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あをによし 海石榴と庵と器と道と 奈良あるき 


山辺の道フェチを公言していますが、桜井〜大神神社をまだ綴っていず
このnoteを始た6月以降に桜井から歩いていなかったということ・・・

そんな中、11月に入り毎年恒例になった窯出し展のご案内をいただき、
いつ伺えるかカレンダーと睨めっこしながら、この日しかないかも・・・と
11月の後半に訪れたのが、桜井の初瀬川近くの金屋という地。


近鉄桜井駅から歩きます。
近鉄とJRが乗り入れる、まあまあ大きな駅であるはずだが駅前は寂しい佇まい。
これは奈良のどの駅でも言えるが、車社会の反映で駅前は廃れる一方。
それでも桜井駅は山辺の道をはじめ、南には談山神社、聖林寺、安倍文殊院などの大古刹にもアクセスする主要な駅でもある。
もっと賑やかでもいいのにな〜といつも思う。


駅を出ると山辺の道の案内があちらこちらに。





国道から北に入っていくと三輪山が正面に見えてくる。


三輪山



初瀬川


初瀬川、あるいは泊瀬川と書かれるがどちらもはつせがわ。
土地の話をすると長くなるので割愛。

奈良の土地に限ったことでないかもしれないが、同じ読みでも漢字が違うことが
多々ある。明日香と飛鳥など・・・
日本語が音が先で、後から漢字を当てた流れでしょうか。


この初瀬川、大和川となり、その昔は難波津からの物資だけでなく人も運ぶ交通の要衝であり、国外からの使節が降り立った大和朝廷の玄関口のような場所だったのが金屋付近。

おそらく昔はもっと水流も多い豊かな川であったのでしょう。


そして初瀬川を渡り、川沿いの桜並木の先に出てくるのが
仏教伝来の地の碑



ということなり



田んぼの奥、三輪山の麓の集落が金屋。


山辺の道へ




とても分かりやすい地図を見つけたので掲載。
まさしくワタシがいつもウロウロしているテリトリー笑


古代の道は河が肝



この初瀬川沿いの金屋辺りに、かつて国内外の交易で賑わった海石榴市(つばいち)があった。
この場所に関しては移動説などもあるよう。
まあ、ここは素直に金屋説でいきます。


海石榴、これでつばきと読むのも不思議。


この山辺の道ルートも何度も歩いているが、実はこの海石榴市観音様に寄らせて
いただくのは初めて。特に理由はないが・・・









海石榴市のことを読んでいると必ず出てくる歌垣。
特に興味がなかったのか、全く気にしたこともなくスルーしていた。
それが今回改めて調べてみると中々興味深い。


歌の掛け合いで相手を(恋愛相手を)探す・・・
言葉の掛け合い・・・確かにつかう言葉や文章でその人の成りやセンスが垣間見れることは多々ある。
ただ呪術的信仰に立つ行事・・とは、これまたミステリアス。





そしてこの日の目的地であるのが、海石榴市観音さまからも近いところにある
その名も海石榴庵。


看板も出てました




海石榴庵、陶芸家の梅田幸二さんのアトリエ兼ギャラリーのような場所で、
代々鍛冶屋を営まれていたご実家。
この金屋という土地名からもあるように、かつては同じような鍛冶屋さんが何件かあったが、最後の一軒となった梅田さんのご実家も、幸二さんのお父様の代で鍛冶屋業は廃業された。
それは需要と供給という時代の流れとしか言えず、元は刀などから始まり
農耕器具を鍛錬していたが、武士がいなくなり、農耕器具はハイテク機材に変わり
その農業すら縮小の一途を辿る中、鍛冶屋さんの需要がなくなっていったのは仕方がないことでしょう。

お父様で9代目だったという旧家に生まれた梅田さんは会社勤めをされていて
現在はお仕事もリタイアされ陶芸家として、こちらのご実家をアトリエに活動されている。
毎年11月の後半から10日間ほど窯出し展という作品展を開催され、それを楽しみに伺うのが秋の恒例になった。


そもそも海石榴庵の梅田さんとは、ワタシの綿(コットン)の師匠である木綿庵の梅田正之さんのご紹介だった。
木綿庵の梅田さんは茶道の師範でもあり、お宅にお邪魔した時にいただいたお抹茶の器があまりに素敵だったので「どなたの焼き物ですか?」と伺い
ご紹介いただいたのが海石榴庵の梅田さんでした。
梅田さん同士だが親戚では全くないが、家族ぐるみで親しくされているとのこと。


