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国東のうまいお酒を育てる人たち

国東のうまい酒は、どんな人たちが作っているの?
酒づくりにかける思いやこだわりを達人たちに聞きにいきました!

まずは創業151年の萱島酒造へ

杉玉のかかった門をくぐると、あたたかい笑顔で迎えてくださった萱島酒造の杜氏、田原雄二さん。その語り口から実直なお人柄が垣間見えます。
「せっかくいらしてくださったので、ぜひ蔵をご覧いただきたいのですがHACCPの衛生管理の観点からも、酒造りの現場まで入るのは難しいのが残念です…」と、まずはその行程をビデオで見せてくださいました。「独特の香りがするので、ぜひそれを体感していただきたいのですが…!」とおっしゃっていました。
麹は栗のようないい香りがするそうです。

杜氏の田原雄二さん

田原さんは「お酒づくりは麹と酵母に気持ちよく育ってもらうこと」とおっしゃいます。その眼差しには麹と酵母への愛情が溢れています。
ん? 麹(こうじ)と酵母(こうぼ)の違いって何だ? という方のために少しご説明を。
お酒の原料、お米に含まれるでんぷんを、麹菌ちゃんの働きでまずはブドウ糖にしてもらいます。次に、酵母さんたちがそのブドウ糖を食べ、アルコールを出すのだそうです。酵母さんが心地よく、よい働きをできるよう「酛場(もとば)」では他の微生物たちが入り込まないように、しっかり管理しているのだそう。仕込みから完成まで、レギュラー酒は約22日、大吟醸は45日ほど。夜は泊まり込み、つきっきりで菌ちゃんたちの様子をみながらお世話をするそうです。

西日本の大関になりたい

売り場には試飲のできるバーカウンターが

萱島酒造は、みなさんおなじみの「西の関」の醸造元。「西日本の大関に」という思いで名付けられたお酒は、今では1年間で一升瓶16万本が出荷され、多くの人に愛される名酒となっています。

その場で生原酒を試飲

しぼりたての生原酒が楽しめるのも酒蔵見学の醍醐味

何とラッキーなことに、この日は前日にできたての「生原酒」をしぼったばかりとのこと! ハンドルキーパーの私は、香りだけかがせていただきましたが、何とも香り高くフルーティー。あぁ、味も楽しみたい〜と思いつつ、がまんがまん、笑。
素材を活かしたシンプルなお料理にぴったりとのこと。
生原酒と対比して長〜い年月寝かせたお酒もあったりと、みなさん楽しみながら飲み比べしていましたよ。

みんなで利酒!お気に入りはどれかな?

酒蔵の道具を活かした売り場のインテリア

手前の白いタンクは温度を調節するための「湯たんぽ」的なアイテム

大きな酒樽やお酒を混ぜるための櫂(かい)など、酒造りを感じることができるアイテムが飾られた売り場。酒造りについてや、いろんなお酒の味や香りの特徴をじっくりお聞きした後に、あの人にはこのお酒を贈ろうかな、今度のお祝いのお料理にはきんと冷やしてこのお酒がいいかな、なんて、わくわくしながら選べます。
ちなみにお酒の温度は、きんきんの冷や(5℃の「雪冷え」)から熱々の燗(55℃の「飛びきり燗」)まで9つの呼び方があるんですって。

オリジナルグッズも記念に欲しくなっちゃう

法被をお借りして記念撮影!

ありがとうございました!

最後に法被をお借りして記念撮影。愛情を込めて丁寧に育てられる美味しいお酒に感動しつつ、萱島酒造さんを後にしました。ありがとうございました!


お次は明治元年創業、150年の歴史を持つ南酒造へ!

主に営業を担当されている姉の南さやかさん

到着するやいなや、小鳥のさえずりのような美しい声で迎えてくださったのは、南酒造の南さやかさん。妹の瑠美さんと一緒に、姉妹で南酒造を切り盛りしています。

南酒造といえば…そうです、「とっぱい」です

南酒造といえば、麦焼酎「とっぱい」!

「とっぱい」といえば、すっきりした飲み口が特徴の麦焼酎。すいすいっと飲めて、ロックでもソーダ割でも、そして完熟かぼすをぎゅぎゅっと絞っても美味しいお酒です。

昔の酒壺がずらり。昔は「有明」という日本酒を造っていた

明治元年に創業し、150年もの歴史を持つ南酒造は、当初は「喜納屋」という屋号の日本酒の酒蔵だったのだそう。
戦時下を経て米焼酎、麦焼酎へと造るお酒が変化していったそうです。ただ、日本酒のイメージが強かった南酒造、焼酎も臭みのなく飲みやすいものをと追求を重ね、おじいさまはその情熱で蒸留機まで開発してしまいました。

奥の蒸留機の管を10mもの高さまで登っていく

蒸留過程ではそのオリジナルの機械で一度10m(建物の3〜4階くらい!)もの高さまでのぼることで、雑味などが取り除かれたすっきりした焼酎が出来上がるのだそうです。研究に研究を重ねてたどり着いた形なのですね。

おじいさんのこだわりの焼酎を守り続けている南姉妹ですが、実はこれから始まる新たな挑戦があるのです…!

大きなシャッターの先には新たな挑戦が…

商品を出荷するための大きなガレージのシャッターを上げると…
ジャーン!建設途中の新工場が!

南さんの新たな挑戦、それは「とっぱい」から広がる人と人とのつながり。
エントランスを入ると、広々としたバーカウンタースペースがあり、奥へとつながる窓からは奥の新工場の様子が垣間見れるようになっています。販売スペースもあり、焼酎を楽しみながら、ここでお土産を購入することができるようになるのだとか。

ひろびろとしたバーカンタースペース
大きな窓からは新工場の様子が見れるようになっている

イベント等を通して焼酎作りのことをより知り、多くの人にこの場でいろんな方法で楽しんでもらいたい。人を大事にしてきた南さんの思いが詰まった施設がこの春にオープンするのです。

shu shutを手にする南さん

フランスで2017年から開催されている日本のお酒のコンクール「Kura Master」にて、1位であるプラチナ賞を「喜納屋」が、2位である金賞を「とっぱい」が受賞し、数ある焼酎メーカーの中で群を抜いて国内外で注目を浴びている南酒造。さらに、お料理やデザートに香りや風味を添える新しいスプレー式の焼酎「shu shut(シュシュット)」など、繊細な感覚が生み出す商品開発にも余念がありません。
それでも、これまでのお客さんをより一層大切にし、顔の見える営業スタイルを取っている南さん。社屋の一部を駄菓子屋として子どもたちに開かれた場を作るなど、楽しい地域づくりにも力を入れています。

美味しい焼酎を試飲

受賞した焼酎の飲み比べもさせてもらって大満足の見学でした。
お土産を開けるのも楽しみですね。

最後にパチリ。

世界に羽ばたく国東のお酒たち。
これからも人々の楽しい時間を演出してください〜!
ありがとうございました!


萱島酒造有限会社
大分市国東市国東町綱井392-1
0978-72-1181


有限会社 南酒造
大分県国東市安岐町下山口269−1
0978-67-0024


文章:オシカツジンまり 写真:オシカツジンえのもっち、オシカツジンまり

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