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『タコの心身問題』。その心は。。。

『タコの心身問題 - 頭足類から考える意識の起源』
ピーター・ゴドフリー・スミス 夏目大 訳 みすず書房

I felt the ability that far future octopus have something language and generate like city.

 違った視点を求めて購入したんだと思う。人間に関する本ばかり読んでいてもひろがない気がしていた。それから忘れていて、Netflixのオススメで『オクトパスの神秘 海の賢者は語る』を観た。身体を周囲に擬態させたり、帆を開くようにして身体を大きく見せたり、その身体で獲物を一気に包み込んだり、行動を改善していく頭の良さ。食べるばかりだったけど、これほど魅力的な生き物だとは知らなかった。

 タコの心身問題という邦題だけど、意識の起源を探ることが主題だ。進化の系統樹をみると、6億年前に人と頭足類とは分かれている。魚だった頃より前になる。人間も魚も脊椎動物で、軟体の頭足類にはそれがない。でもタコにも脳があり神経のネットワークをもっている。
 脊椎動物もネットワークになっていて各機関が独自に動くこともあるけど、脳の中央集権的なところが大きい。一方のタコは足と脳はもっと独立しているようなのだ。ネットワークの複雑さを制御していて、そいの複雑さがタコの脳を発達させている。このような複雑さを成立させるために、発達していくというのは社会のコミュニケーションと相似ではないか。

 単細胞生物が周囲の変化を感じとるところから、コミュニケーションは始まっていた。それ以来、周囲の変化より感じとる仕組みを体内にいくつも取り込みながら生物は進化していった。でも、ずっと言葉は不在だった。著者はタコを通して言葉と心の関係を教えてくれる。言葉がないとコミュニケーションを取れないのではない。たしかに言葉はコミューニケーションの手段として進化した。でもそれは、そのままうちなる声として取り込まれていった。それが心を形成していったのだった。

 最後の章は、パラレルワールドをみるようだった。オクトポリス、タコの都市についての興味深い論考だ。著者は海底のある一角にできたその都市にすいて仮説を述べている。なぜその都市ができたのか。都市といっても、貝殻のベッドがひかれてたくさんのタコが巣を設けているに過ぎない。でももしかすると数万年を経たのちに言葉のようなものをもつタコの末裔が存在するかもしれないと思わせるのだった。

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