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カーコラム「ISUZU PF60型ジェミニZZ Rの思い出 Part.9」

 PF60型ジェミニZZ Rの慣らしが終わると、連日の箱根通いが始まった。

 東京の城南地区にある自宅から箱根方面に行くには、東名高速の厚木インターから小田原厚木道路を乗り継いで小田原西インターで降り湯元に抜けるか、あるいは御殿場インターから乙女峠を経由して仙石原へ抜けるか、いずれかのルートが最も手っ取り早かった。

 しかし、無理して新車を購入してしまった金欠病の人間には高い通行料を払えるゆとりなどない。もっぱら、時間はかかるがリーズナブルな海沿いルート(湘南経由)専門であった。

 午後10時頃に自宅を出発。中原街道経由環八から第三京浜に入り横浜料金所まで全開。そのまま横浜新道に乗り保土ヶ谷料金所へ。国道一号線に降りて藤沢市内を抜け浜須賀のT字路を右折して国道134号線へ合流。平塚、大磯を経由して箱根の表玄関である小田原市街に到着するのはちょうど午前0時頃。有料道路の料金は第三京浜が200円、横浜新道が50円、締めて片道250円であった。往復してもワンコインである。

 記念すべき箱根デビューは男らしく箱根新道と心に決めていた。

 箱根新道は料金所を過ぎてから長い上りの直線が続く。ここで前方をブロックするトラック軍団を一気にかわす。ほどよくアタリがついたG180WE型エンジンは心地よいDOHCサウンドを奏でる。

 長いストレートの後の右高速コーナー手前で軽いブレーキング。ヒール・アンド・トーで4速にシフトダウン。荷重が前に乗った状態でステアリングを軽く右に切り込み、じわりとスロットルを開ける。

 ロールはやや多めだが、リヤのスタビリティは高い。

 しっかりと前荷重にしてやれば、通常のスピード域ではコーナリングはオンザレール感覚だ。

 インプレッションを心の中で呟いているうちに、気づけば大観山出口の指示。

 減速してステアリングを左に切り箱根新道を後にする。

 合流する県道を左折し、低・中速コーナーが連なるワインディングを楽しみながらゴールの大観山駐車場を目指したのであった。


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鳴海邦彦 / KUNIHIKO NARUMI OFFICIAL
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