2024年11月16日 相場日記
相場概況
株は下落:パウエル議長が利下げを急ぐ必要はないとの見方を示したほか、この日発表された10月の米小売売上高統計では、前月の数字が大きく上方修正されました。
金利は反落:9月の米小売売上高が大幅に修正されたことが影響し、利回りは一時上昇しましたが、その直後に大型の取引が入り反落しました。また、原油価格と米株価指数の下落が債権の需要を喚起しました。
金は下落:堅調な米小売売上高などを受け、米利下げペースの鈍化に警戒感が強まりました。
原油は下落:ロシアとウクライナの緊張が和らぐ兆候が示されたことをきっかけに、今後の供給過剰に備えたポジションを構築する動きが広がりました。
仮想通貨は上昇:ゲンスラーSEC委員長の退任示唆により、暗号資産業界では規制緩和や建設的な対話への期待が高まっています。ゲンスラー氏はこれまで暗号資産を厳格に規制し、関連大手への法的措置やビットコイン現物ETFの申請却下に関与してきました。退任の報道を受け、XRPは政権交代やSEC体制変更への期待から大きく上昇しました。
通貨強弱
円は上昇:加藤勝信財務省は「足元では一方的、また急激な動きが見られる」と述べ、市場を牽制した。
ポンドは下落:イギリスのGDPが市場予想を下回る結果となったほか、インフレ率の見通しが不確実であることが、ポンドの下落要因となっています。また、イングランド銀行(BoE)が利下げを決定したことも影響しています。さらに、米国の経済指標が堅調でFRBのタカ派的な姿勢が続いていることから、ドルが強い状態にあり、相対的にポンドが売られる状況が加速しています。
ファンダメンタルズ
米小売売上高
10月の米小売売上高は前月比0.4%増と市場予想の0.3%を上回り、9月のデータも0.4%増から0.8%増に上方修正されました。自動車販売が3カ月ぶりに大幅増となり、全体を押し上げた一方、自動車を除くベースでは0.1%増にとどまりました。電子機器や家電の販売が好調でしたが、無店舗小売りの伸びは鈍化しています。
ホリデーシーズンを前に個人消費は堅調と見られますが、インフレが根強いことや、一部の小売業者が輸入関税を見越して値上げを検討していることが影響する可能性があります。GDP算出に使用されるコア売上高は0.1%減少しましたが、過去3カ月の年率では4.6%増加しており、第4四半期の経済は順調な滑り出しを見せています。
金融当局はこれらのデータを踏まえ、インフレ対策や利下げに慎重な姿勢を維持する見通しです。今後の消費動向は、所得の伸びや労働市場の状況に強く依存する可能性が指摘されています。飲食店の売上高は0.7%増と、サービス分野では唯一の成長項目となりました。