エッセー 「パルマ "DRAGONE D'ORO(金龍大飯店)"の思い出」
嬉しいことを発見した。
イタリアはパルマ、Via Agostino Bottegoにある中華料理店DRAGONE D'ORO(金龍大飯店)がまだ健在で、頑張っていることが分かったのだ。
思い起こせばこの店、1997年、パルマに滞在している時に見つけ、滞在中連日通った店。
当時はまだ開店したてで、若い中国人の夫婦が頑張っていた。
この店の料理はすべてが美味しいが、特に鉄板焼きの牛肉焼きそばが絶品で、行くと必ずオーダーしていた。
パルマからモデナに移った後も、なんと急行電車でわざわざ食べに出かけたものだ。
とある日曜日に、どうしても食べたくなり、ダメもとで電車に飛び乗って食べに行ったら珍しく開いていて歓喜の涙。
なぜなら、イタリアの飲食店は、普通特別な許可ないと日曜日の営業ができないからだ。
喜び勇んで食べまくっていたら、突然クエストゥーラ(所轄警察)の偉そうなポリスがやってきて高圧的な態度で店を閉めろと言い始めた。
どうやら中国人の若夫婦は開店したばかりで、休日営業の許可書のことを知らなかったらしい。さらに、店が開いているので誰かが警察にチクってポリスが来たのだ。
イタリアもやはり人種差別敵な同業者のいじめが多々あり、東洋人が経営する飲食店は結構狙い撃ちにされていた。
その時はそんな事情など知らなかったが、ポリスの態度が余りにも高圧的だったのカチンときた。東洋人を舐めるなよ。
その時、店にはイタリア人の家族と自分だけ。若夫婦の奥さんの方がすまなさそうに謝りながらイタリア人の家族に事情を説明して帰ってもらった後、やはりすまなさそうに「オッジ キューソ スービト(今日はもう閉めます)」と言ってきたので、「ノン チェ プロブレーマ」と答えて立ち上がり、二人の生意気そうなポリスが仁王立っているキャッシャーの前でおもむろに財布から100,000リラ札を抜き出すと奥さんに向かい「テンガ ピュレ イル レスト(お釣りはとっておきなさい)」と言って渡した。
当時、イタリアはユーロ統合前で、イタリア国内は極度なインフレにより、とうとう100,000リラ札まで登場していた。食事代が30,000リラ程度だったので、チップの相場が1,000〜3,000リラ程度の当時にあっては現地的にはとんでもないチップとなる。
それよりも何よりも100,000リラ札といった高額紙幣など、庶民あまり見る機会がないのか、店の若夫婦も生意気そうなポリスも目をまんまるにして100,000リラ札を見ていたのを今でも鮮明に覚えている。
経済大国日本を舐めるなよ! と日本語で一人ゴチて店を後にした。
嗚呼、漢(笑)
その店が今でも健在であることを知り、とても懐かしく嬉しいと共に、また再びパルマを訪れたくなった。