【無料・目次付】石破首相の正体|忙しいあなたへ!政治初心者へ贈る石破政権の参考書
2024年10月1日、石破茂政権が発足。
石破政権について、様々なご不安を抱えていらっしゃる方も多いことだろう。
SNS上では、自民党総裁選において石破茂新総裁が誕生するや否や、早速ネガティブキャンペーンの嵐が巻き起こった。
現時点でも、石破首相・石破政権への批判、非難、デマ、誹謗中傷が溢れている。
私の個人的な部分をお話しすれば、自民党総裁選において新総裁に選出されるまで、私はアンチ石破茂であった。
私は安倍~岸田路線を支持しており、その安倍晋三元首相をずっと背後から撃ち続けてきた石破氏に対して嫌悪感情を抱くのは当然の心の動きと言えるだろう。
政治信条についても、私とは相容れない部分がある。
しかし、自民党の新総裁は石破茂、我が国の内閣総理大臣は石破茂なのである。
これ以上でも以下でもない、文句を言おうと不安があろうと現実は変わらない。
総裁になったものはなったのである。
であれば、感情を抜きにして、フラットに、政権の実績に基づいて評価していく他にあるまい。
そこで本記事では、「事実」を基本に、ファクトベースで石破茂政権をまとめようと思う。
たしかに不安の多い石破茂政権だが、台湾有事含む周辺の情勢や、国内の野党の体たらくを見るに、デマによって自民党を叩いて弱らせ、政治を混乱させている余裕はないはずだ。
不安があるからといって、『自由民主党』が支える石破茂政権と較べて、悪夢の民主党政権の後継者「立憲民主党」がつくる野田佳彦政権の方が良いのか、そんな筈はあるまい。
ぜひ事実を基に正しく政権を捉え、考えていただきたいと思う。
自民党総裁選に出馬しないと発表されるや否や再評価が行われている岸田文雄前首相も、はじめはあまり期待されていなかった。
しかしいざ政権が始まってみれば、恐ろしいスピードで恐ろしいレベルの問題を解決していく国益の鬼であったのである。
にもかかわらず、メディアの偏向報道にSNS上でのデマが重なり、最後の最後まで多くの国民がその功績に気付けない状況となってしまった。
このような例もあるのだ、石破茂政権についても、デマに踊らされず事実を大切にし、正しく政権の姿を捉えていただくことを切に願う。
特に、岸田文雄前政権において実行された保守派が望んできた政策の数々を一切評価せず、何ら根拠なきデマや陰謀論等によって貶め続けた自称保守の言論人らは今後も同様の活動を続けるだろうと予測される。
ぜひ騙されることなく、事実を基に思考を凝らしていただきたい。
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工作活動の現実
本編へ入る前に、少しだけ付き合ってほしい。
【中国の世論工作】についてだ。
これまで我が国においては、"スパイ" というのはどこか空想上の存在であるかのように扱われてきた(だから1985年のスパイ防止法案は潰された)。
しかし、先の大戦において各国のスパイが暗躍したことは歴史的事実であり、戦後もこれは同じである。
そして近年、世界各国において「中国のスパイ・工作活動」が問題視されるようになった 。
反中勢力も取り込む中国スパイ
日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村悠氏によれば、中国の工作員は親中派のみならず『反中の新興政党』に付け入ることもあるという。
「中国を批判しているから」といって信用してはならず、「その言動は本当に正しいか、口では中国を非難しながら、反中勢力や保守派の動きを中国を利する形へ誘導していないか」と疑ってかからなければならない。
世論工作SNSシステム
そして、工作の対象となるのは政治家・ジャーナリストのみならず、SNSを利用した工作活動も指摘されている。
X(旧Twitter)を含む各SNSには国籍明示の義務がなく、中国工作員がアカウントを作成して日本語で発信したり、日本人のアカウントを乗っ取って日本語で世論工作を行うことも、容易に行われてしまう。
たとえ日本語の発信であっても、「この言動は中国を利して我が国の益を毀損するものではないか」と、丁寧に判断していかなければならないのだ。
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所信表明演説
2024年10月4日(要約)
2024年10月4日、石破茂新首相が所信表明演説を行った。
全文を引用すれば非常に長くなってしまうため、本節における演説内容は「第二百十四回国会における石破内閣総理大臣所信表明演説|首相官邸」の内容の要約とする。
