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マーケティングの全体像を勉強したら、旧い知識の大切さも身に沁みるよ、という話。
社内の経営戦略勉強会「Tribal Professional Academy」、通称「TPA」。今回のお題は「マーケティング」です。詳しく言えば「マーケティング理論の変遷」と「マーケティング理論の全体像」。
課題図書は3冊。
「わかる、わかるぞぉぉー!」 既視感にびっくりする。
アラフォーにして経営どころかマーケティングの知識ゼロなのにマーケティングの会社に(うっかり)入れてもらい、やっと学び始めたマーケティングですが…なんと! TPAをはじめ、社内の様々なシーンで学ばせてもらったり調べたりテストを受けたりしたこの半年弱、私のマーケティングについての基礎知識はまだまだ未熟ながらも身についている模様なのです。『実況マーケティング教室』に至っては、「あれ?読んだことあるかも…(ボケちゃったかしら?)」と思うほど。
とは言え、マーケティング知識については弊社の中では「完璧に知ってて当然」の基本中の基本。会話の中でサッと振られて、パッと完璧に答えられる、仕事の中でサクサク使える、そんな状態まで持っていきたい!
マーケティングの変遷を押さえて、いまに引き寄せてみる
1)マーケティング1.0 :「知ってもらえれば売れた時代」
“馬に代わる”としてT型フォードが爆発的に売れた、という超有名な事例で語られる「マーケティング1.0」。
なぜ売れたか、というと「馬より便利だから」の一言。馬車が主流の時代にあって、馬より圧倒的に便利なのはフォードの1択、作れば右から左に売れていきます。 そんな時勢の中でとられたマーケティング活動の特徴は、以下の3点だけで十二分でした。
マーケティング1.0のポイント
1) 商品の特徴の周知 → 「馬よりずっと便利な代替品でよ!」
“You only think you need a faster horse.(あなたは、より早い馬が欲しいと考えるだけでよいのです)”
2)誰が売ってるかの周知
3)どこで変えるかの周知
今のマーケターからしたら、羨ましいにもほどがある状態ですよね。作れば売れる、そんな幸せな時代でした。1900年代初頭のことです。
2)マーケティング2.0:「プロダクトを差別化して狙った人に売る時代」
作れば売れる、幸せな時代が終焉を迎え、新しいマーケティング戦略が必要になった背景は「市場の飽和」と「競合」の出現です。そこで初めて自社・顧客・競合の「3C分析」の必要性が生じます。その手法の枠組みがマーケティング2.0の基礎フレームとも言えるSTPマーケティングです。
S:セグメンテーション(どの市場を狙う?)
T:ターゲティング(市場の中の誰を狙う?)
P:ポジショニング(ターゲットにどう思ってもらう?)
投網漁的に無限蔵のパイの中から、アタリを探ってみたい気持ちはあるけれど、予算も労働力も限られた状態の中では「全てを検討するということは何もしないに等しい」ことにもなりかねません。いちど決めたSTPを転換することは非常にスイッチングコストがかかることではあるものの、狙いと戦略を持って挑むのが常套手段、というのがマーケティング2.0の基本姿勢。
そして、これらの狙いを達成するためにマーケティング施策を推し進めるためにコントロール可能な様々な手法が「マーケティングミックス」、いわゆる4P。
マーケティングの4P:Product/Price/Place/Promotion
これらは個別に検討されるのではなく、セットにして総合的に漏れなく推進されることが重要です。(日本は伝統的にプロダクト偏重と言われ、に対する例として語られるのはP&Gの事例です)
3)マーケティング2.0の限界。さて、どうする?
モノが飽和し、情報速度がビュンビュンと音を立てて加速し、いくらセグメントしても差別化しても新しいものはすぐに陳腐化し、コモディティ化する時代、マーケティング2.0だけでは立ち行かない、というのは今や共通認識です。じゃあ、どうする?のひとつが、ブランディング・・・と言いたいところだけど、お金も時間もかかるし、時代の変遷に対する本質的な解とは言えなさそう。
インターネットが普及し、SNSで簡単にコミュニケーションが取れて“一次情報”が取れるようになったいま、消費者は一方通行の情報にで興味も行動も喚起されません。それどころか、「売らんがな」的な意図を裏読みされる始末。
そう考えると、マーケティング=売れるための仕組み化としたマーケティング1.0以降の定義そのものがジレンマとなっている、と言えるでしょう。つまり、マーケティングは売るためのフレームとしてはもはや使えないというのです。
マーケティング3.0は不確実を受け入れる姿勢。
マーケティング2.0の崩壊後、企業と消費者の状態はこんな感じといわれています。
企業:「どうすれば売れるのかわからない」
消費者:「何が欲しいのかわからない」
この状況をオープンにし、面白がれる人たちで寄り合って、企業も個人もお互いにいいものを一緒に探っていきましょうね。これが、マーケティング3.0です。先にモノあり、の2.0時代までとは違い、「まだないもの」を対象にしている時点で「売れるための仕組み」ではないことは明らかです。
この流れは、モノからコトへ、で語られる消費の文脈からさらに一歩進んで考えるべきことのように思います。消費の体験までをも売り物として設計する、というより企業のあり方や存在の境界そのものが、個人のそれと粒度が同質化してきているように感じるからです。
Business Developmentとマーケティング3.0
最後に。マーケティング3.0の不確実性は、新規事業開発にとてもよく似ています。確かなことなどひとつもないし、正しいかどうかもわからない。ただ、ちょっとしたシーズがあり、そこに共感し集う人でじわりじわりとプロダクトの輪郭が見えてくる感じ。
例えれば、メンバーとともに濁った泥水の中に手を入れ、会話しながら見えない泥水の水面下で泥を寄せ集めて何か一つを作っているような気分です。出来上がったものを見たとき、「思ってた通り!」なんて誰も思わないでしょう。ニーズが感じられる限り、それでいいんだと思っています。だからこそ、いかに早く仲間を引き込む状態に持っていけるかが最大のポイントで、自分の中ではそれは損益分岐点をいかに早く超えるか、という明確な目標に置き換えられています。
いずれにせよ。思うのは、マーケティング3.0の時代だからってマーケティング2.0を無視していいという話ではないし、いや、むしろ、そんな時代だからこそ当然抑えるべき、という強烈な実感です。
ちょっとは仲良くなれたかな、マーケティング。もっと勉強するからね!