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2024年12月4日 相場日記

相場概況

  • 株は上昇:最高値更新が続いていただけに、買い疲れの兆候も見えました。投資家は12月利下げの可能性を見極めようと、週内に予定されるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言機会や雇用統計発表に身構えています。11月雇用統計を6日に控える中、この日発表された10月求人件数は予想を上回る増加となった一方、レイオフ件数は減少し、労働需要が安定しつつあることが示唆されました。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、12月の利下げは確実ではないが、政策当局者の選択肢としては残っているとの見解を示しました。

  • 金利は下落:午前中は韓国大統領による非常戒厳の宣布を受けた逃避買いの流れが強まり金利は下落しました。その後、強い米労働指標を受けて利回りは上昇に転じる場面もありましたが、追加利下げの支持を示唆する米金融当局者発言が伝わると再び下げました。

  • 金は上昇:金相場は反発。韓国の戒厳令やフランスの政治危機を受けた逃避需要が支援しました。一方、堅調な米求人件数データは相場の重しとなりました。

  • 原油は続伸:イラン産原油に対する米国の制裁強化に加え、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の供給拡大が先送りされるとの期待が支援しました。その後、米財務省がイラン産原油の輸出に関与している35の組織や船舶を制裁対象に加えると発表し、原油は上げ幅をさらに拡大しました。

通貨強弱

  • ドルはレンジ:韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言や米経済指標、米金融当局者発言を材料に上げ下げを繰り返し、日中は方向感を欠く動きとなりました。

  • 円は上昇:韓国の戒厳令を受けて午前の取引では逃避需要から円が買われましたが、その後発表された10月の米求人件数が市場予想を上回り、労働市場の底堅さが改めて意識されると円は上げ幅を縮小する展開となりました。

ファンダメンタルズ

米求人件数

10月の米求人件数は774万4000件に増加し、専門職・ビジネスサービスや宿泊・飲食サービスが牽引しました。一方、レイオフ件数は6月以来の低水準、自発的離職者数は5月以来の高水準で、労働者が新たな職を見つける自信が高まっていることを示しています。これに対し、雇用率はハリケーンやボーイングのストライキの影響で6月以来の低水準となりました。

失業者1人当たりの求人件数は1.1件で、前月と同水準。労働市場の混乱が求人件数増加と雇用者数減少の要因と考えられています。米金融当局は労働市場の安定を注視しており、現状はコロナ以前の水準に近づいています。

韓国大統領が戒厳令

韓国の尹錫悦大統領は12月3日、野党の弾劾動きに対抗するため「非常戒厳」を宣布しました。全ての政治活動を禁止し、メディアは戒厳司令官の統制下に置かれると発表。これを受け、韓国ウォンが約2年ぶりの安値を記録し、株式市場でも大幅な下落が見られました。韓国当局は市場安定化のため無制限の流動性供給を含む対策を講じると表明しています。

韓国国内では与野党間の争いが続き、野党は非常戒厳解除に向けた対応を模索。一方で与党内部でもこの決定に対する反発が広がっています。戒厳の影響で、4日の株式市場が開場するかは不透明な状況です。


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