要所要所の要約になってしまうので、全文はぜひ首相官邸のページからご確認いただきたい。
今回の所信表明演説のラインナップは以下の通り。
一 はじめに
二 ルールを守る
(国民からの信頼)
三 日本を守る
(外交・安全保障)
(少子化対策)
(経済・財政)
四 国民を守る
(物価に負けない賃上げ)
(エネルギー)
(イノベーションとスタートアップ支援)
(「投資大国」の実現)
(社会保障)
(良好な治安の確保)
(防災、東日本大震災からの復興)
五 地方を守る
(地方創生)
(大阪・関西万博)
六 若者・女性の機会を守る
(教育改革)
(女性活躍と女性参画)
(自殺対策)
七 おわりに
(憲法改正)
(納得と共感の政治)
このうち、本記事では以下のラインナップで内容をご紹介したいと思う。
・総評
・冒頭
・ルールを守る
・外交安全保障
・少子化対策
・経済、エネルギー
・社会保障と防災と復興
・地方創生
・教育改革
・憲法改正と皇位継承
・おわりに
・総評
安倍晋三元首相に対する "背中撃ち" と評される言動の多かった石破茂首相であり、安倍~岸田路線の継承が危ういと考える方も少なくないが、所信表明演説の内容はまるで安倍路線を継承した岸田文雄前首相の演説かと思うものだった。
「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」「自由で開かれたインド太平洋」「次の時代に負担を先送りしない、それが今を生きる我々の責任」「成長と分配の好循環」と安倍政権や岸田政権を象徴する言葉が用いられ、北朝鮮による日本人拉致問題を「政権の最重要課題」と位置付け、中国を名指しで批判、「防衛力の抜本的強化」に触れ、「国家安全保障戦略等に基づき」と完全に安倍~岸田路線を踏襲する構えだ。
※岸田前首相が安倍路線を破壊したかのように吹聴する自称保守の言論人等も存在するが、事実を丁寧に確認すればそれが全くの嘘であると解る。
以下の2記事は「岸田政権の実績まとめ」だ。
総合安全保障シンクタンク・日本平和学研究所の理事長を務める小川榮太郎氏には、『これをちゃんと精読したら、どれだけ安倍イズムを岸田さんが進めたかは明らかなんです。この中を見て国賊みたいな政策の山か??違いますから。これはファクトなんですよ。國神さんの主観じゃないんだよ。だって政策が全部、そのまま引用されて出てくるんだから』と評価いただいた。
約20万字の決定版
約8万字のダイジェスト版
・冒頭
石破首相は冒頭、政治資金問題への反省と岸田文雄前首相への敬意を話した。
石破首相はその他、人口減少やデジタルの進化、物価上昇などの変化に触れ、「ルールを守る」「日本を守る」「国民を守る」「地方を守る」「若者・女性の機会を守る」を五本の柱として日本の未来を創り、未来を守ると語った。
・ルールを守る
次に石破首相は、「国民の皆様からの信頼を取り戻す」として次のように語った。
・外交安全保障
次に石破首相は、外交・安全保障について語った。
まず、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との言葉は岸田文雄前首相が多用していた言葉である。
そして、「自由で開かれたインド太平洋」は、安倍晋三元首相が創り上げ、岸田文雄前政権まで受け継がれてきたビジョンだ。
北朝鮮による日本人拉致問題を「政権の最重要課題」と位置付けている点も、安倍~岸田政権と同様である。
また、石破首相は「東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを、日々、強化している」と中国を名指しで語り、先月の10歳日本男児殺害事件について「断じて看過しがたい」と批判した。
要所要所において中国を名指しで批判する姿勢も岸田文雄前政権と共通している。
更に、石破首相は「国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論を俟たない」としているが、「防衛力の抜本的強化」は岸田文雄前政権が敷いた路線である。
対露制裁、対ウクライナ支援を強力に推進する等も含め、まるで岸田文雄前首相の演説かと錯覚する内容であり、石破茂政権の外交・安全保障は、基本的に安倍~岸田路線を踏襲する方針であることがよく解る。
・少子化対策
・経済、エネルギー
・社会保障と防災と復興
・地方創生
・教育改革
・憲法改正と皇位継承
・おわりに
・野党のヤジにネットが怒る
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外交
2024/10/10~12 ASEAN関連首脳会議
