Riro
念願叶って11月下旬、私は福岡県に行くことができた。今回の旅の目的は、マリンワールド海の中道だった。国内で会える、唯一の雄のラッコ、リロくんが居るからだ。
羽田から福岡まで飛行機で向かい、福岡空港からまずは祇園で降りた。というのも宿泊するホテルの最寄駅が祇園だったからだ。ホテルで荷物を預かってもらい、そのままマリンワールド海の中道へ直行した。
この日は随分と間が抜けていて、まず飛行機の座席で隣から間違えていることを教えてもらえた。大変情けなく恥ずかしくもあったが、おしえてくださった方に感謝だ。次に博多から香椎に向かう時も、電車の車両編成を間違えており、駅員の方にここには止まりませんよと教えてもらった。本当に申し訳がないほどドジだったが、わざわざ声を掛けてくださったことと、親切にしてくださったこと、全てにありがとうという気持ちしかなかった。
マリンワールド海の中道の最寄駅は海の中道駅なのだが、そこから10分ほど歩くと水族館に到着する。
リロくんのところに直行すると、プールを泳ぐ一頭がいた。リロくん、はじめまして。
普段よくメイちゃんとキラちゃんに会いに行くが、リロくんはやっぱり身体が二頭に比べると大きかった。雄のラッコをまじまじと見ることは人生で初めてだったので、それにも感動だ。マリンワールド海の中道のラッコプール前には、いくつかの座る箇所が用意されており、のんびりとリロくんの姿を眺められるようにもなっていた。
しかし一つ気になる点は、柵があるのだが小さな子どもは柵の中に入ったり、中には柵に座ったりもしていた。非常に危険だし、ガラスを叩くような真似があってはラッコにも、ガラスそのものにもよくないと感じる。正直何度か見ていてヒヤヒヤした場面もあった。どうにか注意喚起をしてもらえたら嬉しいな、とかんじてしまった。マナーやモラルの大切さを改めて痛感。
さて、リロくんの話に戻ろう。彼は優しく真面目で紳士的な性格だと、書籍や記事の紹介文で目にしていた。たしかに、そのとおりなのだろうなあと感じることができた。それはお食事タイムの時だ。
飼育員さんがリロくんにごはんをあげる、それからリロくんは手をあげて万歳のポーズを取ったり、お客さんの前にきてガラスをとんとんと触ってみせる。そのガラスの触り方がとても優しい!そしてリロくん、とてもお顔が可愛らしいので、もう私はアイドルからのファンサを浴びているような感覚に陥った。
リロくんのお食事タイムは、全体的にゆったりとのんびりした流れだった。水族館によってごはんの最中の行動等も全然異なるのだなあ、と知ることができて、そこもまた面白かった。
リロくん。一頭だけで寂しくないかな、と感じてしまったり、今は亡きマナちゃんのことを思い出したりもした。だが、大切にしていくために考えるべきは寂しくとも、これからのことだ。マナちゃんが生きていたことを忘れずに、リロくんの未来が明るくあたたかな時間であるように。1日でも長く元気で健やかに生きていてほしい。そして、リロくんにとって、マリンワールド海の中道での生活が幸せと感じられるものであればいいなと、願った。
ちなみにリロくん、鳥羽水族館のキラちゃんの、実はお兄ちゃんなのだ。二頭は別々の場所で生活しているが、よく見ているとなんだか似ている面影があり、そこにもまた喜びが生まれた。
キラちゃん、キラちゃんにとってリロくんはどんなお兄ちゃんだったんだろうか。私は君のお兄ちゃん、すごく、すごく、やさしくて紳士的な、カッコいいラッコだと思うよ。
🦦(上)リロ/マリンワールド海の中道 🦦 (下)キラ/鳥羽水族館🦦