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サイエンスを楽しく、おもしろく

雲間サイエンスカフェ、8回目の開催となりました。
大阪大学理学部の寺田健太郎先生をお招きしての
「月についてわかったこと わからないこと」
ありがたいことにキャンセル待ちの満員御礼です。

「いやー やっぱ広島はいいですねぇ・・・って言うと寺本さんにまたまたリップサービスでしょって言われるんでそうじゃないってことを」
と用意されたのがこちらのスライド。

2007年に『「理が苦」から「理楽」へ』を合言葉に広島大学サイエンスカフェを立ち上げ、2008年に寺本がファシリテーター(司会)をするようになり、広大から阪大へ(ここ数年のアウトリーチ数の増加具合がやばい)「心のふるさとは広島なんです」 うれしいですねぇ。
バリバリの文系だった寺本が、まさかサイエンスカフェの司会をするようになるとは夢にも思わなかった。寺田先生にスカウトしてもらわなければ、こうしてお茶屋をひらいてサイエンスカフェなんかしてなかったと思う。

寺田先生に雲間でサイエンスカフェをしていただくのは3回目。
※寺田先生からご指摘いただきました・・・4回目だった
2017/1/22 月の科学の最前線 〜月と地球のビミョーな関係〜
2017/7/23 月に吹く地球からの風
2018/7/22 広島に小惑星のかけらが降ってきた
で、今回。4回目ですね。
今回は(も)事前にメールで2、3確認したもののほぼ打ち合わせなしのぶっつけ本番で臨む。

「月についてわかったこと、わからないこと」
今年はアポロが月面着陸して50年。
それにちなんで参加者全員にアポロチョコプレゼント。(アポロのコックピットを模して作られたアポロチョコも発売50周年)
ジャスミン香る炭酸水にアポロチョコを投入して、ぷかぷか浮かんだり沈んだりするのを楽しんでもらいながらお話はスタートしました。

アポロ計画によって約380Kgも採取された月の岩石、設置されてきた反射鏡や月震計、とにかくそこから月についての理解は格段に進展した。

さらにこの50年間の技術革新はものすごく、より微細なものを見ることができるようになっていき、50年も前に採取された試料からまだ新発見が続いていることに驚く。

これまでのサイエンスカフェは一つの論文についてじっくり話を伺ってきたけど、「わかったこと わからないこと」軸で次々と発表された学説を聞くと、なんかものすごかった。入り乱れていた。
わかればわかるほど謎が生まれ、仮説が定説になり、その定説を覆すような発見があり、いやいややっぱり定説でええねんという論文が出たり、ここ近年の激動の月研究トピックを一挙に知る。
それはまさに世界中の科学者がしのぎを削っている音がするような世界で、そこに寺田先生自身の論文も入ってくるわけで、すごいじゃないですか・・・その最先端をこの場末のお茶屋でお茶をすすりながら聞けるなんてねぇ・・・・

サイエンスカフェのファシリテーター歴も長くなった寺本だけど、お茶屋のばあさん安穏としてヤキがまわったななどと思われたくなくて、今回は聞いた話をホワイトボードにライブドローイング?していく新手法を導入した。
が、先端科学の発見や探求の網の目のような複雑さにちょっと負けた感が。
「なんかついていけなくてわかんないな、というところをちゃちゃっとまとめて書いてくれたからよくわかった」と言っていただけたからよかったのかな。

今回の参加者は小学生含めいろんな方がいらした。初めましての方もたくさんいらしてうれしかった。
みなさんビビットに反応され、会場がひとつになってサイエンスライブを楽しんだなぁと思えた。

「このきょうりゅうがいきていたころの月はどんなおおきさでみえていたんですか」小学生のピュアで鋭い質問には、汚れちまった魂が洗われるようで感心したなぁ。先生方もたじたじ。知的好奇心よ、すくすく育ってね。

寺田先生の著書「ねぇねぇはかせ、月のうさぎは何さいなの?」の販売サイン会も好評で用意した絵本は完売しました。ありがとうございました。

終了後、寺田先生と高橋先生としみじみ話す。
サイエンスカフェに関わり始めたころ
「寺本さんぼくにこう言ったんですよ、そうだ思い出した、たしかこうも言ったなぁ」
市民にもっと認知されるにはこうしたほうがいい、こうあるべきだとずいぶん生意気なことを言ったようだ(忘れてた)。
そのころはまだキャッチーを作る仕事をしていて、認知されないものは存在しないのと同じと信じていた。
今はそのキャッチーを危ぶむ。口当たりよくわかりやすくやわらかくしたものを与えて育つのはバカばっかしだ。
そして盲信を憎む。すごい科学者のよくわからない話をありがたがるようなことはしたくない。
あらゆる人はある分野で特殊技能をもったり秀でたりしていても、神でもなんでもないからお布施を払う必要はない。
知らなかったことを知る喜び、わあすごいねと心が震えるような体験、そういうものを共有したい。
キャッチーと難解、盲信と無知、難しいけど絶妙なバランスを探りたい。
地球はたまたま太陽系のこの場所にできたから、暑くもなく寒くもなく、水豊かに生命が繁栄したんだそうだ。そもそも私たちは絶妙なバランスをすでに享受している。できないはずはない。まだまだ転がり続けて探したい。

しかしあのころの自分の頭をぐりぐり押さえつけてあやまらせたい気分だ。ほんとにすいません・・・そして人に言ったことは10年たってブーメランのように自分をバッサリ斬るのであった。ぐはぁ。




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