➢ 第27回ASEAN+3(日中韓)首脳会議(10日)
➢ 第27回 日・ASEAN首脳会議(10日)
➢ 日・フィリピン首脳立ち話(10日)
➢ 日印首脳会談(10日)
➢ 日中首脳会談(10日)
➢ 日韓首脳会談(10日)
➢ ビエンチャン・タイムズ紙(ラオス)寄稿(10日)
2024/10/10 日・ASEAN首脳会議
外務省発表より、「東シナ海・南シナ海、台湾等」を抜き出し要約。
東シナ海や南シナ海等における軍事活動、挑発、威圧が行われていることについて、「中国」の名前を出さず弱腰外交が懸念されるかと思いきや、その直後に「日中両国に関しては」「中国とは」と名指しし、直前の非難が中華人民共和国に向けたものであると明確にする老獪さを発動。
強硬的に逐次名指しで非難する岸田前首相が「武闘派ヤクザ」と呼ばれたことを受ければ、石破首相は「ネットリヤクザ」と言えるだろうか(笑)
2024/10/10 日中首脳会談
現地時間10月10日17時30分(日本時間同日19時30分)から、ASEAN関連首脳会議に出席するためラオスを訪問中の石破首相は、李強中華人民共和国国務院総理と首脳会談を行ったところ、外務省発表を要約すれば以下の通り。
1 総論
これらは基本的事項として誰が首相となっても共有されるものと思う。
2 二国間協力
岸田文雄前政権時からの「輸入規制の早期撤廃を求める」路線は継続。
3 二国間の諸課題・懸案
ブイ、領空侵犯、空母航行、邦人拘束、南シナ海、香港、ウイグル、台湾問題等はもちろんのこと、日本人学校児童殺人事件についての一刻も早い事実解明と説明、邦人の安全確保、SNSの反日投稿の取締り等を求める姿勢も岸田政権から引き継がれている。
4 国際情勢
北朝鮮による日本人拉致問題を「政権の最重要課題」と位置付けている石破首相であるから、拉致問題を含む北朝鮮情勢についても意見交換。
2024/10/30 国連女性差別撤廃委に抗議
2024年10月29日、国連の女性差別撤廃委員会がふざけた勧告を発した。
我が国の根幹たる國體を成す皇位継承について、他所の組織が口を出すなど言語道断にも程がある。
皇統は我が国の伝統・文化であって、各々の国家・民族の伝統を軽視し平気で干渉を行うリベラリストには辟易する次第であるが、我が国の政府はこれに反論した。
私は石破茂政権の抗議及び削除の申し入れを強く支持する。
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その他法案等
旧優生保護法の補償法案成立
旧優生保護法をめぐる問題について7月に最高裁が違憲と判決したことを受け、岸田文雄前首相が原告や関係者と面会し、反省とお詫びを伝え、早急に結論を得るよう指示していた補償法案が、石破政権発足後に即成立した。
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党首討論
2024年9月27日 立憲民主党 野田佳彦
日本テレビ「news zero」において、石破茂自民党総裁は立憲民主党の野田佳彦代表と約20分間の討論を行った。
開始1分ほどで「自分の強みは総理経験、石破氏の弱みは正論をずっと訴え続けて来て変化球がないこと」と語る野田氏に対し、石破総裁は野田氏の話を "その通り" と受け止めつつ、「自分の強みは失敗と挫折をくり返し、それを次の世代に負わせないこと。(野田氏の弱点について)弱点のない人はいないが、弱点を突くよりも持てる力を最大限に引き出してやっていきたい」と回答。
番組の用意した質問であり野田氏に罪はないが、「意気揚々と相手の弱点を挙げる野田代表と謙虚で攻撃しない大人な石橋総裁」の構図が作られたように思う。
能登半島豪雨への予備費対応については、石破総裁は「即効性があるのは予備費。ただ現状、現場ではその実感がない。だから "予備費を組んだから大丈夫" と逃げるつもりはない。被災者が "わかってくれたんだね" となるように、迅速かつ的確に使われるよう執行を含め強い姿勢で臨む」と回答。
この点について、「財政民主主義」という一般に分かるような分からないような言葉を用いる野田氏に対し、小学生にも分かるように説明した石橋総裁の手腕が光っていた。
「10月27日総選挙をやる考えがあるか」との質問には、明確に答えず、何も決まっていない総裁選当日に下手に言質を与えなかった点も良い。
不記載議員の公認についても、決まった処分に加えて「公認しない」などという独裁的ちゃぶ台返しを口にせず、「正規手順を踏んで判断し、公認する場合は総裁として説明責任を果たす」と答えた。
