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初めての大失敗

生まれて初めて、お酒で失敗した。(と、私は思っている)
今まで自分の限界量までお酒を飲んだことがない。というのも、コロナ禍に成人を迎えたがために、友人とワイワイ呑むことや自堕落に呑むみたいな経験をしてこなかった。家で家族と飲んでいることが圧倒的に多かったし、いわゆる「綺麗な」呑み方をしていたのだと思う。

この前初めて、気持ちの勢いだけでお酒を煽った。
小さな躓きから案外大きな落とし穴に落ちてしまったようで、感情のままの勢いで呑みに呑んだ。しかも1人で。
管を巻く相手がいないので、怒りと悲しみと悔しさといろんな感情がごちゃ混ぜになった1人の状況で、行き場のない衝動を自分の内に溜め込んで煮込みながら、考えることなく呑む、呑む。
ちょうど良いところに冷蔵庫を開けた先にFederweißerの赤が瓶の1/3ほど残っており、それをまずは飲み干す。それでも収まらなかった私は、ヘルシンキ空港で買ったフィンランドのウィスキー「KYRO(キュロ)」を棚から取り出してきて、再び呑む。ウィスキーを割ることが最初から頭になく、ロックで飲むこともせず(氷を作っていないからっていう言い訳もあるけれど)、ストレートでぐびぐびと煽る。なんとか呑み始める前におつまみのような夕食を作ってそれを食べながら呑んでいたので、空きっ腹ではなかったものの、感情に支配された脳は常軌を逸していたみたいで、気が付いたらウィスキーをストレートで5フィンガーほど飲み干していた。
いつ我に帰ったのか覚えてはいない。ただ、心なしか軽くなったウィスキーの瓶にびっくりして、「せっかく買ったお気に入りのウィスキーを冬が始まる前に飲み切るのはもったいない」と思い、いそいそと散らかしたキッチンを片付けるべく食卓を立った。

そこからが問題だった。
千鳥足ってこういうことを言うのか…と僅かに残された脳の片隅で思うくらい、まっすぐ歩けない。お皿を割らなかったのが不思議なくらいシンクに立っていられなくて、つい手をつく。綺麗好きが発動して、何を思ったのかほぼ泥酔状態なのにシャワーを浴びる。フラッフラになりながら(途中シャワールームの床にへたり込んでた)シャワーから上がってドライヤー、スキンケアと進めるけれど、ほぼ歩けていないので家中の壁を伝って歩き、歯を磨いたのか記憶にない状態でベッドへ突っ伏す。(ちゃんと磨いてました、笑)
ぷつっと糸が切れるように深い眠りに落ちて行ったことが最後の記憶。

そして、3時間くらいしてからが地獄の始まりだった。
ハッと目が覚めて、飛び起きる。というのも、次の日にBaselへ行く用事があり、朝早い電車に乗る必要があったため寝坊ができないという緊張感。
ああ、まだ夜中の1時か。まだ寝られる。と再び入眠を試みたところに感じる体の違和感。
頭が、痛い。
ずーーーーーーんと鈍く重い頭と静かにガンガンと響く頭痛。なんだこれは…と自分の体に起こっていることがわからず、ベッドの上で頭を抱える。
さらには覚醒してしまったのか、頭の痛さも相まって寝られない。
ゆるく解けそうな思考回路の中でたどり着いたのが、「二日酔い」。
これが…二日酔いというものか…。
寝返りを打ち続け、水を飲み、部屋を徘徊し、と怪しい動きをすること数時間。その間一睡もできず、足掻いても寝れそうにないので、開き直って二日酔いや飲酒量についてネットで調べて転がっていること数時間。
人によってアルコール分解の許容量は変わるけれど、一般的に「体重(kg) × 0.1 = 1時間で分解できるアルコール量(g)」が無理なく分解できる量らしい。私の場合は遺伝的要素で許容量は多そうだけれども(両親ともにかなり飲めるタイプ)、体格的に考えると普通より少ないのだろう。
そう結論付ければ、私が飲んだアルコールの量は明らかに多すぎるし、二日酔いになるのも頷ける。脳までアルコールに浸されるということはこういうことかと、逆に冷静になった。

4時。ふっと眠気がさした。でもあと1時間強で起きなくてはいけない…。と僅かなせめぎ合いを経て、再び眠りに落ちた。
そして、目覚ましで起きる。電車に乗り遅れるわけにはいかない、とベッドから起きれば多少の胃のむかつきはあるけれど、千鳥足は治っていた。
一晩過ぎてしまえば逆に自分の経験が面白くて、電車の中ではノートに人生初の二日酔いの記録を書くくらいに元気になっていた。
睡眠不足を身につけているAppleWatchが見逃すはずなくて、「心拍数、呼吸数、手首皮膚温、および睡眠時間の数値が通常範囲外でした。」とご丁寧に通知してくれて、それにも笑えるくらい気持ちは回復した。

まあ、きっと今回の敗因はウィスキーの量。きっと正常な精神であれば多くても2フィンガーくらいで終わらせていたと思うけれど、何も考えずにぐびぐびと飲んでいたら合計5フィンガーまで達していた。
お酒は飲んでも飲まれるなとはよく言ったものだ。幸い1人でのたうち回って、誰にもご迷惑をおかけしなかったのが今回の救いかもしれない。
グリューワインの季節が迫ってきていて、クリスマスマーケットの特別な時間が始まる。楽しく、程よく嗜むのが大人の飲み方と余裕のあるオフ時間。
美味しいお酒は心地よく味わおう、そう思った人生初の二日酔い経験だった。

Dienst ist Dienst und Schnaps ist Schnaps.


あ、ちなみにこのnoteで登場したお酒、「KYRO」おすすめです。
初めてフィンランドのマスタークラスに行った時に知ったのですが、2014年に誕生した新しいライウィスキーの醸造所です。私が最初に飲んだのはジンだったのですが、ウィスキーも興味があり小さいボトルのウィスキーセットをヘルシンキ空港で買って帰ったのをきっかけに気に入りました。
ドイツのスーパーでもジンは見つけられたのですがウィスキーはなく、今年の夏にヘルシンキ空港でのトランジットの時に免税店に駆け込んで1本買いました笑
ウェブサイトをこちらに置いておくので、もしご興味ある方はご覧ください。また、KYROお好きな方がいたらぜひ一緒に呑みましょう笑


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