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素晴らしいコーヒーを使わせてもらってる感覚で

常々、価値あるコーヒーを届けたいと思っている。

だから選ぶコーヒーも品質重視なのだけど、いま目の前にあるコーヒーが当たり前じゃないのだなと気づくと、あらゆるものへの感謝が尽きない。


今年8月。

知人の紹介で自国のコーヒーを日本に広げたいという方とお話しさせていただく機会があった。

取り扱ったことのない国だったこともあり、僕が希望するコーヒー(生豆)があれば買付したいと思っていたのだけど、今回はご縁なく。

というのも、提示いただいたコーヒーの資料を見る限り、未完熟のコーヒーチェリー(コーヒーの風味を損なう要因のひとつ)まで想定以上に収穫されていたため。

話を聞くと、高品質なものはすでに買い手が付いており、今年紹介できるものは上記のもののみだということ。


「うわ、これか…」と一瞬思った。


同時に、

そういった品質のコーヒー豆でも市場ではかなりのニーズがあること(農作物を無駄にしないとも言えるけど)

ふだん自分が扱っているコーヒー豆がいかに高品質であるかということ

がわかった。(僕が仕入れるコーヒー豆は事前に商社さんが選定してくれたものなので)


ところで、品質が良くないものがなぜ存在するのか?

ここにはさまざまな理由があるのだけど、僕が認識している2点を書いておこうと思う。


(1)質より量を求められたり、量があれば稼げるという考え方のため
(2)コーヒーチェリーは全て収穫しなければならないため


(1)質より量を求められたり、量があれば稼げるという考え方のため

コーヒーチェリーは1粒ずつ熟度が異なるため、本来であれば完熟したチェリーを見極め、収穫する必要がある。

コーヒーチェリー(ワタルコーヒーさんの資料より)

ただ、取引先から量を求められたり、収穫する人にどのチェリーを摘めばいいか知識がなかったり、早く換金したいから完熟前のチェリーまで摘んでしまったりといった理由で品質の低下が起こってしまう。(うっかり完熟前のものを摘んでしまうパターンもある)

「そうしなければいいのに…」と思うかも知れないけど、生産国や地域を取り巻くある種の社会問題(買い叩く人がいるとか、貧困であるとかなど)であるため、なかなか解決が難しい。

もちろん、コーヒー農園や買い手によってはこの問題と向き合い、いわゆる持続可能なコーヒー生産に取り組んでいる。


(2)コーヒーチェリーは全て収穫しなければならないため

コーヒーチェリーは1粒ずつ熟度が異なるため、全てを収穫するにはある程度の期間が必要になる。

このとき、摘み残したコーヒーチェリーが存在すると過熟してやがて落下。

そのチェリーを食べに来る害虫によってコーヒー農園の木々がダメージを受ける問題がある。

だから、広大なコーヒー農園に実るコーヒーチェリーを最後の1粒まで収穫しなければならず、収穫期に人手不足になってしまうと仕方なく完熟前のチェリーを摘むことになる。

不運にも人手が足りないパターンもあるかも知れないけれど、人手を集めるだけの資金力が原因になることも多く、問題(1)と絡んで生じているように見える。


こういった問題がある中、日頃から高品質なコーヒーを扱う、もとい、使わせてもらっていると考えるだけでめちゃくちゃ感謝の気持ちが湧いてくる。

ただただ尊い。


正直なところ、問題解決のために一個人のコーヒー屋としてできることはかなり少ない。

自分が全てのコーヒー農園に行ってどうこうすることは(そもそも栽培知識とか経験とかないし)できないし、取引額の10倍で買い取ります!とかできないし。

誰が問題の原因か?みたいなことを言い出しても現実的な解決にはずっと時間がかかるだろうし、いま自分にできることをするだけだなと思う。


そのひとつが価値あるコーヒーをお客さんに届けることかなと。

それがうまく循環して品質の良いコーヒーが増えれば、それだけ上述の問題も解決に向かっている証になるんじゃないかと考えてるわけです。


明日からもまた価値あるコーヒー、ご案内させていただきます!


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