世論調査についても、「真剣に真摯に受け止めたい」と回答している。
(本人は「野合ではない」と言いながらも)「裏金議員を落とすため」として野合(政策の一致なく選挙を目的にした共闘)を主張しながら他党代表の野合拒否声明を読み上げられる野田代表と、真摯に受け止めながら丁寧に対応し責任を果たすと約束する石破総裁の対比が光る。
世襲云々については、石破総裁は「当選一回生の頃に侃々諤々の議論をし、『二世じゃなくても、高級官僚じゃなくても、大金持ちじゃなくてもタレントじゃなくても、意欲と能力のある人が出られるようにしたいね、二世じゃなくても出られる制度をつくるのが二世の仕事』と思っていた」とした上で、「二世がみんな無能かっちゃそんなこともない」と釘を刺しながらも「公平」を訴えた。
「野党にとって非常に攻めづらい与党総裁なのでは」と思わされた討論であった。
2024年10月9日 立憲民主党 野田佳彦
2024年10月9日、石破茂自民党総裁は立憲民主党の野田佳彦代表との討論を行った。
全編についてはぜひ動画をご視聴願いたいが、本記事では特筆すべき場面についてご紹介したい。
まず、石破総裁は、「いわゆる裏金議員」「脱税まがい」との言葉を用い、「非公認が少ない」との旨を述べた野田代表に対し、以下の旨を述べた。
反省の姿勢をしっかりと示した上で、事実と異なるレッテル貼りには丁寧に訂正、国民の怒りも理解し、非公認の厳しさを身に染みて理解している身として決断したこと、民主主義国家の政党、与党として国民に判断を委ねることを説明したのである。
これに対し、野田代表は「脱税と断定していない、"脱税の疑いのある" という言い方をした」と弁明(注:野田代表は先の質問において "脱税の疑いのある" ではなく「脱税まがい」と言っている)。
そして野田代表の「非公認議員が当選した場合に追加公認するのか」との問いに、石破総裁は「仮定の話だが、『主権者たる国民の皆様方が国民の代表者として相応しいとご判断された』場合に公認することはある」と回答。
民主主義国家の政党として、あくまでも「主権者たる国民の判断に委ねる」という姿勢である。
加えて、野田代表の「元々の方針は "裏金に関わった、非記載ですか、未記載の?人達を全員公認する方針で、全員重複立候補させる、誓約書を書かせる" だった。しかし『批判が強いから厳しい対応に見せている』のでは」との問いに、石破総裁は以下の旨を回答。
また、立憲民主党の野田代表はこの後、「裏金… また言っちゃいましたけどね?不記載…の…問題について、不記載、まあでも "裏金" って報道も皆(発音が不明瞭であり "報道見ても" かもしれない)書いてるからね?言いますよ、裏金問題~」と、国会の場において訂正された言葉を平然と用い続けた(これは時間的には後々の話だが、石破グループについて野田代表が「どうせ小さなグループ」と発言したことにも耳を疑った次第である)。
時間が飛んで後、石破総裁の「過去の例を調べたが、補正予算の成立には約2ヶ月かかるのが通例」との発言に野田代表が「阪神淡路大震災では1ヶ月で補正予算成立、東日本大震災でもほぼ1ヶ月、熊本地震でもそう」と反論したが、石破総裁は「①阪神淡路大震災の際は年度を跨ぐ特別な事情があった、②今回の補正予算は災害対応に留まるものではなく、デフレ脱却等を含め全てを盛り込んだ、あらゆる方面に配慮した予算であり、阪神淡路の例がそのまま当てはまるものではない、③国民生活のため、国家のためにこのようなスケジュール(能登災害に対応する為、こういう時の為に「予備費」がある。国民の皆様の判断を賜った後に補正予算の早期成立を期し、また本予算、と切れ目のない予算審議が国家国民の為に必要)にしている」と回答。
また、石破総裁は「能登を置き去りにするというつもりは全くございません、そのようないい加減なことを私共はいたしません」とも。
この後も石破総裁と野田代表の討論は続いたが、野田代表からの質問はほとんど不記載問題に終始していた。
2024年10月9日 維新・共産・民民
日本維新の会・馬場伸幸代表、日本共産党・田村智子委員長、国民民主党・玉木雄一郎代表との党首討論については、今後の字数も考慮し極一部分のみの紹介に留める。
全編についてはぜひ動画をご視聴願いたい。
維新・馬場代表の「憲法審査会では、予算審議、重要法案の議論の間は一切突っ込んだ議論が行われない。総理総裁のスタートボタンを押さねば現場が努力しても進まない。総理が "やれ、何をおいてもやれ" "予算の審査が止まってもやれ、重要法案の議論を止めてでもやれ" という意気込みがないとやれない。これを踏まえた意気込みを」との発言には、石破総裁は「総理大臣として指示はしかねるが、自由民主党総裁として、憲法改正を党是としている以上、発議が為され国民の権利である国民投票に付する日が一日も早かるべく可能な限りの努力をしてまいりますので、今後ともご教授賜りますようお願い申し上げます」との旨を宣言。
