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市民農園奮闘記

最初の失敗

 市民農園を借りて1年目のこと。市役所からの封書を開けると、「市民農
園のルールを守らない区画が見受けられます。お心当たりの方はご配慮お願
いいたします。」と書かれた1枚の紙と共に農園の注意事項が記された紙が
同封されていた。
 これにはびっくりした。アパートで問題を起こしている当事者に直接注意
するのではなく、住居者全員への注意喚起という形を取っているのに酷似し
ていたからだ。

 ある日、隣の区画の人に封書のことを聞いてみた。そんな封書は来ていな
いとのことだったので、私への注意と認識した。
 何が悪かったのだろうかと、注意事項を読みながら色々考えた。思い至っ
たのは雑草対策だった。

 住んでいる地域では、市民農園以外にも多くの畑が広がっている。それら
の畑では、刈り取った雑草がこんもりと積み上げられ、土に還るのを待って
いる様子が多く見られる。私はそれに倣っていたが、市民農園では、まずか
ったのだろう。
 そこで、雑草対策をあれこれ考え、この畑での経験が長そうな人にも聞い
てみた。
 刈った雑草は数日放置して、深く掘った穴に埋めるのがいいだろうと、教
えてもらった。

なぜ山積みがダメなのか

 ある日、市役所に行ったついでに、市民農園の担当課で雑草の山積みがダ
メな理由を聞いてみた。
 以前、山積みの雑草から種が飛ぶので困るというクレームがあったからだ
という。どのくらいの高さが山積みになるかという規定はない。程度問題と
いうことだった。

 雑草は70から80センチの高さに積み上げていたと思う。奥の区画では、雑
草が40センチ程度積み上げられているのは珍しくない。
 周りの区画と比較しても、高く積んでいた、しかも私の区画は道路脇のた
め、積み上げた雑草が目立ったのだろうと思った。

侵入する野菜

 隣の区画から野菜の葉やつるが侵入していた。畑作業の邪魔になる。しか
し、処理するとその区画の人とトラブルになるかもしれないから、ほってお
くしかなかった。

 2年目も同様なので、市役所の担当課に相談した。侵入していたのは、サ
ツマイモのつる。最初の相談後、確認したら、侵入したつるが返されただけ
だった。サツマイモは区画の境界線から60センチ程度しか離れていないのに
だ。そんなことだから、その後どんどん伸びるつるは、1メートル程侵入し
てしまった。

 証拠写真をスマートフォンで撮って、再度担当課へ出向いた。ひどい状態
を分かってくれ、きつく注意してもらえることになった。
 10日後だったと思うが、サツマイモは全て収穫されていた。そして、その
後野菜が植えられることはなかった。撤退したのだろうと思った。

最後に

 市民農園の契約期間は3年。この記事を書いている2024年は、契約3年目に
あたる。契約はまだ終わっていないのだが、一区切りとして、印象に残って
いるエピソードを書いた。

 周りの区画の多くは、黒ビニールのマルチを使い、雑草がほとんどなくき
れいなものだ。これは、プレッシャーになっている。念頭にあるのは、自然
菜園で野菜を作ることだからだ。雑草は積んで乾燥させ、すき込んで肥料に
する。あるいは草マルチにする。そんなスタイルでやってみたいのだ。

 区画の割り当ては市役所の担当課が行っている。隣の区画の人がどのよう
に野菜作りするかは分からない。区画境界線ぎりぎりに野菜を植えられれば
、成長に従って葉やつるが侵入することになる。面倒なことだ。
 隣の区画のことなど気にせず、野菜作りするのが気持ち良いが、そうなる
とも限らない。

 今の市民農園での経験から、契約は継続しないと思う。何となくではある
が、自分なりの野菜作りの方法がみえてきたからだ。

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