コーチングが日本に行きわたるのにあと何年かかるか?
ひと駅歩いた遠めのスタバより。近いスタバばかりに「出勤」してると歩数が稼げないのでたまにこっちに来ることにした。
さて「コーチングが日本に行きわたるには何年?」というタイトルにしてみた。読者の中には「コーチング?もうだいぶ行きわたってるんじゃない?」と感じた方もいるのではないだろうか。
私もそう思っていた。「コーチング」という言葉は私が社会に出た当時からすでに知られていたし、「これからは命令・指導のマネジメントでなく、部下からやる気と答えを引き出すコーチングなのだ!」と高らかに宣言する人は少なくなかったと思う。私自身も大いに共感した記憶がある。
ただ、その当時、本当の意味でのコーチング(※)ができていたケースは非常に少なかったのではないかと思う。話すより聞くのだ、傾聴だ、共感だ、と重要なキーワードは普及したし、人口に膾炙した気がする。でもリーダーシップとマネジメントの現場であるべき運用ができていたかというと、はっきり言ってそんな現場は知らない。一部、天性のセンスを持つ傑出したリーダーがコーチングをそうとは知らず駆使していたケースはあるだろうけど、めちゃくちゃ属人的な運用ではないか。
※「本当の意味でのコーチング」をここで言語化できるかというと、なかなか難しいと断っておきます(^^;
社内にコーチを置いている、幹部にコーチング研修を施している、というケースも増えてきた。それはもちろん良いことだが、それで現場のすみずみにまでコーチング的なあり方が行きわたるかと言うと、それもなさそうである。研修というのはそういうものだ(業界の方が読んでたらゴメン^^)
なんでここまで言えるかというと、コーチングの本場アメリカでも事情はそう変わらない、と知ったからだ。このnoteではよく登場するMichael Bungay Stanierによると、2016年当時のアメリカでも「コーチングを活用しようとしては失敗し、あきらめた」というケースが多いらしい。そしてその理由は「リーダーたちはとっても効果的なコーチングを受けたことがないし、同時にとっても効果的なコーチングを提供してもいない」からだそうだ。
その昔、一部ですごく受けの良いコーチの青年(年下でした)に「コーチングを学ぶのに良い本とかある?」と質問したら「本もいいですけど、まずはちゃんとしたコーチのコーチングを受けるのが一番ですよ」と言われた。さもありなん、と思ったんだけど、ちょっと探しただけだと「ちゃんとしたコーチ」を探し当てることができなかったんだよなぁ。いや、もちろんそういう方はいるのだと思うが、素人の私では判別しにくかった、という意味です。
アメリカでも(少なくとも8年前は)事情は同じで、ちゃんとしたコーチング受けたことないと、そりゃ部下にちゃんとしたコーチングすることもできないよね、ということだろう。
さて、本noteのテーマに戻ろう。日本にコーチングが行きわたるには?だが、行きわたるというのはプロのコーチはもとより、あらゆるリーダーシップとマネジメントの分野において、命令と指導でなくコーチングの手法が活用される、ということだ。ふつうの会社の課長や部長が、コーチングの手法を縦横無尽に駆使する、ということである。
MBSによるとアメリカでも2016年時点でぜんぜんそうなってないよ、ということだ。8年たった2024年では事情はどうなのだろう。MBSの本は100万部以上売れたということだからだいぶインパクトはあったはずだけど。ちなみにこの本 The Coaching Habit はいちおう、日本語に訳されているけど全然売れていないみたい。日本語版読んでないけど、訳がよくなかったのだろうか・・・。それとも、日本に本当の意味でのコーチングを受け入れる土壌がまだ全然できてないよ、ということの証明なのだろうか。
アメリカ先行で日本に輸入される概念や考え方、習慣などはだいたい20~30年くらい遅れて普及するよね。「貯蓄から投資へ」なんてまさにそうだし、「スタートアップ」「ベンチャー」「起業」が一般的になったのもまさにそれくらいの時間がかかってる。
てことは、コーチングが普及するのもあと20~30年はかかるかもね。なんでそんなに(いつも)時間がかかるのか?それはまさに、コンサルティング・マインドからコーチング・マインドへの変化が、Hard Changeだからにほかならない。Hard Change とEasy Changeについてはこちらの記事参照。
かといって、先行者が利益を得られないわけではない。むしろ20~30年後に一般的になる考え方を、今から実践しているということの複利的なリターンはとんでもないものになるだろう。なので、これに気づいてる人たちは粛々と、コーチング・マインドの長期的利益を蓄積していけばいいよね。
― Be vulnerable.
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