馬場代表の「総理が "やれ、何をおいてもやれ" "予算の審査が止まってもやれ、重要法案の議論を止めてでもやれ" という意気込み」との趣旨の発言に軽々に返してしまえば、特定野党がこれを言質として「国会軽視」のネガティブキャンペーンを張り、憲法改正が遅滞する未来も有り得ただろう。
石破総裁は最大限の意思・意気込みを伝えるとともに、落とし穴は上手く回避した形と言える。
その他、維新の会の "身を切る改革" 自慢や政治とカネ云々は省略。
共産・田村委員長の「政治の責任でどう賃上げを進めるのか、最大のカギは中小企業。中小企業への直接の支援が必要では」との問いに、石破総裁は「委員と目指すところは一緒と思うが、私共は全体主義国家ではなく社会主義国家でもないので、政府が主導して直接お金を払うやり方が必ずしも正しいとは思っていない。中小企業の皆様方が従業員、労働者の方々に充分な賃金を支払えるだけの生産性を上げ、付加価値を上げ、原資ができるかに私共は努力する」と回答。
選挙なく独裁的に委員長が決定され、共産主義を掲げる日本共産党への、ウィットに富んだ皮肉が混じっているように感じるのは私だけだろうか(笑)
田村委員長は時間を過ぎてもなお長々と演説をされていらっしゃったこともお知らせしておきたい。
民民・玉木代表の「政策活動費は廃止を含めて議論すると聞いている。今回の選挙において政策活動費を使わないと明言してください」といった趣旨の要望に、石破総裁は「御党はじめ色んな党と厳しい戦いをする中で、適法な範囲内において現在許されている政策活動費を使うことは可能性としては否定しない」と回答。
玉木代表は「問題発言」としたが、民民が使わないのは民民が独自に課している党内ルールであって、禁止法案(改正案)を提出しているわけでもない自民党が現行法に則り使うことは当然であるように思う。
また、「石破サゲル」「石破逃ゲル内閣」と発言して批判されている国民民主党であるが、党首討論という国会の場においても「第二次検討使」と発言したこともご紹介しておく。
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不記載問題(裏金問題)
検察の捜査が入り、党としても処分を行い、法的責任と政治的責任をとる形で決着した自民党の不記載問題であったが、世論は未だに収まっていない。
私個人の意見を述べれば、「国会議員が政治資金収支報告書に記載していない金があろうが無かろうが、我々国民の命にも生活にも財布にも何ら関係はないのでどうでも良い」が正直なところだ。
また、れいわ新選組の大石あきこ議員はじめ野党にも政治資金規正法の不記載があり訂正を行っている議員はいくらでも居る。
それを殊更に、自民党に対してのみ「裏金」と呼んで特別に問題化する野党及びメディアの姿勢も疑問だ。
あるべき形に訂正し、法的責任をとるべき状況であれば捜査を受け、与野党共にそれで良い話ではないか。
我が国は民主主義国家なのだから、あとは選挙による民意の選別を受ければ良いのだ。
不記載議員(裏金議員)の非公認について
2023年に自民党清和会(安倍派、現在解散済み)の不記載問題が「裏金」として報じられ、自由民主党においては志公会(麻生派)を除く主要派閥が解散、離党勧告2名、党員資格停止12ヶ月2名、6ヶ月1名、党役職停止12ヶ月9名、6ヶ月8名、戒告17名の処分が為された。
上記処分を受けた議員のうち、今回の選挙に関わる衆議院議員について(塩谷立は衆議院議員だが離党しているので除外)、非公認よりも重い「党員資格停止1年間」の処分を受けた下村博文、西村康稔、党員資格停止6ヶ月(終了済)の処分を受けた高木毅、1年間の「党役職停止」が継続しており且かつ政治倫理審査会での説明を行っていない萩生田光一、平沢勝栄、三ツ林裕巳、6ヶ月の「党役職停止」の処分を受けて且つ説明責任を果たしておらず、地元での理解が十分に進んでいないと判断された菅家一郎、中根一幸、小田原潔、処分は受けていないものの不記載があり、且かつ地元の理解が十分に進んでいないと判断された越智隆雄、今村洋史、「戒告」を受け且つ説明責任を果たしておらず、地元での理解が十分に進んでいないと判断された細田健一、計12名が公認されなかった(2024/10/9現在)。
加えて、公認される議員であっても、処分の有無にかかわらず収支報告書に不記載があった議員は小選挙区と比例代表との重複立候補が認められていない。
