久野那美
これまでの上演台本です。
30分以内の短い戯曲を集めました。ちょっとずつ増やしていきます。
※ひとり芝居台本(道の階上演台本2011年) ※上演に際するお問合わせは xxnokai@gmail.com まで ★戯曲の上演申請はこちらから https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdfnwd905bJwUCho7YX3jQmJ-ZD9li9Izqgt8VlLgRs10d4IA/viewform ************************ 久野那美 コンビニ
※ウイングホットプレス6月号 裏面に書かせて頂きました文章を、 noteにも載せてみます。 ウイング再演大博覧會に初参加する、「トレモロ」さんのご紹介です。トレモロさんは、早坂彩さん演出で、久野那美作「Port-見えない町の話をしよう-」を2024年6月21-23日、ウイングフィールドで上演されます。 ******* 「見逃した芝居は面白い」ウイング再演大博覧會が15年ぶりに行われます。 私も若い頃大変お世話になったプロデューサーの故中島陸郎さん発案の企画です。6月も沢
脚本・演出:久野那美 / 表紙写真:紅たえこ (2017年匣の階上演台本) ※上演に際するお問合わせは xxnokai@gmail.com まで ★戯曲の上演申請はこちらから https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdfnwd905bJwUCho7YX3jQmJ-ZD9li9Izqgt8VlLgRs10d4IA/viewform ************************ 上演記録: 2017年9月17-18日@神戸ア
登場するもの 堕天使 少女 右の靴 左の靴 1. 屋上。天使が落ちてくる。 ひゅうーっ、どすん。 少女 こんばんは。 少女、堕ちてきた天使をちらっと見る。さほど驚いた風もなく・・・・ 手には靴を持っている。 堕天使 あ・・・。 少女 風、止みましたね。(空を見ている。) 堕天使 ・・・・ 少女 ほんとに手回しがいいですね。 堕天使 … 少女 地下には葬儀屋さん、屋上には天使さん。 堕天使 葬儀屋?誰か、亡くなったんですか? 少女 まだです! 堕天使 ・・
個人がミスをした時。謝って反省して善後策の指示を仰げば責任者が解決してくれるし自分も経験値が増えるのに、反射的に「そもそも体制に問題があったのではないか?」と<正義の提案>をすることで個の問題ではないところに視点をずらして個別の問題を共有できないところに味方をつくって自分を守る→ことで問題を個人の手におえない形而上学的な大きさに広げて具体的な解決から遠ざけて、結局自分も周りも傷つける……………という現象に名前をつけたい。原因と対策を知りたい。 若い人に多いように思うのは、お
「存在を認識されないこと」は否定されることよりはるかに哀しい。次元の違う、解決不能な哀しみ。相手が認識していないものについては議論することも説明することもできない。相手が認識していないものについて切実に語る姿は、認識していない相手から見れば、観念的な言葉を弄して虚構を語るスノッブな態度に見えるだろう。(あるいは、認識していないことを非難したりマウントとったりしているように見えるかもしれない。) 世の中には、「普通は、無いよね」と根拠もなく言われてしまうものが実はたくさん、た
登場するもの: 男 女 静寂。やがて・・・ かちっ。 女 遠くで音がした。スイッチが切れた。 女 世界は反転し、あっという間に、動揺してざわめく人々でいっぱいになった。 男 おい、大丈夫か? 女 うん。 男 ・・・・困ったな。 女 うん。 男 どうなってんだよ? 女 わかんない。 男 なんなんだ? 女 わかんない。 男 まいったな。 女 どうなるの?これから 男 俺に聞くなよ。 女 だって。 男 あーあ。(あたりを見回して)。 女 ねえ。
登場するもの: 母 男 男 じいちゃんが亡くなって5年。こんな暑い季節だった。呆けてるばあちゃんをひとり残して逝ってしまった。じいちゃんは最後にばあちゃんの顔を見て、「さよなら。」と言って目を閉じた。誰かが声を出して泣いた。あわただしく人の行き交う中ばあちゃんだけは顔色もかえず静かに座っていた。汗もかかずに、涼しい顔をして遠くを見ていた。にっこり笑って頷いたようにさえ見えた。そんな場所からもひとりだけはみ出してしまったばあちゃんが、とても可哀想だった。
