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漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第17回 三浦マイルド

第17回「プチ事件簿」

どうも、三浦マイルドです。

田舎だと、平穏無事に生活を送れると思っていましたが、小さな事件、プチ事件が定期的に起こります。

先日、島にある某コンビニ店で、淹れたてコーヒーを購入しました。

この、淹れたてコンビニコーヒーが最近のマイブームでして、毎朝、軽自動車を運転して買いに行きます。

私が、コーヒーを注いでいると、店員さん同士の会話が聞こえてきました。

店員A「今の三浦マイルドだったよね?初めて見た」

店員 B「え?しょっちゅう来るよ、あの人」

どうやら、コーヒーの機械が死角になって、私が店内にまだいる事に気づいてない様です。

続けざまに聞こえてきたのが、店員 Bの
「あの人、めちゃくちゃ普通よ」という言葉でした。

直感で「これは悪口が始まる流れかもしれない」と思い、そそくさと店を出て行きました。

これは、本当は最後まで聞いとかなきゃいけないやつです、芸人なら。

「あの人、面白くないよね」とか言われたなら、良いエピソードになります。

「江田島の恥だ」とか「江田島の不燃ゴミ」とか言われようもんなら最高です。

でも、その場から逃げちゃいました。

もう、そのコンビニに行くのが気まずくなるのが嫌なんです。
町内に2つしかないコンビニの一つですから。

店の名前も出しません。
事を荒立てると「イイ気分」で買い物出来なくなるかもしれないですからね。

それにしても「あの人めちゃくちゃ普通よ」とは、どういう意味でしょう?

何かを求められてるんでしょうか?

もっと芸人として、立ち振る舞うべきなのでしょうか?

入店するなり
「どうもー、三浦マイルドです。お願いします。
いや、最近のコンビニは綺麗な女性スタッフが多いから買い物する時、緊張するんですわ。
でも、この店ではリラックスして買い物出来そうですね。
そんなんちゅうてねー。
奥さん、笑いなはれや、奥さん」

こんな感じの古典的な漫談をした方が良いのでしょうか。

コント風に
「ここか、ここか、ここが、コンビニかー。」
と言いながら入店すれば良いのでしょうか。

正解が分からないです。

舞台を降りたら普通ですよ。
舞台では悪魔の如く、舞台を降りたら天使の如くを信条としてますから。

コンビニとはうってかわって、島の某スーパーの店員さんには「三浦マイルドさん、感じが良い人だって、皆んな言ってますよ」と言われました。

私は、対店員さんだとより丁寧に接する事を心がけてます。

今の時代にも、店員さんに横柄にしたり、タクシーの運転手さんにキレまくる様な、頭がおかしい芸人いますが、そんなのごく一部です。

「コラ!ババア!芸能人を生で見るの初めてか?よく拝んでおけ!ババア!天下の吉本興業の芸人様じゃババア!」

こんな事、言えるはずがありません。

ひっそりと目立たない様に気をつけております。

でも、三浦マイルド見たとか、どこにいたとか、そんな事を言ってもらえるのは、幸せな事だと、頭では分かってるんです。

言われてるうちが花だと。
言われなくなったら終わりだと。

それでも人間なのでイラッとくる事があるんです。

この前、買い物をしてると

「お!芸人だった奴じゃ」

と過去形で言われました。

「辞めてねえわボケ!」と心の中で呟き、その場から離れました。

島の同級生から言われたのですが、どうやら、私が芸人を引退してると思ってる人もかなり、いるみたいです。

ネットニュースで
「三浦マイルド、母の介護のため地元広島へ」
この見出しだけ見て、記事を読まない人は、私が
芸人を廃業したと受け取る様です。

介護イコール離職という先入観もあるでしょうし、地方で活動している芸人がいる事を知らない人もまだまだ多いのかもしれません。

このネット記事の見出しというのも、正確さよりも、関心や注目を集める為に作られてるので、本当にタチが悪いです。

私が2016年に再度R-1の決勝に進んだ時に、東京スポーツさんから取材を受けました。

2014年に東京進出をし、どんな不遇な芸人生活なのか?現在の仕事量は?収入は?

そんな質問をされました。

こんな、追いつめられた状況だが、今回のR-1で引っくり返すと、そういう前向きな話をしました。

記者の方がふいに
「マイルドさん、東京での生活は本当に大変な様ですね。清水富美加さんが事務所からの月給が5万円だと告発して話題になってますが、月給2万〜3万円のマイルドさんから見ると清水さんはまだ恵まれてますよね?」
と言いました。

私は、あまり何も考えず
「そうですね」
とだけ返事しました。

数日後、東京スポーツの見出しは

〝極貧・元R-1王者が苦境告白
清水富美加「月給5万円」は恵まれてる!〟

というものでした。

マスコミの恐ろしさを知った瞬間でした。

当時、清水富美加さん(現、千眼美子)はマスコミにオモチャにされて、世間からもバッシングされていた時期でした。

そういう苦境にいる人の名前を、話題作りや人から注目される為に出すのは恥ずかしい事だと、常日頃から思っています。

私にとって一番不本意な記事になってしまいました。

ただ、この東スポの記者の方とは、後に再会し、単独ライブに来ていただいたり、一緒に酒を飲んだりする仲になるので、人生は分からんものです。

私がXに政治的な投稿をした時に、よく東スポが取り上げてくれるのですが、この人が記事にしているのではと思っています。
そんな事をいちいち確かめてはいませんが。

とにかく、千眼美子さんには申し訳ない事をしたなという気持ちが今もあるのです。

出来る事なら、謝りたいなと。

ただ、接点もないですし、住んでる場所も世界も違うので叶わない事です。

ただ、幸福の科学創始者、大川隆法総裁は現在生きている人の意識そのものを呼び出して語らせる「生き霊霊言」が出来たと聞きます。

大川総裁がご存命の時に、千眼さんの前で、私の生き霊を呼び出して、謝罪をさせてくれていたら良いのになと勝手に想像しています。

「千眼美子さん、ごめんなさい。
記事に書いてるような事、言ってないんです。
許してください。
お詫びのマイルドフラッシュ!!」

私の生き霊なら、マイルドフラッシュもやってることでしょう。

私のマイルドフラッシュも、浴びた物全てを輝かせる光のパワーがあります。

信者はいませんが、私もマイルドフラッシュ教団の創始者ですから。

千眼美子さんの未来が光輝く事を願っております。

〈続く〉

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