「甘い」などさまざま批判があることは承知しているが、自民党総裁選において高市早苗議員が「決着した処分を総裁が変わったからといってちゃぶ台返しすると独裁になる。党で決めた処分をひっくり返す独裁的な行動はとらない」と仰っている通り、党としての処分は一度決定しているのであって、「総裁が替わったから、新総裁の一存で、手順を踏んで決定された処分を変更する」というのはガバナンス上適切ではない。
故に、石破自民の公認判断は「厳しすぎる」「二重処分だ」との批判はあったとしても、決して「甘い」と言われる代物ではない。
加えて、「所属議員にこうした対応をとる以上は」として、石破茂総裁、森山 裕幹事長、鈴木俊一総務会長、小野寺五典政務調査会長、小泉進次郎選挙対策委員長も比例代表との重複立候補をしておらず、政治の信頼回復のため岸田文雄前総裁も重複立候補をしない旨発表している。
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安定的な皇位継承の在り方
本件については石破総裁の下での話ではないが(岸田総裁時代)、今後「皇位継承」と「皇族数確保」の議論が煮詰められると考えられるため、各党の考えを簡単にご紹介しておく。
より詳細には以下の記事にあるため、ご関心のある方はご確認いただきたい。
・自民党:所見(要約)
令和6年4月26日、自民党は「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」を公開。
「女系天皇以外の方法を検討すべき」とする岸田文雄前総裁の下、女系天皇を「あり得ない」とする麻生太郎最高顧問(当時副総裁)が会長を務める懇談会において取りまとめられた『党としての所見』である。
石破総裁の皇統観に不安を覚える方も少なくないと考えるが、自民党の所見は『党として既に決定している』ものであり、また現野党一党である立憲民主党の論点整理と較べてどちらを選ぶべきか冷静にご判断願いたい。
以下、要約。
自民党の所見からは、「悠仁親王殿下の御即位までの男系男子による継承」をゆるがせにしてはならない、との考えが窺える。
そして「女性皇族の配偶者と子は皇族の身分を有さないことが適切」との旨から、和田政宗議員の説明(有識者会議では将軍家茂に降嫁された和宮親子内親王殿下(皇女和宮)の一例しか挙げられておらず、子が皇籍を保持し女系天皇に繋がる「女性宮家」は、そもそも議論に入っていない)の通り、「女系天皇(=皇統断絶)に繋がる女性宮家」は否定されていることが判る。
そして「悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承」についても男系男子による万世一系継承を維持できるよう、戦後に臣籍降下皇籍離脱された旧11宮家の男系男子を養子とすることを『必要な方策』としており、「養子となった男性は皇位継承資格を持たず、その後に生まれた男子は皇位継承資格を有するとすることが適切」との旨により、極左がしたり顔で主張する「(旧皇族の皇籍復帰について)一般人だった人間が天皇になっても国民は受け入れない」を潰している。
・立憲民主:論点整理(要約)
・附帯決議が政府に検討を要請したのは「安定的な皇位継承を 確保するための諸課題、女性宮家の創設等」であり、報告書は安定的な皇位継承の課題を先延ばし、皇族数確保の方策を示すに留まった
・「女性宮家の創設等」について明確な結論も示さず、附帯決議の要請に十分に応えていない
・報告書の皇族数確保の方策を参考としつつも、附帯決議が国会に要請した「安定的な皇位継承を確保するための方策」を検討、一定の期限を区切って「立法府の総意」をまとめるべき
・天皇は憲法上の存在であり、国民の総意に基づく天皇並びに皇室をめぐる制度は、憲法違反の疑いが指摘されることがあってはならない
・「女性宮家の創設等」は附帯決議が政府に検討を要請しているが、報告書では明確な言及がなく、とりわけ緊急的な課題として議論を急ぐべき
・野田内閣時の (Ⅰ- A )案「配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案」を含め検討すべき
・その他憲法適合性についてさまざま記述
・わが党は、この論点整理を基に更なる検討を行うとともに、決して政争の具にすることなく、憲法の基本原理と立憲主義を尊重する立場から、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、「全国民を代表 する」立法府の一員として、国民各層の議論の尊重、国民の合意形成を図りつつ、引き続き、最大限の努力を重ねていく(原文まま)
