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日々是くらげ9日目「車を買ったことで移動の自由を取り戻せたかもしれない」という話

今の私は、生活が楽なのである。

完全出来高制の仕事が主な収入源になっていて、締切とノルマさえ守ればいつ仕事をしてもいいという環境なのだけど、この働き方は自分のADHDの特性と噛み合っていて、今までの人生の中で一番仕事ができている時期だ。

というよりも、こんな特殊な状態でもないと仕事をすると簡単に病んでしまうほどの豆腐メンタルということでもある。30分もじっと座っているということすらできないし、気が向いたらサボってしまうので普通の仕事をオフィスで淡々とこなすということが全くできない。こういう面倒な特性があるので、在宅ワークに切り替える前は本当に死にたくなったことも少なくない。さまざまな良い出会いがあって、今のような仕事ができていることは本当に幸運だったと思っている。

この作業スタイルのいいところは平日昼間でもある程度自由に動けることで、今でも一週間に一度は何かしらの形で通院しているし、福祉関係の手続きでしょっちゅう役所などに行かないといけない身としてはとても助かっている。

障害者はなにげに忙しもので、オフィスワーカー時代には有給などは簡単に消えてしまって、通院などのために休めば休むほど給料が引かれていた。ただでさえ給料は安い状態なのにそこからガンガン給料が引かれて行くので、社会保障があるとはいえ精神的にはかなりキツイものがある。それだけでも今の仕事スタイルに変えられた意味はとても大きいと思っている。

また、昼間からサウナに行っても誰も怒らないことが嬉しい。私は補聴器やらメガネやら人工内耳やらを装着していて、頭部のバランスが悪いせいか慢性的な肩こりに悩んでいる。また、だんだん寒くなっているが体が冷えると節々が痛むくらいなので、人が少ない間にスーパー銭湯に行って体を温めることができるのはとてもありがたい。まぁ、昼間サボった分、深夜まで仕事していたり、締め切り前に泣きそうになったり、思ったより稼げなくて金のやりくりに死にそうになったりもするのだけども。

ところで、今の生活を支えているもう一つの武器は車である。昨年からカーシェアリングサービスやマンスリーレンタカーサービスを使って車が乗るようになっていて、最初は運転にめちゃくちゃビビっていたのだけど、運転に慣れるとあまりにも便利すぎてなんとかお金をやりくりして今年2月に車を購入した。ローンの支払いやバカ高い駐車場料金、高騰しつつあるガソリン価格に悩んでいるんだけど、私の住んでいる場所は都内の中でも交通が良くないところなので、通院や区役所などに行くための負担や時間の削減になってる。

スーパー銭湯の行き帰りでは、車を持っていない頃は徒歩とバスで行っていたのだけど、サウナに入った爽快感もどこへやら、家に帰る頃にはとっくに冷えてしまっていた。今は駐車場までは少し歩くけど、ほぼストレートにスーパー銭湯まで行き来できるというのは思った以上に快適である。本日も妻を車に乗せてスーパー銭湯に行ってきて体の痛みを癒やしていた。

また、新型コロナウイルスの流行がかなり落ち着いてきたとはいえ、マスクはまだ外して移動はできない。私も妻も程度は違うけど感覚過敏があって、長時間マスクを装着していると苦しくなってしまう。しかし、車で移動すれば、外出先でも車から降りているだけマスクをつければいいので、マスクの息苦しさを軽減できている。車そのものが動くマスクになっている感じだ。車がなかったらコロナの流行からこっちは普段の外出もかなり少なくなっていたに違いない。

また、妻は数年前にてんかんが再発して、いつ倒れてしまうか分からない。そのため、外出を控えざるを得なかったのだけど、車を買ったことである程度は移動の自由を取り戻せたと思う。車には車椅子が積んであるし、なにかあったら車に戻れば横になれるし、そのまま帰ったり病院にかけこめるのは命を守る上で重要になる。出先にシェルターを持っていけるようなものだ。

移送する自由はやはり精神状態にも影響を与えているようで、てんかんの悪化とも妻のうつの状態なども進行していった。私自身も妻の通院のたびに道中で倒れるんじゃないかという不安がすごく負担になっていて精神的な余裕がなくなってイライラする事が増えた。夜間に倒れて救急搬送されることもたびたびあって、タクシー代なり医療費で結構な額が飛んでしまう。確かに車を維持するのは金銭的にしんどいけど、トータルで見れば急な出費は減ったし、私の精神的な負担もほとんどなくなった。なによりどういうわけかわからないけど、妻の体調もかなり安定してきた。これだけでももとは取れている、と信じたい。

障害や病気があると、移動すること自体がとても大きな壁になる。これが少しでも楽になる方法があればいいのだけど、私の場合は運転するということがそれに該当していた。18歳のときに「田舎の習慣」のノリで免許を取得したのだけども、ずっとペーパードライバーで37歳になって本格的に必要になるとは人生はどこでどう転がるかわからないものだ。

障害があると免許の取得が難しいイメージがあるけど、むしろ、国や地方自治体は自動車免許の取得を促進したり、車の購入補助をもっと拡充するというのも一つの「バリアフリー」の方向性としてあるんじゃないだろうか。

実際、私が住んでいる江戸川区では一部の障害があると許取得の補助が出るし、自動車の改造に対する補助金がある。また、東京都の社会福祉協議会でほぼ無利子で車の購入資金を長期貸付を行う制度もある。障害があって移動に不便を感じていたら思い切って自動車を使えないか制度や障害者対応の車を検討してみてもいいもしれない。

また、今は運転ができなくても、将来的には自運運転の性能があがってくるだろうから運転の可能性がもっと広がるかもしれない。そして、移動がより自由な世界になっているといいなぁ、と願っている。

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聴覚障害・ADHDの当事者「くらげ」の日記です。障害のことや社会のことなどを身近な生活から考えていきます。最後のおまけだけを有料にさせていただいておりますので無料でもお楽しみいただけます。

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。