見出し画像

アトランダム小説「椿ライン伝説1981(仮)」

 サイドバイサイドの攻防戦。どちらも引かない。ともに4速全開。

 12A 6800回転、G180WE 6500回転。

 ロングストレートエンドに待ち構える30Rの右タイトへピンコーナー。
橘は僅かに残ったスロットルペダルの踏み代を一気に床まで踏み込んだ。

 G180WEの咆哮は悲鳴へと変わり、タコメーターの針はレッドゾーンの7500回転まで跳ね上がった。

 サイドバイサイドの拮抗が破られ、PF60 ZZ-Rのノーズが僅かにSA22Cの前に出る。

 ストレートエンド、SA22Cがフルブレーキング。その瞬間、SA22Cは約半車身ほど後退する。

 橘は心臓が喉から飛び出そうな恐怖感を克服し、SA22Cよりほんの僅か遅れてフルブレーキング、同時にヒール・アンド・トーで4速から3速、2速へシフトダウン、フロンタイヤに充分な荷重を載せ30Rタイトヘアピンコーナーのイン側にPF60 ZZ-Rのノーズをねじ込んだ。

宜しければサポートをお願い致します!