立憲民主党は野田内閣時の 「配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案」、つまり女系子孫が皇位継承権を持ち女系天皇が誕生する(=皇統断絶)道を含め検討すべきとし、現代表は「配偶者もお子さんも皇族にすべき」と主張する野田佳彦氏であることに留意。
・NHK党:意見書(要約)
➢ 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果」に対する意見書
・「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること」に条件付き賛成
・「養子縁組による旧皇族の皇籍復帰」に賛成、可及的速やかに実行すべき
・「法律による旧皇族の皇籍復帰」に賛成、可及的速やかに実行すべき
・NHK党は「自由を守り自由度を高めるため行動する」が基本理念であり、当事者の意思を最大限に尊重すべきという立場
・秩父宮殿下の際には行われなかった立皇嗣の礼が行われたことから、秋篠宮皇嗣殿下へ、悠仁親王殿下へ皇位を継承されることが天皇陛下の大御心と解釈
・これは報告書にあるように、第126代今上天皇陛下まで一度の例外もなく、皇位が男系継承されてきた皇室の伝統に則ったものと理解
・男系継承は民間男性を排除する男性差別とみることも出来るが、皇室の伝統であり日本の歴史そのものであるため、一時の価値観で軽々に変更して良いものではない
・そもそも差別とは合理的理由なき区別であり、民間男性が皇族になれない理由は明確に存在するので、男性差別ではなく合理的区別と理解
・皇位継承を考える際に「直系」は重要な要素だが、皇室の伝統において優先されるのは「直系」よりも「男系」
・「旧皇族の男系男子の皇籍取得」には先例もあり、「旧皇族の皇籍取得」は国民の理解を得られると期待
NHK党はこれらに加え、以下の7点を「強く要望」している。
悠仁親王殿下の警備体制強化
悠仁親王殿下の公務を削減、お妃様探しとお世継ぎ作りに配慮
御学問所再興、皇族の学習環境の整備
根拠なき皇室バッシングに政府が毅然と対処
内廷費を見直し皇族存続を経済面で支える
旧皇族の皇籍復帰により皇室会議の皇族割合増加
敬宮愛子内親王殿下、秋篠宮佳子内親王殿下、皇籍取得していただく旧皇族のご結婚に配慮、「女性宮家」が必要なら「先例」に従うこと
・維新の会:意見書(要約)
➢ 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果」に対する意見書
・有識者会議の報告は、非常に繊細な配慮がされており、歴史と整合的であり現実的であるので高く評価できる
・二つ目の方策(養子縁組による旧皇族の皇籍復帰)は特に高く評価
・一つ目の方策(女性皇族の婚姻後の皇籍維持)は、皇位継承資格を女系に拡大することに繋がらないかという懸念の声があることに留意が必要
・以上を踏まえ、有識者会議の報告及び政府の検討結果に賛同
・国民の皆様に対し正確な情報をお伝えして理解を醸成しつつ、今日まで紡がれてきた長い歴史と伝統を大切にし、古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえた上で、皇室の歴史と整合的であり、かつ、現実的でもある二つ目の方策について、皇室典範の改正により、安定的な法制度として実現するべき(原文まま)
・国民民主:考え方(要約)
・①女性皇族が婚姻後も皇室に残る、②旧宮家の男系男子が養子縁組などで皇籍復帰する、について早急に制度の具体化を進めるべき
・①②では十分な皇族数を確保できない場合に備え、③皇統に属する男系男子を法律により直接皇族とする、も検討しておくべき
・皇位の安定継承の具体化については、引き続き検討を深める必要がある
・有志の会:意見書(要約)
➢ 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果」に対する意見書
・立法府の役割は、将来にわたって安定的に皇位の継承がなされるよう、皇室典範において定める「枠組み」を作ること
・悠久の皇室の歴史において先例のないことを可能とする枠組みを作ることには、極めて慎重であるべき
・皇室の歴史において守られてきた先例を議論する場合には、立法府は悠久の日本の歴史の中での直近の民意を受けているに過ぎない存在であることに強く留意すべき
・「皇室はかくあるべき」「皇位継承はかくあるべき」という皇室についての「べき論」を行ってはならない
