺しているでしょうが…。
美食の国ネパールは、人間の倫理観や反嗜虐性に気を遣う必要もなく、圧勝的に「ウマイ」ものを提供してくれるのかもしれません。
「なるほど、これはネパールの美味しいご飯への強い自信の表れなのかもしれない。」
恐らく違うけれど、ウェイターのお兄さんの笑顔をそう解釈すると決めて旅を盛り上げることにしました。
ネパール最後の夜、私は同じレストランに座りました。
ビリヤニは格別で、お兄さんも相変わらず丁寧で、テレビの中のサルも綺麗な目をしたままでした。
生きることは食べること
食べることは生きること
何処かで聞いたセリフを思い出しながら、狩りも仕事もできない1人の雑食動物の存在を肯定し、日本への帰路につきました。