見出し画像

漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第16回 三浦マイルド

第16回「島のみなさんのおかげです」

どうも、三浦マイルドです。

私が母の介護を始めて、早一年です。

現在、何とかお笑いとの両立が出来ております。

当初は、毎晩ぐったりして、泥のように眠っておりました。

色んな方から、「頑張りすぎるな」とのアドバイスをもらい、今は肩の力を抜いてやれています。

介護経験者の方の助言は、本当に助かります。

この7月、東北ツアーで二週間ばかり、家を離れる事になり、その不安を友人に話すと
「絶対に見守りカメラつけた方が良い」と言われました。

ペット用のカメラで充分だし、スマホと連動できるし、費用もそんなにかからないと。

私もカメラつけたいなと、思っていたのですが、カメラ代も設置するのも、かなりお金がかかると思っていたので、目から鱗でした。

このカメラをつけるまでは、遠出する仕事がある度に「親が転んで、起き上がれなくなっていたらどうしよう」と不安になったりしていましたが、今は確認が出来るので、気持ちが大分楽になりました。

あと、女性目線のアドバイスも助かります。

異性の友人に、母がお風呂を嫌がる事をLINEで相談すると、「お風呂が嫌でも、良い香りは好きなはずだから、香り付きのボディー用ティッシュやタオルで体を拭いてあげたら、お風呂を思い出すかも」と返信をくれました。

こういう細かい視点は男にはないですからね。
色んな人に相談して、話を聞く事の大切さを、身を持って感じました。

本当にたくさんの方に助けられています。

その中でも、江田島にあるお寺、大行寺の副住職、大田さんには大変お世話になっております。

僧侶とは思えない中々、クレイジーな方です。

この前も運転中、後続車に煽られて大激怒し、その車をふりきる為にアクセルをベタ踏みされました。
すると、後続車は左折して、産地直送の野菜が売っている道の駅に入っていきました。

怒りが収まらない大田さんは
「あんな煽り運転する様な奴が、島の野菜食うな!スーパーの大量生産された野菜でも食うとけ!」と、お坊さんとは思えない言葉を発せられました。
島の野菜>大量生産された野菜
というのも謎理論です。

江田島警察署の方達と、懇親会した時は、昔、大阪で職務質問された時の警察官の態度が悪かった話や、警察の不祥事の話を延々とするので、言われた方達も相当、困惑されていました。

もしかしたら、反警察集会とかに参加されてる方なのかもしれません。

大田さんは、江田島市長の明岳周作氏と懇意にしている様で、次回の市長選、健康上の理由で出られない事を知った時は、相当ショックを受けていました。

明岳市長の話になると、凄く落ち込まれるので、少しでも気分を、和らげてあげたいと思い、私はこう言いました。

「大田さん、諸行無常ですよ」と。

どっちがお坊さんか分かったもんじゃないですね。

大田さんには、私が島に戻ってきてから、ほぼ毎日、スーパーへの買い出しに車を出していただいておりました。

免許はあるのですが、25年運転してないペーパードライバーです。

そんな私が先月から車を所有し、運転を始めました。

大田さんには助手席に乗っていただき、私が忘れていた、細かい交通ルールや運転のやり方を教えてもらいました。

世話になりっぱなしです。

車があるのと、ないのとでは、島での生活は全然違います。

最寄りのスーパーが、私の家から片道で徒歩40分ですから。

冷蔵庫を見て足りないものがある時に、すぐに買いに行けるのは大きいです。

便利なのも嬉しいですが、島を車で回るのも、とても楽しいです。

天気が良い日に、海沿いの道を走るのは最高です。

今まで、番組などのオーディションを受けた時に
趣味を書く欄がありまして、いつも何を書くか悩んでいたのですが、今はドライブと堂々と書けます。

ただ一つ問題がありまして、運転中、凄く口が悪くなってしまうんです。

前の車が、センターラインを踏みながら走っていたら「この下手くそが。ほんまに免許持っとんか?」と呟いたり

横断歩道じゃないところを、横断してるお年寄りを見て
「ババア、死にてえんかい」と呟いたりしてしまいます。

普段はお年寄りを大切にしてますし、電車でも席を譲っています。
道でうずくまってるお婆ちゃんを、おんぶして病院まで連れて行った事もあるくらいです。

ババアなんて言葉、使ったりしません。

車の運転という緊張感が、私の気性を荒くしてるのでしょうか。

煽り運転されて怒り狂う大田さんを、どうこう言える立場ではないようです。

今後は、心が落ち着くヒーリング音楽をかけながら運転したいと思います。

そして、何より一番助かるのが、島の人達が、私の為に、仕事を紹介したり、仕事を作ってくれたりする事です。

広島漫遊という広島各地を回る単独ライブをやっているのですが、その第一回目の会場、広島市中区にある「ランデヴー」というカフェバーを紹介してくれたのも江田島の方でした。

この夏には、中山功太さんとのツーマンライブもやりましたし、秋にも面白いライブを計画中です。

呉市の中通りでやった単独を、隣町の呉市阿賀の方が見に来られて、「私の地元でもやってほしい」と依頼されて、やったりもしました。

この阿賀の方も、江田島の方から紹介されて繋がった縁です。

こうやって、人の輪が広がるのはありがたいです。

江田島に帰ってきたばかりの時に、後輩芸人の武井志門くんから
「元、吉本だった、あかぼしこぼしというコンビの赤星てやつが、今、江田島に住んでるそうなんで繋ぎます。きっとマイルドさんの力になってくれるはずです。」
とLINEをもらいました。

数日後、赤星くんから連絡をもらい、飲みに行きました。

更に1ヶ月後、江田島でフェスがあるから、出てもらいたいと連絡がありました。

そこでネタをやり、我ながら、かなりウケました。

そのステージを見ていた三原市の方が
「秋に三原でフェスやるから、出てもらえないですか?」
と依頼され、先日行ってまいりました。

くどい様ですが、我ながら、かなりウケました。

すると、「私の町でもやってもらえないですか?」と、安芸高田市の方から名刺を渡されました。

県北の方に、全くツテがなかったので、パイプが出来たらありがたいです。

三原のフェスでは餅まきで、「おどれら意地汚いんじゃあ!」と言いながら餅を投げましたが

もし安芸高田で餅まきがあるなら、
「恥を知れ!恥を!」と言いながらやりたいと思います。

冗談ですよ。
縁起物なんで、たくさん持って帰ってください。

こうやって仕事が仕事を生む連鎖は、とても楽しいです。

ただ、ややこしい事に巻き込まれない様にだけ気をつけねばなりません。

「私の町でもやってもらえないですか?黄金山という山でフェスやるんですけど」

と言われ、のこのこついていくと、ヤクザの身内のお誕生日会だったなんて、目も当てられないですから。

基本的には、いつ何時誰の仕事でも受けるがモットーですから。

広島だけでなく日本全国からのオファー
随時受付ております。

〈続く〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?