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ドラマ「大恋愛」【感想】ありえないけどありえる物語
パラビで放送してたドラマ「大恋愛」、9月中に終わるというので駆け足で見た。
このドラマは戸田恵梨香とムロツヨシが主役の物語。文字通り、大恋愛のお話だけど、間宮真司(ムロツヨシ)と結ばれる相手の尚(戸田恵梨香)が若年性アルツハイマーであることが根幹にあるのが特徴。
こうしたことをテーマにしたドラマや映画は今までにもあったと思う。推してる劇団のひとつ、#teamキーチェーン でも「水面に浮く花」という舞台でも扱っていたし、「すって。はいて。」というタイトルでも映画化もしている。
だけど、この「大恋愛」はまた全然違う。タイトル通りに"大恋愛"もテーマとなっているからだ。
”大恋愛”ってありふれたタイトルに見えるが、そういうからにはそんじょそこらのようなシチュエーションにはできない。だけど、それをしっかり体現しているのがこのドラマのすごいところだと思う。
尚がフレーズを暗記するほど好きな小説。その作者である真司に、偶然に会うことがまず普通ではない。
また、尚の病気の主治医・井原侑市(松岡昌宏)がたまたま若年性アルツハイマーの権威であることも、彼がもともと結婚するつもりだったのにドタキャンした相手でもあることもまずありえない。
さらに、侑市がラストあたり、尚の母親である北澤薫(草刈民代)と結婚することも、素敵過ぎて興奮してしまうほどだけど、そうそうあることではない。
そんな、ありえないシチュエーションばかりだけど、それがいやだというわけでもなく、むしろ「大恋愛」の名に決して負けない内容の素敵なドラマだったように思う。
だけど、ちょっとひっかかるのが、同じく若年性アルツハイマー病を患っていた松尾公平(小池徹平)。執拗に尚にアタック(まさに”攻撃”、尚へ、同時に真司に対しても)していったわりには周りがほとんどなにもできなかったこと、しなかったこと。
最後は尚の機転で助かったものの、転院させるとか、警察に言うとか、もっとどうにかできなかったのかと。公平があれだけのことをしていたのにほぼ放置で、一歩間違えば、そこで酷いことになってたかもしれないだけに余計にそう感じた。
公平という存在を出すのはいいけど、この形にする必要があったのかと疑問を抱かずにはいられない。この形にしたからには上で書いたようなモヤモヤポイントを無くしてほしかった。
唯一良かったと思えるのは、役者としての小池徹平の狂気の役を見れたことか。ただ、このドラマじゃなくても良かったのでは、とも思う。
それから、最後の結末はやっぱりショックだった。ドラマを最後まで見終わったあと、少し呆けてしまった。記憶を失くした尚とそれでも真司はずっと寄り添っていくのかなと思ったから。
そして、そこだけが妙にリアルにも感じた。この病気がそうなんだろうということではなく、誰しもあっけなく逝ってしまうこともあるんだな、ということを。
ドラマ「大恋愛」、手放しで最高だ!大好きだ!とは言えない。だけど、とても良質で丁寧に作られている作品。
こんな”大恋愛”してみたいな。ただ、もっとハッピーなので、ね。
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