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【クラファン開始まであと4日】薬はじめてガイドの製作を振り返る③

こんにちは、中の人1号の仲田です。
繰り返しの宣伝で恐縮ですが、「発達障害の薬はじめてガイド」プロジェクトでは、このたび、印刷費と活動継続資金を集めるため、クラウドファンディングに挑戦することになりました。

クラウドファンディング開始日は2022年9月12日(月)です。期間は10月31日(月)まで。まだページは公開されていませんが(9月8日時点)、こちらのURLからの受付となります。

クラウドファンディング開始まであと4日となりました。noteやtwitter (@kuracilo)のフォロー、拡散をどうぞよろしくお願いいたします。

どんな人のためのパンフレットをつくるのか

夏になると、11月の発行に向けて、瀬戸川さんと共に怒涛の校正作業が始まりました。初稿は、あくまでも発達障害の当事者が読むことだけを想定して書かれていたため、瀬戸川さんが当事者の家族(発達障害非当事者)や、支援者が読むことを想定してマイルドな表現に変えた部分もありました。

誰の視点で、どのような文脈を想定してパンフレットを書くか。それは、本当に難しく、考えさせられる問題でした。

発達障害をどういう風にとらえるか、色々な見方があるとは思います。
①当事者に向けたメッセージとして書く、②診断がついた後で心が揺れていても、パンフレットを読むことでネガティブな気持ちにならないようにする、という基本方針はありました。それに加えて、私たちは「読者は発達障害特性によって、何らかの困りごとを抱えている」という前提で書くことにしました。

発達障害の診断基準の中には、例えば注意のコントロールが難しいことなど、特性そのものの描写にくわえて「それらの特性によって困っている(生活に支障が出ている)こと」という基準があります。「発達障害は障害ではなく個性だ」とおっしゃる方もありますが、特性によって困っていないのなら、それはそもそも「発達障害」とは診断されないのです。

パンフレットの執筆を開始した時点では、「科学的な視点で」書かれたもので、なおかつそれを読む当事者を傷つけないように気遣って書かれたと推測されるような書籍やパンフレットのお手本が、ほとんどありませんでした。実現したい未来に向けて、自分たちが表現の型を作っていかなければならない、というのは、かなりの緊張感がありました。それは誇らしく、楽しい作業でもありましたが、小心者の私は、発行してからしばらくは、「あの表現、本当にいいんだっけ?」と自問自答してうなされる日々が続きました。
ただやはり私自身が、「科学的に中立」な視点から書かれたと思しき「自閉(スペクトラム)症者は/ADHD者は~ができない」という表現に傷ついたり、振り回されてきたという経緯があったので、できるだけそのような表現は避けるようにしました。

また、瀬戸川さんと作業を進める中で、定型発達者と発達障害当事者の感覚の違いによって、意見が食い違う場所もありました。定型発達者の視点から「冗長だ」と指摘された表現のなかには、当事者から見たら絶対に教えてほしい、判断のポイントとなるようなインストラクションもありました。
そういうときは時間をかけてすり合わせをし、できるだけ簡潔で、なおかつ意味を損なわないような表現に変えました。

研究の世界の大先輩、監修の許斐先生

許斐先生は、私の主治医としてお世話になっている、専門病院のお医者さんです。瀬戸川さんと私にとっては、大学院でお世話になった先生の先輩にあたる、研究者の大先輩でもあります。

発達障害について研究しているわけでもない私が、情報発信をしてもいいかなと思ったきっかけは、実は許斐先生が「仲田さんは、とても薬物療法がうまく行っているモデルケースだ」とおっしゃったことです。
許斐先生とは、診察のついでに「どうやったら、みんなが薬をうまくつかえるようになるんだろう」という話をよくしていました。何かがうまくいったら、再現できる条件を見つけたくなる研究者の本能のようなものなのかもしれません。
パンフレットの内容は、許斐先生と一緒に考えたことを凝縮した部分も多く含まれており、いわゆる監修だけしていただいた先生、というよりは、共著者であります。そして、研究の世界の慣例で、許斐先生にも無償で協力していただいております。ありがたい限りです。先生、すみません…!(あとでほかの啓発活動の決算表を見て、研究者の世界とは違うルールの存在を知りました)

2021年11月1日、ついに発行へ

発行に向けて、たくさんの作業がありました。私の研究室の学生さんにアルバイトでお願いしたWebサイトの製作や、サイトに掲載する読み上げ動画の収録、そして前田印刷さんへの入稿と校正。
私たちにとっては初めての作業が多く、たくさんの方に助けていただきました。QRコードを掲載させていただいたアプリや書籍の製作者、出版社の方々に快くリンクの許諾をいただき、本当に感謝しています。

発行後も、富山やつくばで、そしてハッタツソンフェスでの紹介動画や学会での書籍展示、大阪での普及活動など、製作だけでなく広報にも、現在進行形でたくさんの方々のご協力をいただいて、今に至ります。

予算の切れ目が活動の切れ目になりがちな現代の日本で、活動を続けていく、と宣言することには大きな覚悟がいります。しかし、ひとりの当事者としては、誰かに教わった情報源がもう入手できなくなってしまっている、ということが頻繁に起こると、やはり不便なものです。
皆様からの力をお借りしつつ、発達障害の薬はじめてガイドはできるだけ長く活動を続けていきたいと思います。

<「振り返る」エッセイはいったんここで終わりですが、明日も更新は続きます>

クラウドファンディング開始まであと4日!プロジェクトページはこちら。拡散へのご協力、よろしくお願いいたします!!


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