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徒然雲 ひらりひらりと一蝶節【英一蝶】@サントリー美術館
用事を兼ねた横浜帰省中にもう一つ美術館を訪れた。
日本画(鑑賞)勉強中のワタシの今年の締めとなる
『没後300年記念 英一蝶』
英一蝶だけの展覧会ははじめてです。
ただ、日本画展などではちょいちょい名前と作品が出てきて
記憶に残る画であった。
今回は大規模回顧展、企画はワタシの好きな美術館の一つ
サントリー美術館。
こちらの企画展、センスがいいです。
テーマと展示のまとめ方が上手いといつも感じる。
ということで、六本木のミッドタウンへ。
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英一蝶(はなぶさいっちょう)
1652〜1742年(元禄年間)
京都に生まれ、江戸を中心に活躍した絵師。
狩野探幽の弟・安信のもとでアカデミックな教育を受けるが、
菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を活写した独自の風俗画を
生み出した。
まず、英一蝶という名前がいい!
本名ではない。
英、格好いいではないですか。
その一蝶は生類憐みの令に反したということで、40代に三宅島に島流しになる。
第五代将軍・徳川綱吉による「生類憐みの令」を皮肉った流言に関わった疑いで捕らえられ、元禄11年(1698)、三宅島へ流罪となります。ただし、この事件の真犯人はすぐに捕まったため、実際の理由は別にあったと考えられています。一番有力な説は、江戸吉原に出入りし幇間(ほうかん・太鼓持ち)として大名などと交流していた一蝶が、綱吉の生母・桂昌院(けいしょういん)の縁者を遊所に誘い、遊女を身請けさせたという理由などで、幕府から目を付けられていたというものです。
長きの年月を島で過ごし、12年ぶりに江戸に戻ったころから、
英一蝶と名乗ったという。
また、俳諧も嗜み、暁雲という号で句を詠んでいる。
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今回、一連の英一蝶の作品を観て、まさに絵師というのがぴったりと思った。
町に暮らし市井の人々を観察しながら、商人(豪商)とも交流していくという、
なかなか世渡り上手であり強かであり、また軽やかな感性と視野を持っていたように、その描かれる人々の動きや表情から感じる。
俗世と浮世を飄々とユーモラスに描いた職人絵師。
画そのものはとても線が細く美しく、狩野派の流れを納得。
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前半に展示だったようで
本物は見れなかったが
とても一蝶らしい
俗世を描いている
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リアリティが・・・
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子どもは
やんちゃ
いつも思うことが、写真がない時代の画家たちの観察力の素晴らしさ!
江戸の人々の生活、動きや姿が鮮明に描き伝えられていることに
感動する。
少しデフォルメされたような表現は浮世絵っぽく
それはそれで生き生きしていて良いのでは?!
また着物も気になる。
それぞれの身分、職業、生活が写し出され
まさに活写。
唯一撮影可だった作品。
艶やか。
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その他、仏画でも素晴らしい作品があった。
釈迦十六善神図は圧巻。
一蝶の描く鍾馗図もよかった!
どの画もサラッとしたタッチで描かれているが、
丁寧に観察された中で削ぎ落とされ、残った核心に纏うユーモアと洒脱さが
ワタシは好きですね。
フライヤーのコピーが良かった
この世は
滑稽
だから
愛おしい
ウィットに富んだ物の見方をしたいと常々思う。
今年ずっと観てきた日本画家たちの作品がのが、秀逸な小説や歴史文学のようなものだとすると
英一蝶は、現実を少し色付けした軽快なノンフィクションや随筆のようなものでしょうか・・・
辞世の句も印象的で、いかにもと思う。
辞世の歌
まぎらはず浮世の業の色どりも有とて月の薄墨の空
ひらりひらりと
島に、町に、浮世に、飄々と渡り歩いた絵師が写し出す
江戸の世をみた
今年カレンダーに書き込んでいた展覧会はこれで全て観終えた。
大満足であるが、勉強不足、知識不足であることもあり
復習に時間がかかり、まだまだ要勉強。
そして忘れないように、このnoteに記録してきた。
拙い美術鑑賞録にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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