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私の中にほんのり残る田舎の記憶

「田舎に帰省」とか「おじいちゃん、おばあちゃん」などのワードに弱いクミタです。こんにちは。

母方の祖父・祖母は早くに亡くなってしまったため、巷でよく見聞きする、おじいちゃんおばあちゃんとの触れ合いというものを私は体験していません。(父方はあまり良く覚えていない)

田舎に帰省した記憶も、恐らく法事の時で、覚えているものは小さい頃に2,3回程度。

田舎に帰省する機会って、きっと子どもが小さい頃のほうがたくさんしていて、子どもの成長とともに帰省回数は減っていくような気がします。
私は年の離れた末っ子なので、姉と兄に比べると帰省回数は少ないのだと思います。姉は母の田舎の思い出をたくさん持っていて、何なら私が生まれる夏は、夏休みまるまる母の田舎に預けられて過ごしたらしく、私の出産を終え迎えに行った母に「帰りたくない、ここのうちの子になる」とダダをこねたらしいです(笑)
リアル「ぼくのなつやすみ」状態ですよね。
その話をきくたびに、そんな思い出がある姉がちょっと羨ましかったりします。

羨ましくはありますが、小さい頃から私は人見知りの小心者だったので、姉のように長い期間母と離れて知らない土地で暮らすなんてちょっとできなかったかもしれません。それに私の中の田舎の思い出は、楽しいことと怖いことが半々でした。

<怖いことに分類される思い出>
その頃はぼったん便所(汲み取り式のトイレ)だったので、とにかくトイレに行くのが怖くて必ず母についてきてもらいました。
なんで怖いか。その理由はこれまた私が苦手とする兄がいっちょかみしているわけですが

「田舎のトイレは、下から青い手が出てくるぞ」

と、怖がりの私に何度も言います。
汲み取り式のトイレによくあるネタかもしれませんが、私は用を足している間、あの吸い込まれるような穴を見るのがめちゃめちゃ怖くて。
でも手が出てきたらすぐ逃げないとなので時々恐る恐る見ちゃうのですがやっぱり怖くて。ドアの向こうにいる母に「お母さん、そこにいるよね!」と何度も声をかけて確認しながら半泣きで用を足すのでした。
時々ハエなんかもプンプン飛んでいて、私にとって母の田舎とは、とにかくトイレが一番の恐怖で毎回極限まで我慢していました。

兄、ぜったい許さない……

次はハエつながりで。
実家の食卓にハエが飛ぶ状況というのはそこそこありましたが、うるさいハエが一匹ブンブン飛んでるくらいで、早々に母がハエたたきで仕留めてくれるし、なんなら私もハエたたきで応戦するくらいにはハエ耐性があったのですが、田舎のハエは衝撃でした……。
それはもう、食卓にブンブン飛んでます。
美味しそうに並ぶお料理にちょいちょいとまります。
大人たちは談笑しつつさりげなく手で払う。しかしハエとまる。大人話盛り上がる。ハエ、おかずの上で楽しそう。たまらず私、払う。しかしまたハエとまる。私払う。あっちの料理にもとまる。私必死に払う。大人そんなに気にしてない。

みたいな状況が続いたころ、私にハエたたきが手渡され、ハエ駆除にあけくれます。ハエを仕留めるたびに大人が喜んでくれるのでノリノリです。
田舎の大人はあまりハエを気にしない、ということが衝撃でした。いよいよ飛び回るハエもいなくなったころ、私はお台所に行った時にとんでもない光景を目にします。

天井から垂れ下がったハエ取り紙に、ハエがびっしりついてます!
ぎゃああああ!
食卓の比じゃありませんでした。私は食べ物の上にハエがとまってしまうのが嫌だったのですが、この光景を見て諦めました。

怖い思い出の最後は、方言です。
大人、というか特にご年配の方たちから話しかけられるのが苦手でした。
なぜかというと、何を言っているのかさっぱりわからないからです!


