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「何故?香港へ?」~前半~

 例えば、交流会など「はじめまして」の出会いの場で自己紹介をする際(因みに婚活パーティーではございませんw)、名前の次に「海外生活が長い」「香港在住」が定型句になりがち。
 すると「どうして香港へ?」とご質問をいただきます。時間的に聞かれない場合もありますが、その多くは「香港へ嫁がれたからなのでしょうね?」と思われがち。

 そこで、今回は「YOUは何しに香港へ?」ではないですが、私が「何故?香港へ?」をお話してみようと思います。


1)初めての香港

きっかけ

 人生初の海外旅行は、24歳の時に行ったハワイ。
 小学1年生から始まる水泳授業時に怪我?をし基礎を習うチャンスを失い泳ぎは苦手ですが海が大好き!元々肌が白く、春・夏ファッションは焼けてなきゃ!と若い頃は日焼けに一生懸命でした。
 よって、ハワイへもう2回行き、サイパン、タイ・バンコク&プーケット島、マレーシア・ランカウイ島&シンガポールのように旅先は『ビーチ&ショッピング』を好んでいました。
 
 96年の春、「今度はどこへ行こうかな?」と"AB-ROAD(エイビーロード)"を眺めたり、JTBやHIS、近畿日本ツーリストなどの旅行代理店に並ぶパンフレットを手にすると”返還前の香港を見ておこう!3泊4日ツアー”的なキャッチコピーのオンパレード!

 それらにフツーに釣られて行っちゃったのがきっかけとなりました。

1996年6月4日晴れ

 香港へは、成田発ANA(全日空)の朝便でした。明け方に東京・中目黒の自宅から眠い目をこすりながら当時愛用していたブルーパープルのSamsoniteをゴロゴロと響かせ、すんませんと思いながら成田空港へ。

 『パイロットが着陸時にいつも以上に緊張するたった一本の滑走路』と噂に聞いていたカイタック(啓徳)空港に到着したのは13時過ぎ。沖止めされた機内から出た瞬間に放った第一声は「ああっつ~~~」
 実感溢れていたのか?日本人CAさんにクスッと笑われましたw

 当時、海外旅行といえば、送迎、観光、食事も付いたパッケージツアーが多かった時代。この時の宿泊先は、九龍公園の北にあるBPインターナショナル。
 夕食への集合時間まで暫し自由行動となり、早速ジョーダン(佐敦)、ネイザンロード(彌敦道)付近を歩いてみました。

ハローキティってこんな顔だったけ?

 自分の足で街に出た印象は、歩道でも人の話し声やあちこちと走り回る運搬用台車の音などでやかましく、何かゴチャゴチャしていて、東京と比べると古めかしく感じました。
 そして、驚いたのは「ここは漢方薬局よね?」と覗いた店の前には全くジャンルが異なるファンシー雑貨やVCDなどが雑然と置かれ売られていました。
 手に取ってみると、私も見逃していた木村拓哉さんや酒井法子さん主演などのテレビドラマが全話勢揃い。ファンシー雑貨?は「ハローキティってこんなブサイクだったけ?」と首を傾げました。そう、いわゆるコピー商品。

 それらは、その付近だけではなく街中に氾濫していました。

閉店は何時ですか?

 アバディーン(香港仔)水上レストランでの夕食とビクトリアピーク(山頂)からの夜景観賞を堪能し、ホテルに戻ったのは22時頃。
 う~1日目が終わってしまう。もっと街を見たいな~とホテル前のオースティンロード(柯士甸道)を右に行くと、営業中のブティックを発見。
 当時、日本のアパレル製品は主に日本製。品質も良いがお値段も大変良い時代だったので、素材のレベルや縫製は雑でしたが数千円は安く、あれこれと物色。(因みこの程度の衣料品は今は逆にもっと安く買えますw)

 ふと腕時計を見るともう23時になろうとしていました。焦って、店主らしき女性に「閉店は何時ですか?」と尋ねると、「そんなの決めてないよ。お客さんが来れば何時まででも店は開けるよ」「Don't worry! Don't worry! la~~」という商魂。
 道路の方へ振り向くと、赤い車体のタクシーやミニバスなどが頻りにまだ走っていました。
 当時、伊勢丹などデパートの営業時間は遅くても19時。丸井が20時までだったので、平日のこんな夜中に買い物を楽しめるという事に驚きました。

レディーファーストは当たり前?

 どんどんと香港を巡っていくと、街を歩いている人達の国籍の違いやキャリアウーマン風な女性の多さ。夜の六本木でもないのに英語がフツーに飛び交っている光景にも文化や習慣の違いを感じました。

 日本で仕事をしていると、男尊女卑、年功序列がまだまだ強いなか、無駄にただ偉そうな態度のオッサンなんぞはあまり目にする事はなく、逆に男性は陽気で優しく、「レディーファーストはイギリスの文化だからね」「そうじゃないと女性から怒鳴られちゃうよ(ガハハッ)」と。

はい。私は日本人です。

 もちろんスマホなんぞはなく、携帯電話が出始めた初期。道に迷い、"るるぶ"を開いていたり、買い物中などに「アダタ、ニホンジン?」「Are you Japanese?」と押し売りセールス目的じゃない人からも聞かれ、「Yes. I am Japanese」と答えると、満面の笑みとなり、単なる観光客に日本を丸ごと絶賛いただく場面が多く…

 海外の現地先で親切な方々には何度も出会っていましたが、いや、尋常じゃない。まるで有名人にでも会ったかのように興奮して嬉しそうに話してくれたのです。

*現在は香港も詐欺事件等が多発しているので、その点はくれぐれもお気を付けください。

 今や訪日観光のリピーター率が非常に高い香港ですが、彼らの観光等の短期滞在ビザが免除となったのは、2004年4月1日から。
 それまでは、日本へ渡航するのは容易ではなく、性能の良い日系大手家電メーカー製品や1984年に進出し現地の食文化に入り込んだ日清食品「出前一丁」に加え、あのようなコピー商品らからの情報で彼らは日本に関心を寄せてくれていたのです。

後半へ、つづく・・・



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