作:久野那美 ★戯曲の上演申請はこちらから https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdfnwd905bJwUCho7YX3jQmJ-ZD9li9Izqgt8VlLgRs10d4IA/viewform ★お問い合わせ xxnokai@gmail.com ************** 女の子が怖がって泣いている 少年 ごめん。 妖怪 なんであやまるの? 少年 三人で遊んだら楽しいだろうなって思ったんだよ。 妖怪 … 少年 だっ
★公演 2021年5月15日~17日 南埼玉公演予定@コミュニティセンター進修了館 http://floor.d.dooo.jp/tenten/#saitama ★映像配信【点々の階大阪公演(2021年3月1日)】配信チケット発売中 https://xxnokai.stores.jp/items/603dc1b1c19c456aa4604a85 ****************************** ※5人 60分 ★戯曲の上演申請はこちらから https://
………おしまいがやってきた。 前触れはなかった。誰も、知らせてくれなかったし。 ぐうんと曲がった町並みは、 窓の外で、変わらず静かに閉じていた。 風もなく。音もなく。 光だけが表面で揺れていた。 オレンジで、 緑で、 水色で、 金色で、 ピンク色の ………町。 それが世界の全部だった。 いちばん最初から、世界はそうやってそこにあった。 だからそれが世界だった。 そこにいつもあるはずだった。 ずっとずっと、あるはずだった。 なのにおしまい……? おしまいになるにあたって。
※『点転』外伝 by白い靴下の男 「すごい宇宙」というタイトルの本を読んだ。妻が知り合いから借りて出しっぱなしにしていたのがふと目に留まったのだ。 タイトルも内容もとても大雑把な設定のSF小説だった。ネットで評判を調べてもろくな感想が出てこない。手に取ったのが今でなければ読もうと思わなかったかもしれない。 主人公はどこかの星の宇宙船クルー。 彼らはとある任務を負って故郷を離れるのだけど、辿り着いた星でクルーのひとりが死んでしまう。一行は途方に暮れる。 悲しい…というのは
多くの演劇人が、自分以外の若い・助成金申請に不慣れな芸術家人のために、手弁当で協力をしています。この助成金が、個人ではなく演劇界ー芸術界全体を救う趣旨のお金だからです。「自分自身のギャラは出せない」というこの助成金の設計は、「不正受給を防ぐ」というのがそもそもの趣旨であったとしても、この際前向きに、創造的に受け取るべきだと思います。つまり、これは、「自分以外の誰かの」ギャラを払うために使えるお金なのです。 小劇場の世界は、全体のお金がなさすぎることがそもそもの理由ですが、そ
photo: beni taeko 町の話遠く離れた二つの町がありました。 うっかりすれば遠くにあることさえ忘れてしまうほど、 二つの町は遠いのでした。 あんまりに遠いものですから、道は途中で足りなくなって途絶えていました。 互いの町を行き来する手段は何もありませんでした。 いつの頃からだったでしょうか。 互いの町がちゃんと遠くにあることを忘れないでいるために、 二つの町は夜になると小さく灯かりを点すようになりました。 夜になるとどちらの町も新しい灯かりを点し、遠くの灯かり
白山羊さんはある日。手紙を食べずに封を開いた。 そんなことは初めてだった。 どうしてそんなことをしようと思ったのか、 ぜんぜんわからなかった。 はじめて開いた手紙は干し草の香りがした。 「さっきの手紙のごようじなあに。」 几帳面な小さな文字がならんでいた。 あの日。 白山羊さんは黒山羊さんに手紙を書きたかった。 どうしてもどうしても手紙を書きたかった。 だけど何を書けばいいのかわからなくて、 考えている内に、なぜだか「さようなら」の手紙を書いてしまった。 どうしてなのかわ
登場するもの: 男 女 夏の終わり。 誰もいない海・・・のはずが、波打ち際に女がひとり座っている。 片手には、靴。片方だけの靴・・・。 女 (振り向いて)誰? 男 いや・・・ 女 知らないの?今年はもう泳げないのよ。だって・・ 男 知ってる。 女 何してるの? 男 泳ぎに来たわけじゃない。 女 そうみたいね。 男 君は・・・・ 女 私も。 男 え? 女 泳ぎに来たわけじゃない。 波の音 女 何見てるの? 男 いや・・・ 女 こ