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漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第20回 三浦マイルド

第20回「これから歩む道」

どうも、三浦マイルドです。
故郷、江田島での生活を綴るこの連載も、今回で最終回です。

広島での芸人活動、順風満帆とはいかないものの、何とか人並みの生活が出来る位はやれています。

島のコンビニでバイトしたり、親の年金を当てにする様な事態には、今のところなっていません。

東京で這いずり回った9年間が生きています。
全く無駄ではなかったと確信しています。

東京での生活は、とにかくお金がなかったです。
でも、時間がありました。

ネタを書く時間も、新聞や本を読む時間も、映画を観る時間も、ウォーキングしたり、区民プールに行く時間もありました。

広島に帰ってきて、収入が増え生活が楽になったものの、東京にいる時ほどネタを作る時間がなくなりました。

本も今年に入って読んだのも2冊ほどです。
(田舎で近場に大型書店や古本屋がないせいもあります。)

何に時間を費やしてるかと言うと、広島で顔を売る為に、中小企業の社長さん達と、お食事会をしたり、他業種の方達との異業種交流会に参加したりしています。

元々、人付き合いは好きなので、苦ではありません。

私は就職した事が一度もありませんし、会食しながら社会の事を教わっている様な感覚です。

吉本の社員さんには「何の協力もしていらんから、邪魔だけはしてくれるな」と言いましたから。

なので、自分という商品を自分で売らなければなりません。

来月12月15日に福山市でライブを催すので、プロモーションの為に、地元の名士を紹介してもらい、その方のもとに挨拶へ出向いたり、
市議会議員や中小企業の社長さんを紹介してもらい、印刷したライブのチラシを送らせてもらったりしています。

これらは、本来プロダクションがやる作業ですが、全て自分がやっています。

本音を言うと、マネージャーが、こういう作業を担ってくれて、芸人はパフォーマンスに集中した方が良いんです。

私は東京進出した当初、ずっとマネージャー運がないと思っていました。

「全く熱を注いでくれない、人の人生を何だと思ってるんだ」と。

でも、それは運とかではなく、自分に原因があるんですね。

おいでやす小田が東京に来た時、凄くマネージャーが熱心なのを見た時、「この人の為に頑張りたい」と思わせる小田の魅力なんだなと思いました。

当時は「三浦マイルドの為に頑張りたい」と思わす事が出来てなかったんですね。

それからは意識を変えました。

マネージャーに応援したいと思われない様な芸人が、世間様から応援されるわけがないと。

以降、東京で良いマネージャーさんに担当していただいた時期もありましたが、
広島に戻ってからは、もう信じれるのは自分だけだと、再度、意識を切り替えました。

命がかかってますから。
もう全部、自分でやろうと決めました。

親の介護が始まり、護るものが出来たので、なりふりかまわなくなりました。

あと、自分が全力で自分を売ろうとして、どれ位の事が出来るのか、知りたいというのもあります。

今、ずっとワクワクしています。

人との繋がりが生命線だと思い、名刺はファイルに入れて整理する様になりました。

名刺をちょうだいした方の所在地で分けてます。東北、関東、関西、九州、広島と。

広島は、広島市、呉市、尾道市、三原市、福山市と特に細かく分けてます。

仕事の打ち合わせも、最低20分前には行く様になりました。

商談する時、必ずと言って良いほど、先方が先に到着して「場所分かりますか?分からなければ、お迎えに参ります」とLINEが来るんです。

今まで誰かと待ち合わせする時は、10分前から5分前に到着する様に出発していたので、電車を乗り過ごしたり、道に迷ったり、イレギュラーな事が起きたら遅刻していました。

でも、シゴできな社会人は、恐らく30分前には待ち合わせ場所に到着してます。

こんな人、芸人には中々いません。

売れっ子ほど、現場にギリギリに来て、終われば矢のように帰っていきます。

こんな些細な事でも、芸人の世界との違い、一般社会の常識を教えられています。

この一年で、広島で芸人として生きていく下地は出来ました。

そして、これからどういう道を作るかです。

もう来年、3月位までのスケジュールは、ぼちぼち決まっています。

広島中を単独ライブして回る、広島漫遊も継続しますし、1月は名古屋、3月は東北ツアーをやります。

月、10〜15本ペースで舞台に立つ仕事を組んでいます。
喉の事や、体調面を考えると、これがベストかなと。

私は今、風邪をひけないんです。

舞台のほとんどが単独ライブです。
代演を立てれません。
穴をあけると、お客さんにも、会場にも迷惑がかかります。

営業も自身で取ってきたのを、吉本に投げているので、もし自分が体調不良を起こしたとしても、代わりに誰かを送りこんではくれないでしょう。

一度の休演で、信用が吹き飛びます。

厳しい環境ですが、自分で決めた道です。

それゆえに体調管理は人一倍気をつけなくてはなりません。

煙草はとっくにやめてるのですが、酒の飲み方もこれからは考えねばならないですし、声を出すのが、この先、どうしてもキツくなってくると思います。

歌手の方でも、40代、50代で歌唱力がグッと落ちる人と、そうでない人とで分かれます。

日頃の摂生の差なんでしょう。

私も、己に厳しくあらねばと思うのですが、自分に甘いので中々難しいです。
今後の課題ですね。

来年から起業し、三浦マイルドとしての新たな事業をスタートさせる予定ですが、三浦マイルドの本道は舞台でネタをする事です。

もっと上手くなりたいし、もっと面白くなりたいです。
同じ舞台に立つのが、誰であろうと負けたくないです。

ルミネtheよしもとの舞台に出てた頃、中川家さんと同じ公演に出させてもらい、あまりのウケ具合に圧倒されました。
それが悔しいんです。勝ててない自分が。

それを思えなくなったら、辞める時かなと思います。

つい最近、農協のお祭りで、アンパンマンショーの後にネタをしました。

えげつない位、ちびっ子達を沸かせてましたが、それすらも悔しかったです。
アンパンマンにも負けたくないですから。

三浦マイルドが今後どうなっていくか、少しでも気にかけてくださいましたら幸いです。

長期連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。
また、苦肉祭でお会いしましょう。


〈完〉

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