姉妹の絆
ちょっとだけ趣向を変えて書いてみようと思う。
この前、妹が20歳になった。
私には4つ年下の妹がいて、現在スイスの音楽大学の学士課程で勉強をしている。私より1ヶ月早く妹の方が先に家を出て勉強を始めて、海外生活にも柔軟に適応していった。
10代で親元を離れて1人で勉強をするために海外に渡る勇気はすごいなあと我が妹ながら尊敬しているし、底力のようなパワーの馬力にいつも驚かされる。
小学生の頃は水泳選手(全国区の選手でした。ジュニアオリンピックとか出るくらいの実力者)とヴァイオリンを両立させて、競技を引退すると決めた潔さとそこから音楽に全熱量を傾け、フランス語を習得し、スイスの音大へ進むと決意する。
普通の女の子ではないなあ、私の妹は、といつも思っていた。
まあ、私はいわゆるシスコンってやつだ。
妹が生まれた時も両親のおかげで赤ちゃん返りをすることなく、妹を溺愛する姉になり、何かと妹を構い倒していた。(そのおかげで、生後1ヶ月も経たないうちに私の風邪がうつって鼻垂れの乳児になっていたけれど。)
大きな喧嘩もなく、同じ勉強机を共有していたこと時期もあったし、勉強部屋も寝る時も大体隣り合わせ。
「4歳差」という距離感がちょうどよかったのだと思う。卒入学は、高校と大学の時に初めて重なっただけで、それ以外はバラバラの時期。
担任教師や関わる人々も良い塩梅に散っているので、お互い「ああ、妹さんね」とか「ああ、お姉さんか」とか『姉』とか『妹』というものに比較的縛られずにこれまでの学校生活を送れていたような気がする。
そんな環境も影響してか、割と私たち姉妹の関係は独特な友人関係のようでもある。
私の場合、妹が1言えば大体5から6くらいまで予想できるし、妹もまた同じくらいの精度で私の言いたいことを先回りするかのように予測してくる。
会話のスピードは恐ろしいほど早いし、お互いの頭の回転も似ているので、ある種自分の分身と話して自分自身と対話しているように思う瞬間もあったりする。
両親ですら多分姉妹の会話を理解することは難しいだろうなあと、毎度妹と話すたびに思う。
私にとって20歳の節目はとても大きかった。
大人になるということ、独り立ちしていくこと、自分を確立させていくということで19歳と20歳の境界線をまじまじと観察しながらその線を思い切って踏み切った記憶。
それから4年が経ち、妹が20歳になった。
これもまた私にとっても大きな節目かもしれない。
姉妹であっても、ほんのわずかながら小さなパワーバランスは生じる。20代と10代という近くて遠い境界線はずっと存在し続けてきた。
しかしそれが取り払われた今、1人の大人同士として改めて対等になったのだろう。
そういった意味でも、妹が20歳になるという節目は深い意味を持つ。
「姉氏、私は忙しいのだ。」と電話越しにわかる妹の大学生活の多忙さの最中だけれども、クリスマスを少しドイツで過ごそうと7時間かけてフランクフルトに来てもらうことになった。
名目としてはフランクフルトのクリスマスマーケットを一緒に回ろうよということになっているが、私としては1ヶ月遅れてしまったけれど妹の20歳をお祝いすることの方がどちらかというとメインだ。
3年ほど連続して、妹は1人で自分の誕生日を迎えている。
それに対して私の場合はこれまで1人で誕生日を過ごした事はなく、必ず誰かがいた。
狙ったかのように近年1人の誕生日を過ごしていた妹に、1ヶ月遅れではあるもののちゃんとおめでとうと同じ空間で同じ時間を共有しながら伝えたい。
それがなおさら20歳という節目であるのであれば。
「なんで姉はそんなに楽しみにしてるのよ…。」とワクワクしている私を見て妹は半ば呆れ気味だけれども、伝えられることは伝えておきたいという私のわがままに付き合ってもらうことにする。
勝手に妹のアニバーサリーイヤーを1人盛り上げている、側から見ると迷惑そうな姉だけれども、めげずに今年は何かと理由をつけてお祝いをするつもりだ。
私も20歳をきっかけに、精神的な自立やその当時気難しかった父娘関係を学んだ。それは母が1年間かけて「20歳」という節目を意識させるような言葉と立場の変化をもたらしてくれたからである。そこからの時間はあっという間だったけれども、「社会人」であるということを深く認識するようになってからの精神的な成長と人間としての成長は早かったと自分を振り返って、今感じている。
必ずしも同じことをすることが良いわけではないけれど、私なりの方法で4年先に生まれた人間として「20歳」という節目について伝えられたらと思う。
昨日で連日続いた演奏会ラッシュが一旦ひと段落して、部屋の掃除を朝からしている姉と7時間の電車旅をしている妹。
姉妹が揃うまであと数時間。
「20歳おめでとう!」
そう全力で伝えたいと思う。
Liebe meine Schwester, alles Gute zu deinem 20. Geburtstag!
Bleib immer so, wie du bist!
Mit ganz viel Liebe,
妹もスイス生活記を綴っています。
音大のこと、生活のこと、食事のことからちょっとした気づきまで幅広く書いているブログなので、ぜひ覗きに行ってみてください。特に食事のことは面白いです笑(ブログタイトルが19歳になっているけれど、ちゃんと20歳に11月になってます、笑)