舞台「両家顔合わせ」【感想】こんな家族たちなら最高!!
主人公は(おそらく)料亭「にしむら」の従業員、小坂慎之介(福原英樹)。西村家次女・桜(関根ささら)と東條家次男・蒼史(天野眞隆)の両家顔合わせ当日、慎之介が庭を掃除しているところから始まる。
そして桜、父の徳一(すずきつかさ)、中居の熊田美香(だんしんぐ由衣)と次々に様々な登場人物が現れるんだが、今回も本当に例外なく個性の強い人たちばかりだった。
桜の父なのに、”とある事情”で顔出しが出来ない徳一のかわりに、熊田剛(木村俊之)と美香親子を西村家の親子だと偽るところから全ては始まった。
うまくいくはずかないが、なぜかうまく誤魔化せつつ話が進む展開は相変わらず健在だ。なんで気付かないんだ?というツッコミはもはや不要。
勘違いに勘違いを重ねて、てんやわんやの大騒ぎ。次はどんな破天荒な展開が待っているのか。どんな人物がやってくるのか。わくわくしながら見るこの感じ!これこそ、シアターザロケッツさんの醍醐味のひとつだ。
逃げ回る父や、面白いからと中居になりすますキャバクラ勤めの桜の姉・楓(柚木美咲)もたいがいだが、東條家も負けてはいない。
遅れて来た東條家の長男・雅史(井上貴々)が、珍しい昆虫を見て奇声を上げて追いかけるさまや、パッと見よく出来た好青年だが事ある毎に(それもかなり頻繁に)なぜか猪木になる蒼史を見てると東條家もなかなかの逸材揃いだとわかる。
ある意味めっちゃ相性がいい両家だと思ったのもつかの間。遂に正体がバレてしまうところから状況は一変。破談の雰囲気が出てきてしまう。(見ているこちらは遅いぐらいだと思いつつ·····笑)
ここからの展開もさすがのロケッツさん。今までのドタバタコメディの雰囲気がキュッと締まる。それでいて、シリアスになりすぎないのがいい。実際の様子は舞台で観てもらうとして(2022年6月19日まで中野のザ・ポケットで公演中)、ロケッツさんのこういうコメディとシリアスの絶妙なバランスが本当に大好きだ。
個人的にはシリアスだけの舞台は好きな反面、コメディだけの舞台はかなり苦手なのだが(お笑いライブはもちろん別)、コメディ多めでも最終的にはこんなテイストに仕上げてくれるなら話は別なんだなと改めて思った。このバランスでずっといてほしい。
何気に書いてこなかった、東條家長女・華(遠藤しずか)について書こう。彼女は最初あたりでタバコが吸いたいと慎之介に言っている。家族には知られたくないからこっそりと。ここで、東條家での彼女のあり方が分かる。「いい子」であろうとしてきたのだ。
だが、途中で喫煙者だとバレそうになる場面が出てくる。そこで、慎之介がしれっと彼女を庇うのだ。彼女以外の誰にもバレない陽に。その姿が妙にカッコ良かった。彼のこの時の行動がどこかで少しでも実を結ぶといいなと思っていたら·····(あとは劇場で)。こういうところもロケッツさんが好きなゆえんである。
もっと観たかったが、そう何度も観れるわけではないので、せめて記憶の新しいうちにとnoteにしたためてみた。とは言え、執筆現在はまだまだ公演最中なので、行ける方はぜひどうぞ。たぶん、まだ席はあるはず。あくまでたぶんなので悪しからず。
※役者さんのお名前は敬称略にさせていただいています