そこでまず訪れたのが、金屋の石仏の近くにあるご自宅前の小さなギャラリーというかお店。
山辺の道を歩かれた方はきっと見たことがるお店。
開けっ放しで、インターフォンを押すと奥のご自宅から奥様が対応してくださる様式。



こちらがご自宅前のお店
山辺の道沿い




初めて訪れた時、奥様、真澄さんと色々お話し(名古屋から嫁がれたとか、ここでも愛知から)話が弾む中、ワタシの目は数ある作品を物色。
そしてワタシが惚れ込んだ抹茶茶碗にかなり近いものを見つけ、購入したのが梅田さんの作品コレクションの始まり。



信楽三兄弟
右奥 抹茶茶碗
左奥 湯呑み茶碗
手前 お猪口




その時から、このルートを歩いてお店が空いていると声をおかけして
真澄さんとお話しをするようになった。



窯出し展はお店から数分のとこにある築200年ともいわれる、幸二さんのご生家で開かれる。

幸二さんの作品はもちろんのこと、この古民家がまた素敵なのです!





長い年月でいい色合いになった建具や杉の木の真っ直ぐと伸びた梁や土間、土壁、家具が味わい深く理想的な古民家の姿が拝見できる。











今回うちのコになった
手前のコ



かつて住み込みで見習いに来た人が
寝泊まりしたという上の間へ




85度ぐらいの傾斜
土壁がよい


異国情緒あふれる大黒様の



この家紋は・・・





お家を拝見しながら、作品も手に取りあれもこれも欲しくなる。



まずは今回迷った末、諦めた器たち

迷ったが・・・
厚みが気になり・・
でも使い道の妄想は広がる・・・


大好きな備前だが・・・


織部の長皿、これも欲しかったが・・・



この瑠璃色が大好きだが・・・






ここで過去に購入したワタシのお気に入りの器たち。
完全に普段使いでガシガシ使う為、土ものの宿命か欠けるものも続出・・・

先程の信楽三兄弟に始まり


マグカップ
この瑠璃色に一目惚れだった
毎朝のカフェラテ用にたっぷり入る大きなカップ



マグカップ
大好きな備前
ちょっとだけ小ぶりで夜カフェ用
ただ口が欠け・・・




小鉢?
色、形、とにかくお気に入り!
もっぱらお汁粉用



中鉢
内側のうっすらとエメラルドグリーンに惹かれて



中と大の間の皿
カレーにでもなんでも大活躍!



大スキ





こんなかんじでワタシは毎日の普段使いできるものをいつも選ばせていただく。
そして梅田さんの作品もそのような温かみある、シンプルで使いやすいものが多く
毎回選ぶのに苦労・・・

予算と相談しながら、手に入る範囲でお気に入りを見つける。



今回も迷いに迷って選んだのはマグカップと小皿の二点だけ。

マグカップ、すでに2つある・・・
二つとも口元が欠けてしまい、それでも普通に使っているが
見ると欲しくなるのがマグカップ。

今回見つけたのが、この淡い紫色が入ったもの
黒以外で好きな色の紫。
こんな優しいパープル、ステキ!


夜お茶用に毎日登場




そしてもう一つのお皿が・・・
実はコーヒーと一緒に出して下さったお菓子が載っていたもので
お菓子をいただいた後に出てきた柄に

これだー!



奈良銘菓
御室



これですよ!

あれですよ!

道ですよ!


一目惚れ






ワタシの大好きな日本画家、東山魁夷の『
有名すぎてワタシがあれこれいうのも何なので・・・・



東山魁夷




「これをください!」とお願いし、譲っていただきました。


梅田さん的には東山魁夷の道を意識したものでは全くないようだが・・
ワタシにはそれにしか見えなかった。


最近、が気になってしょうがない中の『道』だった。



嬉しい出逢いに、使うのも楽しみ。
渋い織部だが、和にも洋にもなんでも合う。


ガトーショコラを載せて
左の欠けは・・一口食べた後笑
そうだ、写真だ、と慌てて撮影




あ〜やっぱり長皿も欲しいな〜
そんな迷ったり後悔も器との出逢いと、楽しいもの。


次回はまたどんなスキと逢えるか・・・


焼くものは変わったが、昇る煙は今でも続き継がれている。




海石榴咲く11月の末の古道を歩いたはなし。




本日12月11日、明日から季節の候は熊蟄穴(くまあなにこもる)というが・・・
暖かくて、熊穴にこもらない・・・













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kumokichi
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