・それぞれの皇族の方の配偶者のあり方などは一義的には皇室において決めるべきことであり、立法府の議論は皇室の選択肢を増やすために行うもの
・「今上陛下から秋篠宮殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」という考え方は、妥当である。
・「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること」は、妥当である。配偶者と子は原則として皇族の身分を有するべきでない
・「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること」は、限定的に認めるべきであり、内親王・女王の配偶者となる場合、当該内親王・女王が皇位継承資格を持つかの検討が必要
・「皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること」は、皇統が途絶える危機にある時などの非常時の方策であり、現時点で結論を出すべき事柄ではない
・以上を踏まえ①②を担保するため皇室典範の具体的改正案の策定にとりかかるべき
・日本共産:会見(要約)
日本共産党については、上記維新・国民・立民・NHK・有志のような意見書等が見当たらなかったため、2022/01/19の会見(赤旗報道)を参考に、その立場を確認しておきたい。
➢ 女性天皇は憲法に照らして合理性持つ 「皇位継承問題」有識者会議報告 小池書記局長が会見|しんぶん赤旗
・有識者会議の報告は、天皇の制度は男系男子によって継承されるべきだということが、事実上、『不動の原則』になっている
・天皇の制度は、憲法の精神に基づいて議論、検討すべき
・日本国憲法第1条は天皇を『日本国の象徴』『日本国民統合の象徴』としており、多様な性を持つ人々によって構成される日本国民の統合の『象徴』である天皇を、男性に限定する合理的理由はない
・女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つ
・女系天皇も同じ理由から認められるべき
・付帯決議は女性宮家の創設についてすみやかに国会に報告することとし、女性天皇、女系天皇について報告を求めたが、有識者会議の報告は、女性天皇、女系天皇について検討せず、男系男子を事実上、『不動の原則』とする報告書になっており、大きな問題点として指摘せざるを得ない
・公明党:意見書
公明党については、「意見書」を取りまとめたことは確認できたのだが、その詳細な内容については確認できなかったため、公明党公式のニュースを引用したい。
・社民党:取材(抜粋)
社民党については意見書等が見つからなかったため、衆参両院正副議長の意見聴取後に福島みずほ党首が語った内容をご紹介する。
以下、多少付言。
たしかに過去、男系男子が幼少であり成長を待つ場合や複数の男系男子間での調整を待つ場合に、皇位の継承を途絶えさせないために男系女性天皇が御即位遊ばされた例は八方十代ある。
ただし「御婚姻遊ばされている状態で御即位」「御即位後に御結婚」「御即位後に御出産」遊ばされた女性天皇はなく(女系天皇の誕生を防ぐため)、126代に亘って男系継承されてきた皇位であるから、その正当性を失わないため、今後男系女性天皇に御即位賜る場合は、「男系男子と御婚姻遊ばされている」「未亡人である」「未婚である」のいずれかである方に「御即位後に男系男子以外との婚姻を禁じる」を条件とせねばならない。
女性皇族の方に婚姻の不自由を強いて男系女性天皇の御即位をお願いすべきなのだろうか。
現在、「男系男子が幼少であり成長を待つ必要」も、「複数の男系男子間での調整を待つ」必要もないというのに。
・れいわ新選組:意見表明(要約)
つまるところ、「議論する気はない」ということである。
「裏金問題を引き起こし国民の政治不信が極度に高まっている中」と言うが、「その他の諸々は脇に置いて、静謐な環境で議論しましょう」というのが、我が国の根幹たる皇統についての議論であると理解していないのだろう。
また、「主権者である国民の幅広い議論にゆだねる努力」と言うが、そのためにはまず最低限、過去の皇位継承がどのように伝えられているか、「男系」と「女系」は何が違うのか、「女性」と「女系」は何が違うのか、なぜ「女系」では駄目なのか、等について正しい知識を喚起せねばらない。
加えて、その議論や世論調査等が人気投票の如き推移にならないよう配慮すべきであることについても付言させていただく。
・参政党:考え方
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