メラトニンのグミ
どうも最近眠れない。
睡眠の問題は1人暮らしを始めてから頻発しているけれども、今はイレギュラーなことが多すぎて余計に気がかり。そして、日中の眠気がかなり辛い。寝られていなくても日中はアドレナリン全開で動き回れるパターンもあるけれど、今回は昼間の活動量も減少気味になってしまった。
日本に一時帰国をしてからというもの、ぐっと睡眠時間が伸びた。起きられないことの方が圧倒的に増えて、暑さにへとへとになりながら起きる。夏バテかあ、暑さにやられたのかあと気がついたのはドイツに戻る直前だったから、なんとも言えない暑さ疲れにすっかり体は参っていた。
ドイツに戻って一日過ごした後はマスタークラス(講習会)のためにイタリアに飛んだ。
そこのベッドは夏バテに削られていた体にとっては過酷なもの。スプリングの効き過ぎたマットレスはまるでトランポリンのようだったし、暑い地域あるあるの掛け布団がもはやシーツでペラッペラ。シーツとシーツの間に寝ている感じ。ツルツルしていて、さらにはマットレスの間にしっかりと挟み込まれているので、自分が入るスペースを確保する方が大変。マスタークラスは何度行っても緊張するし、毎日ちゃんと弾けるだろうかという不安との戦い。初めての先生ではなくて、知っている先生とはいえ緊張するものは緊張するし、体力がーとか寝れてないーとかいろんなことを差し置いて「今」その場で出た音楽が評価されるものである場所であるからこそ、何も隠し立てができない。それはそれは神経を削る。
マスタークラス期間中は毎日のようにゴリゴリと精神を削られ、睡眠の質を測っているAppleWatchの見立てでは深い睡眠が全然足りていないことは一目瞭然ですと数字で結果を出されてしまった。
まあ、イタリアというイレギュラーな場所にいるからだからきっと自分のアパートで慣れたベッドで寝れば戻るだろうと思っていた。
結果、ドイツに戻ってきても全然寝られずむしろ悪化する一途。寝つきは悪いし、気がついたら気絶して寝落ちていて、ふと気がついて起きて、時計を見てため息をつく繰り返し。それで、なんとも絶望的な気持ちで起きる。朝、ベッドから体を起こした瞬間にあくびが出た時は思わず鼻で笑ってしまった。
さあ、どうするか。ドイツには優秀なApothekeという薬局が日本のコンビニ並みにたくさんある。ちょっと肌荒れが、喉が痛い、とか自分の症状を説明できれば的確に薬なり、ハーブティーなり、化粧品を勧めてくれる。初めてApothekeを頼ったのはマスタークラス中にコロナに罹った時。クラスの大半がコロナに倒れていった中、私は這いずるようにしてApothekeに行き「喉が激痛で、声も出ない、多分熱ある」とヨレヨレの声で伝えると、すぐにハーブティーを煮出して飲め&オペラ歌手御用達の喉の炎症を抑えるタブレットを出してくれた。そのおかげでちょっとだけ回復が早かったように思うし、自分の体調を管理するという点ではただぶっ倒れていただけのその他の音楽家に比べたら、頭が回っていたかなと自分で自分を褒めている。笑
それからもラロッシュポゼの化粧品を買う時やその他身体のことで気になることがある時にはApothekeに行く習慣ができた。
今日はどうしようかと思いつつもApthekeへ行き、カタコトのドイツ語で寝れていないことを伝え、やっぱり説明しきれていないから英語でもう一度伝えたところ、出されたのはメラトニンのグミだった。これを寝る30分前に食べなさいとの指示付き。これで自然に睡眠のリズムを取り戻していけば良いわとのことで、ちょっといかつめのザ・ドイツ人のおばさまApothekeの人に言われ、12.99ユーロを支払って帰る。
メラトニンのグミはドイツでは定番らしい。冬になって日照時間が減ると、眠れなくて鬱病を発症しがちなドイツ人。日光不足でビタミンDが不足して、鬱々とした気分になってしまうから、メラトニンのグミなどで睡眠のサイクルを整えるのだとか。
まだ夏の名残と太陽が燦々と輝っている中でメラトニンを欲する人はきっとApothekeのおばさんにとってはきっと珍しかったのだろうなあと帰ってきて思った。
その日の夜。黒っぽいグミを一粒噛んで、初めての味を興味深く味わう。
黒くて、甘いような、薬草が煮詰められているような、なんとも形容し難い味がした。これは薬だからと思って食べればなんとも思わなかったけど、予想よりも黒々しい物体に一瞬怯んだ。
こんなもので効くのだろうかと半信半疑だけれども、逆にたった一粒でガクンと寝れるようになっても怖いので、あまり深く考えすぎないようにする。
グミを食べてから歯を磨く。早く読み切りたい本があるので、ペラペラとめくってから頭皮マッサージをしてベッドに転がる。日本で最後に買ってもらった、頭皮マッサージのケンザンはなかなかよくて、ゴリゴリと自分の頭をマッサージしている。随分とコリがあるようで、時々激痛だけれども痛気持ちよくて癖になる。そんなことをぼーっとしていたら唐突に「寝たい」と思い始めた。電気を消してそのまま転がり続ける。やっぱりドイツも暑いなあと思ったり、いつもとは違うスキンケアをしている肌がちょっとベタつくなあとか色々考えていたらいつもの如く、半ば気絶するようにして寝ていた。
次の日。気がついたら朝だった。何度かAppleWatchの目覚ましのバイブレーションを聞いた気がするけれど、器用に止めてそのまま寝続けていたみたいだった。ボヤーっと視界が開けて時計を見たら9時58分。珍しく夜中に起きることはなかった。メラトニンが効いたということにしようと思って、ベッドから這い出して、朝のルーティンを始める。
さて久しぶりに通しで寝られた夜を経て、今日はどんな1日になるか。
今日もまた頑張るのだ。
別の場所に書き散らしていたものを綺麗にまとめてみることに。
メラトニンのグミは日本では売られていないのだとか。私も初めて知ったもので、最初は飲む・食べるか悩んだけれども、あまりの眠れなさに藁にもすがる思いでした。
ロングスリーパーゆえに、睡眠についてはちょっと気になる私。些細なことかもしれないけれど、自分のパフォーマンスを維持するためには色々試行錯誤しながら日々の生活を送っていけたらと思います。
ちなみに私がApothekeのおばさんに勧めてもらったメラトニングミはこちら。
Mögen Sie gut schlafen💤