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登場するもの: 男 女 静寂。やがて・・・ かちっ。 女 遠くで音がした。スイッチが切れた。 女 世界は反転し、あっという間に、動揺してざわめく人々でいっぱいになった。 男 おい、大丈夫か? 女 うん。 男 ・・・・困ったな。 女 うん。 男 どうなってんだよ? 女 わかんない。 男 なんなんだ? 女 わかんない。 男 まいったな。 女 どうなるの?これから 男 俺に聞くなよ。 女 だって。 男 あーあ。(あたりを見回して)。 女 ねえ。
登場するもの: 母 男 男 じいちゃんが亡くなって5年。こんな暑い季節だった。呆けてるばあちゃんをひとり残して逝ってしまった。じいちゃんは最後にばあちゃんの顔を見て、「さよなら。」と言って目を閉じた。誰かが声を出して泣いた。あわただしく人の行き交う中ばあちゃんだけは顔色もかえず静かに座っていた。汗もかかずに、涼しい顔をして遠くを見ていた。にっこり笑って頷いたようにさえ見えた。そんな場所からもひとりだけはみ出してしまったばあちゃんが、とても可哀想だった。