「繧医¥譚・縺ヲ縺上l縺溘?縲ゅ°かん~ちゃん繧薙■繧?s縺ッ縺?¥縺、縺ォ縺ェ縺」縺溘??」

たとえるならば終始こんなイメージです。
自分の名前と名詞くらいしか聞き取れません。たいてい母が通訳してくれました。なので、母がいないときに話しかけられると、なんと答えてよいかわからなくて怖かったです。
母が話す言葉は標準語なのに、相手は方言で、私には何を言っているのかさっぱりわからないのに、母はそれに対しまた標準語で受け答えして楽しそうに話しているのを見てめっちゃ不思議でした。なんで大人たちは標準語が通じるのに標準語で話してくれないんだろう?とも思っていました。
年齢が下がれば下がるだけ聞き取れるようになり、同じくらいの歳のいとこは普通に標準語もしゃべってくれたので、なんで大人は日本語が話せなくなってしまったのだろう、と不思議に思っていました(笑)
いや、全部日本語だっつーの!

1ヶ月ほど母の田舎にホームステイしていた姉は、私よりもヒアリング能力が上でした。さすが。

<楽しいことに分類される思い出>
そうは言っても、田舎は非日常を味わえる最高のロケーションであることに間違いなく。
母の姉の家には、牛とニワトリとワンコがいて、私は牛に干し草をあげるのが大好きでした。
そして、朝、ニワトリの卵をとってきてと頼まれた私は、産みたて卵を触ったのも初めてで、私が知っているパックに入った真っ白い卵とは違い、なんかちょっと薄汚れていて、冷蔵庫から出した卵のような冷たさなんてなく、ほんのり温かくて命を感じました。
……なんて言いながら、このあと美味しくいただいたわけですが。

ワンコももっふもふの大型犬で、触るまで少し勇気が入りましたが、とてもかわいかったです。……でもやっぱり怖くてあまり触れなかったので、今となっては悔やまれます。もっともふもふしておけばよかった!

法事を行った、恐らく本家?の方のおうちは、ただただとにかく広くて、思わずかくれんぼや鬼ごっこをしてしまうほど!
家の中で走り回れるスペースがあるってやばくないですか?
もうぼんやりとしか覚えていませんが、歳が近い親戚の子たちと一緒にめっちゃはしゃいだ記憶があります。
広い畳のお部屋が何部屋もある平屋で、恐らく法事のあとのお食事だと思いますが、たくさんの人達が飲み食いできてしまう広さってほんと凄い。

少しお姉さんな従姉妹に、ほおずき風船の作り方を教わったり。
笹舟の作り方を教えてもらって、近くに流れる小川に流したり。
そんな思い出がぼんやりとあります。

姉は今でも、笹団子の作り方を覚えていると言っていました。
そういえば、時々母の田舎から送られてくる笹団子がめっちゃ美味しくて、大人になってからいろいろな笹団子を食べていますが、いまだ、あの味を超えるものに出会っていません。
なんだかんだと、楽しい思い出がたくさんあります。
(大人になった今だと、あのたくさん並んだ料理は誰が作ったんだろうとか、母はその時お手伝いしていたのだろうかとか、全然覚えていないので、楽しい思い出は子どもだけなのかもしれませんガクガク)

私は東京生まれの神奈川住みなので、田舎というものがありません。
母が亡くなった今、帰る実家も無くなってしまったに等しいので、帰省の話を聞くたびに、緑豊かな土地に帰る場所がある方をちょっと羨ましく思ってしまいます。

そして、無条件で甘えさせてくれる、おじいちゃんおばあちゃんという存在にも出会うことがなかったので、祖父母と孫の触れ合いとか見ると、それだけで幸せな気持ちになります。
今はこんなご時世で、会うタイミングにも気を使うかと思いますが、会える時に会って、大切な思い出をたくさん作ってほしいなぁと思います。

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(私が憧れる家庭環境とか、祖父母との触れ合いとか、そういう願望や憧れがけっこう出ちゃってる作品です(≧∇≦))

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