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「嫌い」とどう付き合うか

「嫌い」はタブー!?

”嫌い”という感情の仕組みの解説、嫌いな人と付き合う方法…
そういう本はいくらでもある。
しかし本書みたく『”嫌い”という感情は人として誰しも有するもの』だという風に、”嫌い”という感情を肯定している本って珍しいと思った。
大人になるにつれてどんなに納得出来ないルールや結果に対しても「我慢して受け入れなくてはいけない」という風潮が強いのが現実。

とはいえ、いくら頭で「こういう目的があるのだから止むを得ない」理屈付けて納得させようとしても、心の中の「嫌だ!!」という思いは強まってしまうのが人情。ロボットみたいに一度心に芽生えた感情はそう簡単には割り切れないもの。むしろ無理して頭で納得させようとしてばかりだと、ストレスが溜まるばかりで精神衛生上良くない。それどころか体を悪くしてしまう事すらある。

だから頭で納得させようとする前に、一度自分の気持ちに素直になるのが良いのかもしれない。”嫌い”という感情を否定せず受け入れる事が出来れば精神的にラクになる。ある程度リラックスしたら、”嫌い”の理由を考えてみる。どんな理由が浮かんだにせよ、否定するのではなく『己の本心』として受け入れる様にしたい。そうすれば”嫌い”とどう付き合えばいいかも自ずと分かってくる筈。

「嫌い」のしくみ

【「嫌いっ!」の運用(以下は【嫌い~】と略す)】においては作者の中野信子氏が脳科学者である為、”嫌い”が生じる過程を脳の仕組みから説いている点も面白い。なので主に印象的だったのを下記に2つ述べます。

①眼窩前頭皮質⇒対象をよく見極めた上で判断し、決断。理性的
②偏桃体⇒直観(生理)的に「嫌い!」と判断する。


②の場合に関しては出来る限り避けるのが賢明でしょう。しかし①の場合に関しては無理して克服しなくても良いから、その”嫌い”の感情を活用するのがベターかと思います。

「嫌い」の活かし方

AKBグループの産みの親とも言える名プロデューサー秋元康氏は【定期的にあえて”嫌いな人”と会う】事を習慣づけてるとか。嫌いな人を観察し、”その人の何処か嫌いか””なぜ嫌いか”という理由を見出して、それを己の向上とビジネスに活かす為に。
”嫌い”というのはネガティブだけど、向き合い方によってはポジティブな方向に進む為の原動力にもなりえますからね。

人が人を嫌う理由は主に『そいつと自分が似ている=同族嫌悪』『そいつが自分と真逆』という2つに分けられる。前者に場合においては、「そいつの嫌な部分を見極めて、自分はやらないようにしよう」「自分にもその欠点があるのなら、どうやって補うか」と己を成長させる方向へと思考を進められる。後者の場合においても「アイツは俺にない~という長所を持っているからだ!」という風に”嫉妬”から相手を嫌ってるんだと理由を思いつく事があったりします(あくまで一例だけど)。同族嫌悪の場合と同様に「欠けてる部分を自分にある長所で補う」、又は「どうやって欠けてる部分を埋めていくか」と成長へ向けて思考を進められますね。

勿論秋元氏みたく”嫌い”の感情を上手くコントロールし、ポジティブな思考へ繋げていくのは容易ではないでしょう。
しかし”嫌い”を否定せず一旦は受け入れて、その”嫌い”が生じる理由を考えるのは生きる上で重要かと思いました。

”嫌い”の理由を突き詰めていけば

・本当に自分が”嫌い”なのは何か
・自分は何を望んでいるのか

が段々と分かってくるものですから。

俺もせっかくこの本を読んだのだから、”嫌い”という感情を上手く活用していきたいです。とはいえそう簡単には上手くいかないでしょうけど…
少なくとも無理して『嫌なモノを無理して納得する』のはやめようと思いました。自分が”嫌い”であっても、他人に押し付けたりしなければいいのだし。

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